まとめ
- 日焼け止めは、有機系と無機系に分けられる。
- 無機系 (酸化チタン / 酸化亜鉛) は一般に肌に優しく、敏感肌用や子供用として使われやすい。
- 無機系は白浮きしやすい製品があることに注意。
前回の記事で紹介されたように、日焼け止めは紫外線の中でも「UVA」と「UVB」という、肌に影響を及ぼす種類の光を重点的にカットします。
これらの光を防ぐために様々な日焼け止めの成分が開発されていますが、この成分は大きく分けて2種類あるのはご存知でしょうか?
今回の記事では2種類の成分、「有機系日焼け止め」と「無機系日焼け止め」の特徴について解説していきます!
この記事を書いた医師の名前
やさひふ
Yasahifu
医師 / 皮膚科専門医 / 医学博士
Lumedia 編集長。怪しい医療情報に惑わされる患者さんを多く見た経験から Lumedia の立ち上げを決意。
皆さんのすこやかなお肌を守るため、Twitter で科学的根拠に基づいたスキンケア情報発信中。
有機系日焼け止め
日焼け止め成分の1つ目は、「有機系素材 (オーガニック) 」です (参考文献1) 。
以前は「ケミカル」とも呼ばれていました。日本では「紫外線吸収剤」と呼ばれることが多いようです (参考文献2) 。
有機系日焼け止めの特徴
有機系の日焼け止め成分は、1種類のみで UVA と UVB の双方をしっかり防ぐことが技術的に難しいとされています (参考文献3) 。
そのため、有機系日焼け止め成分は多数の種類が開発されており、これらの中から複数の成分を組み合わせて製品化されます。
有機系成分の代表例は下記の通りです (参考文献3) 。
UVA を吸収する成分 | UVBを吸収する成分 | 中間型 |
---|---|---|
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン | メトキシケイヒ酸オクチル | オキシベンゾン |
安息香酸ヘキシル | サリチル酸オクチル | オクトクリレン |
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 | ||
パラアミノ安息香酸 |
バリエーションが多く、難しい名前がたくさん並んでいるので覚えにくいですね
無機系日焼け止め
日焼け止め成分のもう1つは、「無機系 (インオーガニック) 」です (参考文献1) 。
日本では「紫外線散乱剤」と呼ばれることがあります (参考文献2) 。
※化粧品メーカーなどが「紫外線散乱剤は紫外線を反射・散乱することで紫外線から肌を守ります」と説明していることがありますが、実際にはこれは誤りです。本当は紫外線散乱剤と呼ばれる「無機系日焼け止め」も紫外線を吸収することで肌を守ります(参考文献4)。なので、本当の専門家は「紫外線吸収剤」「紫外線散乱剤」という名称で日焼け止めの種類を区別することを好みません。
無機系成分の代表例は「酸化チタン」と「酸化亜鉛」程度 (参考文献1) なので、先ほどの有機系成分一覧よりは覚えやすいですね。
「酸化チタン」と「酸化亜鉛」以外の成分による日焼け止めを「有機系」と判断するほうがわかりやすいかもしれません。
無機系日焼け止めの特徴
無機系日焼け止めは、有機系日焼け止めと比較して、次のような特徴があります (参考文献2) 。
メリット:アレルギーを起こしにくく、子供用 / 敏感肌用として使いやすい。
デメリット: 塗ったときに「白浮き (日焼け止めを塗った部分が白く見える) 」しやすい
アメリカ食品医薬品局 (Food and Drug Administration : FDA) も、「酸化チタンや酸化亜鉛は安全だよ」と提言しています (参考文献5, 6) 。
肌が弱い方、安全性を重視したい方は、まず無機系日焼け止め (紫外線散乱剤) を使用するほうが無難かもしれません。
有機系成分 (紫外線吸収剤) を使用していない製品は、「紫外線吸収剤無配合」、「紫外線吸収剤フリー」、「ノンケミカルサンスクリーン」などの表示がされていることが多いので、チェックしてみましょう (参考文献2) 。
また、無機系日焼け止めを使用した際に「白浮きしちゃうのはちょっと…」という方もいると思いますが、最近は技術の進歩により、白浮きがしにくい「ナノ粒子タイプ」の無機系日焼け止めの開発も進んでいる (参考文献1) ので、自分好みの色合いの製品を探してみることも可能でしょう。
まとめ
今回の記事では、有機系と無機系の日焼け止めについて簡単に解説しました。
肌が弱い方は無機系の製品を選んでみるとよいかもしれません。
ご自分に合った製品を見つけてくださいね。
参考文献
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。
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