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好調ミニバンのガチ対決に動きあり!? ノアヴォクがステップワゴンに勝つ3つの理由

 2022年1月13日に登場し、発売から1か月強で約7万台(先行分を含む)の受注を記録したノア・ヴォクシー。これを追うように、5月27日にステップワゴンが発売された。こちらも先行受注の段階で約1万8000台という好調なスタートを記録している。

 ミドルサイズミニバンのガチンコ勝負となっているが、市場の動きや消費者の反応を見ているとどうもステップワゴンよりもノア・ヴォクシーのほうが強そうだ。ノア・ヴォクシー、ステップワゴン両者の強みを解析しながら、ノア・ヴォクシーが強い理由を考えていこう。

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA、HONDA

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■理由その1:圧倒的な選択肢の豊富さ

2022年1月登場のトヨタ ノア&ヴォクシー。グレードやオプションの選択肢が幅広く用意されている(写真はノア)

 車両本体価格は同程度だが、グレードやオプションの選択幅が、両者で圧倒的に違う。

 ステップワゴンはパワートレインに1.5Lターボと2.0Lハイブリッドを用意。グレードはAIR、スパーダ、スパーダプレミアムラインの3種となる。e:HEVにはAWDの仕様がなく、この手のミニバンとしては、選択肢が非常に少ない。

 仕様を見ると、実質的には、ほとんどのユーザーがスパーダを選ぶだろう。しかし、AIRは価格競争力が高く、ユーザーの好き嫌いが少ないエクステリアも武器だ。AIRがオプションで自由にカスタマイズできるようになれば、競争力は抜群に高まる。

 ノア・ヴォクシーは、パワートレインに2.0Lガソリンと1.8Lハイブリッドを用意、グレードは標準顔のノアX・G・Z、エアロタイプのノア・ヴォクシーS-G・S-Zを用意。ガソリンモデルはもちろん、ハイブリッドでもAWDに相当するE-fourを選べるのは嬉しい。

 ステップワゴンはメーカーオプションが少なく、主要な装備がグレード別となってしまうのがユーザー泣かせだ。こうした状況が、現代のクルマ選びで肝となる、予防安全装備の選択にも大きく影響する。

 予防安全パッケージの基本装備は同等だ。しかし、ブラインドスポットモニター、全周囲カメラ、アダプティブハイビームに関しては、ノア・ヴォクシーがオプション設定なのに対し、ステップワゴンはグレード別装備となる。

 ミドルサイズミニバンは、若年層から中高年層までと、ユーザー幅が広い。そのため「これは必要、これは不要」という選択が必須だ。売り手としては、必要なものをユーザーに一つ一つ選んでもらう方が、売りやすさにつながる。

 選びやすさ、買いやすさも立派な競争力だ。個々のユーザーがそれぞれにカスタマイズを求める時代である中、そのニーズに応えているのはノア・ヴォクシーといえる。

■理由その2:全長約10cmの差が生み出す大きな違い

 ボディ全長はステップワゴンがAIRで4,800mm(先代4,690mm)、スパーダで4,830mm(先代4,760mm)となっている。一方ノア・ヴォクシーは4,695mmだ。

 ノア・ヴォクシーとの差は、AIRで10.5cm、スパーダで13.5cmである。わずかな差のように思うが、実際に運転してみるとステップワゴンの車両後端は遠く感じてしまう。特にバックで駐車する際には、数字以上の差を感じることとなる。

 元は5ナンバーサイズミニバンだった両者。一時は、全幅の拡大が運転感覚に大きな変化をもたらすかと思われていたが、実際に乗ってみると感覚の変化は少ない。それ以上に、全長が長くなるほうが、運転感覚の違いが明瞭となった。

 せっかくのミドルサイズミニバンだからこそ、サイズ感にはこだわってほしいところ。ファミリーユースで、狭い道での使用感を気にするユーザーも多い。僅か10cmの差が、販売では大きな差となって、ステップワゴンに襲い掛かるだろう。

■理由その3:様々なユーザーを拾い上げる姿勢

ノア&ヴォクシーのフリーストップバックドアは機械的な仕組みを用いてコストを削減し、標準装備としている

 内装や操作系で気になるポイントもいくつかある。

 ノア・ヴォクシーの目玉装備として取り上げられるのが「カラクリ」を上手く使ったフリーストップバックドア(標準装備)や、助手席側ユニバーサルステップ(33,000円)だ。電動技術を使わずにコストを抑え、日常の「困った」に対応する。

 対するステップワゴンでは、電動サイドステップとなり、装着には21万円以上が必要だ。パワーバックドアの用意もあるが、オプション単体の価格が高い。

 3列目シートを床下へ格納でき、室内は低床・低重心で十分な広さがあるステップワゴン。ボディサイズや走りは上級路線で十分に通用する。では、装備はどうかとなったとき、不十分さを感じるのは筆者だけではないだろう。

 ノア・ヴォクシーでは「そこまで装備を求めるならアルファードもいいな」となるが、ステップワゴンに上位互換は無い。ステップワゴンこそ、中上位層を含めた幅広いユーザーを、もっと振り向かせなければならないのだ。

 ステップワゴンは先代よりも、自らの立ち位置や狙いを分かりにくくしているように見える。もう少しターゲットを広く、ミニバンの王道を貫いても良かった。

 今はノア・ヴォクシーの強さが際立つ。しかし、初代を意識した今回のステップワゴンは、必ず巻き返してくるはずだ。今後、力の差がどう変わっていくのか、注目していきたい。

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