【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第10/11戦】萎縮し遅くなっては意味がない。失敗から成長せよ

 2022年、アルファタウリの角田裕毅は、F1での2シーズン目を戦っている。昨年に続き、エディ・エディントン氏が、グランプリウイークエンドを通して角田の動きをくまなくチェックし、豊富な経験をもとに、彼の成長ぶり、あるいはどこに課題があるのかを忌憚なく指摘する。今回は2022年F1第10戦イギリスGPと第11戦オーストリアGPについて語ってもらった。

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 シルバーストンを訪れた私は、次のオーストリアGP行きの誘いを断れず、2週連続で現地でレースを見る羽目になった。大勢の人々に知恵を授け、私の忠告に従った賢明な人々は、好成績を収めたようだ。詳しいことは、ギュンター・シュタイナー、あるいはオットマー・サフナウアーに聞いてみるといい。

 さて、いつものように「早く本題に入ってください」と君にせかされる前に、角田裕毅の話をすることにしよう。本当はイギリスGP決勝11周目以降の話をするのは気が進まないのだが、これが本コラムのテーマなので逃げるわけにはいかない。

F1技術解説:第11戦(1)アップデート導入のレッドブルに勝利したフェラーリ。リヤリミテッドサーキットで示した優位性

 2022年F1第11戦オーストリアGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。今回は、フェラーリが決勝日に見せた速さを分析する。

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 日曜日の決勝レースの大本命は、マックス・フェルスタッペンだった。初日予選でポールポジション、そして二日目のスプリントを制したレッドブルRB18は、フロア入り口に変更を加え、いっそうの速さを発揮していた。

周冠宇のクラッシュを受け、GPDA会長のブルツもロールフープに注目。F2でのインシデントを引き起こした縁石にも言及

 グランプリ・ドライバーズ・アソシエイション(GPDA)の会長を務めるアレクサンダー・ブルツは、先週末のシルバーストンで起きた2件の重大なインシデントを受け、FIAに対してスポーツにおけるドライバーの安全性を改善する努力を続けるよう求めた。

 F1第10戦イギリスGPでは、スタート直後に車体が逆さまになった周冠宇(アルファロメオ)の大事故の印象が強かったが、その日の早い時間にFIA F2のスプリントレースで起きたデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)とロイ・ニッサニー(ダムス)によるクラッシュも、同様に懸念されるものだった。

フェラーリF1内に亀裂との報道をルクレールが否定「不本意な結果でもチームは団結」

 F1第10戦イギリスGPでシャルル・ルクレールがレースをリードしながら勝利を失った後、フェラーリチーム内に不協和音が生じているという報道を、ルクレールは打ち消した。

 モナコGPと同様、ルクレールはトップを走っていたものの、終盤のセーフティカー導入時のフェラーリの戦略判断によって首位の座を失ってしまった。セーフティカー導入中に、フェラーリは2番手を走行していたカルロス・サインツを呼び戻して新品のソフトタイヤに交換させ、ルクレールはハードタイヤのまま先頭でステイアウトさせた。しかし残り約10周というところでレースが再開されると、ルクレールは、タイヤのアドバンテージを持つサインツに抜かれてしまった。ルクレールは果敢に2番手のポジションを守ろうとしたが、最終的にレッドブルのセルジオ・ペレスとメルセデスのルイス・ハミルトンに追い抜かれ、優勝するはずだったレースを4位でフィニッシュした。

F1技術解説:第10戦(2)優勝を逃がすも最速だったアップグレード版レッドブルRB18

 2022年F1第10戦イギリスGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回「フロアのたわみを規制するFIAの意図と、抵抗するレッドブル&フェラーリ」に続く今回は、レッドブルとフェラーリが持ち込んだアップグレードを紹介する。

【F1第10戦無線レビュー(2)】首位を奪い返したサインツ「フェラーリで初優勝できて、なんと言っていいのかわからない」

 2022年F1第10戦イギリスGPの決勝レース。リスタートで首位を守ったカルロス・サインツだったが、徐々にチームメイトのシャルル・ルクレールが迫ってきた。ターゲットタイムを出せなかったサインツに対し、チームは順位の入れ替えを要求。ルクレールは首位に立ったが、セーフティカー導入時にピットストップを行ったサインツが終盤にトップの座を奪い返し、キャリア初優勝を飾った。イギリスGPのレース後半を無線とともに振り返る

【F1第10戦無線レビュー(1)】フェルスタッペン「何かカーボンパーツを乗り越えた」ペースダウンで緊急ピットイン

 2022年F1第10戦イギリスGPの決勝レース。スタート直後に多重クラッシュが発生し、周冠宇のマシンがひっくり返った状態でグラベルまではじき出される事態となった。レースはすぐさま赤旗となり、再開後はドライバーズ選手権で首位に立つマックス・フェルスタッペンがトラブルに見舞われた。イギリスGPのレース前半を無線とともに振り返る

F1技術解説:第10戦(1)フロアのたわみを規制するFIAの意図と、抵抗するレッドブル&フェラーリ

 2022年F1第10戦イギリスGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。今回は、FIAがチームに送付した技術指令書がもたらす影響について語った。

 FIAは、ポーパシング/バウンシングがドライバーの健康や安全に大きな影響を及ぼすことを懸念し、カナダGP直前にこれを軽減するための技術指令書をチームに対して送った。しかし後に修正版が発表され、発効はフランスGPからと定められた。

【全ドライバー独自採点/F1第10戦】記憶に残るバトルを披露したハミルトンと、将来に光が見えてきたミック&周冠宇

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。雨の予選、身の毛がよだつクラッシ …

スペインでポーパシング問題の転機を迎えたメルセデスF1。イギリスで投入したアップデートは機能していたと語る

 メルセデスは、F1第10戦イギリスGPでのルイス・ハミルトンの表彰台獲得で立証された最近の進歩に勇気づけられたが、チーム代表のトト・ウォルフは、チームのパフォーマンスを“喧伝する”用意はできていないという。  メルセデ …