【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第8回後編】難コンディションの予選でミックが課題をクリア「これを自信にしてほしい」

 2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。第9戦は、3年ぶりの開催となるカナダGP。土曜日は大雨に見舞われたモントリオールだが、ミック・シューマッハーが課題としていた予選で活躍を見せた。雨の降る難しい状況下で、安定してタイムを更新し自己ベストとなる6番グリッドを獲得。決勝では残念ながらトラブルによりリタイアに終わったが、課題をひとつクリアしたことについて小松エンジニアは「自信を取り戻すのにいい週末になった」と語る。

 コラム第8回は、前編・後編の2本立てでお届け。後編となる今回は、カナダGPの現場の事情を小松エンジニアが振り返ります。

F1カナダGPでフロントウイング破損のマグヌッセン、オコンの無線に影響された修復指示を批判

 ハースF1チームのケビン・マグヌッセンは、2022年F1第9戦カナダGPの決勝でスチュワードから破損したフロントウイングを修理するようピットインを強いられたのは、エステバン・オコン(アルピーヌ)がダメージを大げさに伝えたことにFIAが影響されたせいだと主張した。

アロンソがF1カナダGPでのチームオーダーに不満。代表は「オコンが助けていた」とチームプレーを主張

 アルピーヌF1のフェルナンド・アロンソが、2022年F1第9戦カナダGPのレース終盤に前を走るチームメイトのエステバン・オコンを追い抜かないようチームから指示されたことに不満を漏らす一方、チームのオットマー・サフナウアー代表は、これが作戦上必要な行為だったと主張している。

F1技術解説:第9戦(2)ポーパシングへのFIA介入に反発するレッドブルとフェラーリ。物議を醸したメルセデスのステー

 2022年F1第9戦スペインGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回「予想外の資質を発揮し、フェラーリを破ったレッドブルRB18」に続く今回は、新世代F1マシン導入に伴い浮上した問題ポーパシングを解決すべくFIAが発表した技術指令書についてのチーム側の反応をまとめた。

F1技術解説:第9戦(1)予想外の資質を発揮し、フェラーリを破ったレッドブルRB18

 2022年F1第9戦スペインGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。今回は、フェラーリのアップデートを紹介しつつ、レッドブルが勝利しフェラーリが敗北を喫した理由を探る。

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 カナダGPでのフェラーリのレースは、決して平坦なものではなかった。F1-75に十分な競争力があったことは、カルロス・サインツがマックス・フェルスタッペンを抑えてレース中の最速タイムを叩き出し、わずか0.993秒差で2位チェッカーを受けたことからも明らかだ。

【全ドライバー独自採点/F1第9戦】満点ふたりのハイレベルな週末。年齢はデメリットにならないと証明したアロンソ

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。

 予選はウエット、決勝はドライコンディションで行われた2022年F1第9戦カナダ。シャルル・ルクレール(フェラーリ)はパワーユニット交換によりグリッド降格ペナルティを受け、優勝争いに絡めず。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がカルロス・サインツ(フェラーリ)とのバトルの末に、シーズン6勝目を達成、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)のフロントロウ獲得も大きな話題となった。カナダGPでのそれぞれのドライバーたちの戦いぶりを、バスコンセロス氏が振り返る。

カナダの環境問題に声を上げたベッテル。同国エネルギー相は「最もひどい偽善」と反論

 アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルはモントリオールで行われたF1第9戦カナダGPに、『タールサンドの採掘をやめろ』というメッセージとパイプラインの写真が印刷されたTシャツを着て到着し、トラブルに見舞われることになった。ベッテルのヘルメットには、『カナダの気候犯罪』とのメッセージもあった。

 どちらのメッセージも、アルバータ州での採掘事業への意識を高める目的があった。

メルセデスF1 W13の実験的セットアップを担当するハミルトン「過度の実験はレースの妨げになる」として控える方向

 メルセデスF1チームは、W13の改善を図るため、レースウイークエンドを使ってさまざまな実験を行っている。実験的セットアップの評価を主に担当しているルイス・ハミルトンは、週末にレースに集中できる日が近いうちに来ることを願っている。

 シーズン最初からメルセデスは、ポーパシングとバウンシングに苦しんでいる。彼らはマシンにはポテンシャルがあると信じ、それを引き出すために、主にハミルトンのマシンでさまざまな実験を行っている。

レッドブルF1のペレス、カナダのクラッシュで首を痛める。次戦イギリスに向け、全快目指して治療中

 レッドブル・レーシングのセルジオ・ペレスは、F1第9戦カナダGP予選でクラッシュした際に、首を痛めていたことを明らかにした。次戦イギリスGPに万全の体調で臨めるよう、治療を行っているということだ。

 路面が濡れた状態で行われた予選のQ2で、ペレスはターン3でコースオフし、テックプロバリアにヒット、マシンをとめた。マシンから降りて、歩いてピットに戻るペレスの様子には、変わったところはみられなかった。しかし、その数時間後に首の痛みを感じ始めたということだ。決勝はギヤボックスの不具合が原因と推測されているトラブルにより、7周でリタイアしたため、首の状態を大きく悪化させることにはならなかったようだが、治療を必要とする状態であるという。

決勝でのペース不足に戸惑うガスリー「コース固有のものか、特定のセットアップによるものかわからない」/F1第9戦

 アルファタウリのピエール・ガスリーは、F1第9戦カナダGPでのペース不足をどう理解していいのか分からなかった。そのせいで彼は14位にまで順位を下げることになったのだ。

 第8戦アゼルバイジャンGPでは予選6番手から5位入賞という強力な走りを見せたガスリーだが、モントリオールでは前週のバクーでやり残したことを完遂しようと強く思っていた。