元フェラーリF1のマッサ、ルクレールに“忍耐が必要”とメッセージ「適切にプロフェッショナルな方法で戦わなければ」

 元フェラーリのF1ドライバーであるフェリペ・マッサは、シャルル・ルクレールのフェラーリに対する最近の不満を理解しているが、ルクレールはチームと争っているわけにはいかないと主張している。

 先週末のF1第13戦ハンガリーGPでは、今シーズン初めてのことではないが、フェラーリの戦略ミスがルクレールに大きな代償を支払わせた。5度のグランプリ優勝経験を持つルクレールは、チームが彼を呼び戻してハードタイヤに交換させるという失策を冒すまでは、ハンガロリンクのレースを余裕を持ってリードしていた。この戦略でルクレールのレースは台無しになり、フェラーリの戦略部門のあまり芳しくない実績はさらに大きく下がった。

「計算上はまだチャンピオンの座は空いている」サインツ、フェルスタッペン&レッドブルF1との差は開くも諦めず

 フェラーリのカルロス・サインツは現実を否定してはいないが、フェラーリが計算上タイトルを獲得できるチャンスがある限り「信じ続ける必要がある」と主張している。

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はサマーブレイク前の6戦のうち5戦で優勝を飾り、ドライバーズランキングではサインツのチームメイトであるシャルル・ルクレールに80ポイントの大差をつけている。またコンストラクターズ選手権では、レッドブルが97ポイント差でフェラーリに先行している。フェルスタッペンのパフォーマンスは完璧だが、彼とチームは幸運にもフェラーリの失敗と戦略ミスからも恩恵を受けており、余裕のある差を築くことができたと言えるだろう。

F1技術解説:第13戦(1)戦略失敗だけでは説明できないフェラーリの大失速

 2022年F1第13戦ハンガリーGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。今回は、優勝候補とみられていたフェラーリがなぜ敗北を喫するに至ったかを分析する。

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 ハンガリーGPの週末、フェラーリの滑り出しは、非常に順調だった。予想どおり、カルロス・サインツが金曜FP1、シャルル・ルクレールがFP2でベストタイムを出し、ライバルたちを圧倒した。ハンガロリンクの曲がりくねったコースは、大きなダウンフォースを発生し、エンジンが力強く加速するF1-75を持つフェラーリのために誂えられたようなコースといえた。

ルクレール、優勝争いができることを喜ぶ一方「能力を最大限に発揮できていない」と認める。F1後半戦での追撃に期待

 シャルル・ルクレールは、フェラーリの2022年シーズン前半は、勝利を祝った時も低迷を乗り切った時も喜びとフラストレーションがあふれ、感情的にジェットコースターに乗っているようだったと述べている。

 ルクレールとフェラーリは開幕戦から優勝を飾り、その後オーストラリアで2勝目を挙げた。最大のライバルであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が序盤に信頼性の問題を抱えていたこともあり、ルクレールは46ポイントの大差をつけることができ、十分な余裕があった。

【F1チーム代表の現場事情:フェラーリ】敗北をマシンのせいにしてチームを守るビノット代表「我々は変わる必要はない」

 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、フェラーリの代表マッティア・ビノットに注目した。

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 過去2シーズン、フェラーリのペースはライバルたちより大きく劣っていたが、今年のマシンは間違いなく最速のオールラウンドマシンだ。これだけの転換を実現したマッティア・ビノットは、本来なら大きな誇りを胸に、休暇に向かうことができたはずだった。

 開幕から13戦で8回のポールポジションを獲得したことが、フェラーリF1-75にどれだけのペースがあるかを物語っている。しかし勝利数はわずか4回となれば、チーム代表にとっては深刻な事態だ。