両選手権で首位を保つレッドブルF1。ヘルムート・マルコは「こんなに楽しいことはめったにない」と満足

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、レッドブルがF1で最高のシーズンのうちのひとつを送っているのみならず、「これほど楽しい」シーズンはめったにないと述べている。

 今シーズンのF1の22戦のうち13戦が終了したが、レッドブルはこれまで9勝を挙げており、マックス・フェルスタッペンによって8勝、セルジオ・ペレスによって1勝がもたらされた。これでレッドブルは合計431ポイントを獲得した。レッドブルはこの成功によってコンストラクターズランキングでフェラーリに97ポイントの大差をつけ、フェルスタッペンはドライバーズ選手権でフェラーリのシャルル・ルクレールに80ポイント差をつけている。

F1技術解説:第13戦(2)“ホワイト・フェラーリ”を堂々投入。ハースが今季初のアップグレード

 2022年F1第13戦ハンガリーGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回「戦略失敗だけでは説明できないフェラーリの大失速」 に続く今回は、ハースが今季初めて導入したアップデートを紹介する。

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 ハースが今季初、そして唯一となるであろう大幅アップデートを投入した。ここまで改良版が遅れたのは、F1最小チームのひとつであるハースの資金難から来るものだろうか。それは確かにあるだろう。しかしそれだけではない。

FIA、ポーパシング軽減のための2023年F1規則変更案をWMSCに提出へ「全ドライバー、全チームと協議済み」と会長

 FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、新世代F1マシンが直面しているポーパシング(激しい縦揺れ)問題に対処するためにドライバーおよびチームと話し合ってきた結果、今週、世界モータースポーツ評議会に2023年技術レギュレーション変更の承認を求めてこれを提出すると発表した。

 ポーパシング/バウンシングはドライバーの健康と安全面に深刻な影響を及ぼし得ると判断したFIAは、これを抑えるために介入することを決めた。まず、ベルギーGP以降に厳しく取り締まる点を技術指令書によって通達。垂直加速度における基準値を確立し、マシンの垂直方向の動きを制限、また、アンダーボディのプランクの摩耗とスキッドプレートの剛性に関する新たな制限を明確化した。

ハンガリーGPでのトラックリミット判定に腹を立てたガスリー、F1レースディレクターと「将来的な解決策」について議論

 アルファタウリのピエール・ガスリーは、スチュワードによる“大いに異論のある”判定を受けて、ハンガリーでF1のレースディレクターたちと厄介なトラックリミットの問題について長い話し合いを持ったと述べている。

 F1第13戦ハンガリーGPにおいて、トラックリミットはふたたびドライバーたちによる多くの議論の中心となった。ガスリーのチームメイトの角田裕毅とミック・シューマッハー(ハース)は、トラックリミット違反により予選Q1でタイムを抹消された。セルジオ・ペレスは(レッドブル)予選Q2の最速タイムを一度は抹消されたが、その後スチュワードが精査した結果、取り消されたタイムは再び有効になった。

「計算上はまだチャンピオンの座は空いている」サインツ、フェルスタッペン&レッドブルF1との差は開くも諦めず

 フェラーリのカルロス・サインツは現実を否定してはいないが、フェラーリが計算上タイトルを獲得できるチャンスがある限り「信じ続ける必要がある」と主張している。

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はサマーブレイク前の6戦のうち5戦で優勝を飾り、ドライバーズランキングではサインツのチームメイトであるシャルル・ルクレールに80ポイントの大差をつけている。またコンストラクターズ選手権では、レッドブルが97ポイント差でフェラーリに先行している。フェルスタッペンのパフォーマンスは完璧だが、彼とチームは幸運にもフェラーリの失敗と戦略ミスからも恩恵を受けており、余裕のある差を築くことができたと言えるだろう。

アルピーヌF1代表、“忠誠心がない”ピアストリを強く非難「契約は間違いなく有効。離脱するなら補償金を要求する」

 アルピーヌF1代表オットマー・サフナウアーは、育成ドライバーで現在リザーブドライバーのオスカー・ピアストリとの間には隙のない契約が存在すると改めて主張、チームの意向に反して2023年の移籍を示唆したピアストリには忠誠心が欠けていると強く非難した。

 アストンマーティンがセバスチャン・ベッテルの後任としてフェルナンド・アロンソと複数年契約を結んだことを明らかにした後、アルピーヌはアロンソに代わってピアストリを起用することを発表した。しかしその直後にピアストリはSNSを通して契約を否定。「僕はアルピーヌと2023年の契約を結んでいない。来年アルピーヌで走ることはない」とピアストリはコメントした。

メルセデスF1、2戦連続のダブル表彰台を達成も「まだ先頭集団に対して力を欠いている」と代表は慎重な姿勢

 メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、メルセデスは第13戦ハンガリーGPで「完璧なウィンドウに到達した」かもしれないが、力強さが見えたパフォーマンスの改善については、引き続き慎重でなければならないと述べている。

 先週末のハンガロリンクでは、ジョージ・ラッセルがチームに2022年シーズン初のポールポジションをもたらした。これは彼にとってF1で初めて獲得したポールポジションでもある。パフォーマンスは日曜日も発揮され、ルイス・ハミルトンが2位、ラッセルが3位でチェッカーフラッグを受けて、ダブル表彰台を獲得した。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に続いて表彰台に乗ったのは、2戦連続のことだ。

インディカードライバーのレイホール、F1引退を発表したベッテルの招待に前向き「彼のための居場所がある」

 インディカードライバーのグラハム・レイホールは、F1を引退するセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)に対し、インディカーでテストを行うか、同シリーズに移ることを検討するようふたたび勧めており、ベッテルにはアメリカに「居場所がある」と主張している。

 ベッテルは今年5月、マイアミでレイホールと、彼の父でチームオーナーのボビー・レイホールの関心を引いた。4度の世界チャンピオンであるベッテルは、フロリダよりも、インディカーの会場であるロード・アメリカでF1を開催してもいいのではないかと提案したのだ。レイホールはツイッターでベッテルのコメントに反応し、ロードアメリカで彼のチームであるレイホール・レターマン・ラニガンとインディカーのテストをしたかったら、実現させようと投稿した。

F1技術解説:第13戦(1)戦略失敗だけでは説明できないフェラーリの大失速

 2022年F1第13戦ハンガリーGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。今回は、優勝候補とみられていたフェラーリがなぜ敗北を喫するに至ったかを分析する。

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 ハンガリーGPの週末、フェラーリの滑り出しは、非常に順調だった。予想どおり、カルロス・サインツが金曜FP1、シャルル・ルクレールがFP2でベストタイムを出し、ライバルたちを圧倒した。ハンガロリンクの曲がりくねったコースは、大きなダウンフォースを発生し、エンジンが力強く加速するF1-75を持つフェラーリのために誂えられたようなコースといえた。

ルクレール、優勝争いができることを喜ぶ一方「能力を最大限に発揮できていない」と認める。F1後半戦での追撃に期待

 シャルル・ルクレールは、フェラーリの2022年シーズン前半は、勝利を祝った時も低迷を乗り切った時も喜びとフラストレーションがあふれ、感情的にジェットコースターに乗っているようだったと述べている。

 ルクレールとフェラーリは開幕戦から優勝を飾り、その後オーストラリアで2勝目を挙げた。最大のライバルであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が序盤に信頼性の問題を抱えていたこともあり、ルクレールは46ポイントの大差をつけることができ、十分な余裕があった。