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<p>「キツツキはどうやって衝撃から脳を守っているのか?」の謎が解決、そもそも保護する必要などなかった</p><p>「キツツキはどうやって衝撃から脳を守っているのか?」の謎が解決、そもそも保護する必要などなかった</p><p>木の幹に穴を開けてエサとなる虫探しや巣穴作りを行うキツツキは、1秒に最大25回という超高速で木をつついており、キツツキの脳が受ける重力加速度は最大1200Gと、人間が脳しんとうを起こす100G未満をはるかに上回ってます。そんなキツツキの脳が一体なぜ無事なのかについての研究結果が発表されました。</p><p>そして、くちばし2カ所と目にマーカーを付けてその動きを追跡する分析を行いました。もし、通説のように頭蓋骨やくちばしの付け根にある骨で衝撃を吸収しているのであれば、まず木に当たったくちばしが動きを止めた後、少し遅れて目が減速するはずです。 分析の結果、キツツキのくちばしと目は同時に減速していることが分かりました。これは、キツツキがくちばしを木に打ち付ける際に、まったく衝撃を吸収していないことを意味しています。Van Wassenbergh氏はこの結果について、「キツツキが木に与える衝撃の一部を吸収しているとしたら、貴重なエネルギーが無駄になるでしょう。むしろ、キツツキは衝撃の吸収を最小限に抑えるために何百万年もの間進化を遂げてきたはずです」とコメントしています。 キツツキが木をつつく時に衝撃を吸収していないことを突き止めたVan Wassenbergh氏は、次にキツツキの頭部のコンピューターモデルを作成して、シミュレーションによる実験を行いました。その結果、頭蓋骨で衝撃を吸収するとくちばしで木に穴を開ける能力が低下することが確かめられました。 さらに、このシミュレーションにより、木をつついているキツツキの脳にかかる圧力は脳が損傷を受けるレベルよりはるかに低いことも分かりました。これは、キツツキの脳が小さすぎて木をつつく程度の衝撃ではダメージを受けないことを意味しています。 研究チームによると、キツツキが脳しんとうを起こすには通常の2倍の速度で木をつついたり、天然の樹木の4倍の固さの物体をつついたりしなければならないとのこと。これについて、Van Wassenbergh氏は「多くの人はキツツキが人間よりだいぶ小さいことを忘れてしまっています。窓にぶつかっても平気で飛び回るハエのことを思い出してください。小さな動物は、大きな動物より急激な減速に耐えることができるのです」と述べています。 今回の研究で得られた知見から、研究チームは論文の中で「キツツキの頭部は衝撃吸収用のヘルメットではなく硬いハンマーとして機能し、つつく力を最大限に高めている可能性が高いと思われます」「キツツキが木をつつく際に衝撃を吸収しているという、生物学的なエビデンスがないにもかかわらず、衝撃吸収材やヘルメットなどの道具の開発者らは長らくキツツキの生態を参考にしてきました」と述べて、キツツキから着想を得ていたヘルメットや防護具のメーカーは今後、デザインの見直しを迫られるだろうとの見方を示しました。 この記事のタイトルとURLをコピーする</p>