シルビアよりちょっと高級なスペシャリティ
ガゼールとはかつて存在した日産のスペシャリティカーで、シルビアの兄弟車として1979年に登場した。シルビアはこのとき3代目モデルで、最終的には7世代に及ぶ車種となったが、ガゼールは3、4代目シルビアのバリエーションとして存在したのみであり、わずか2世代のみの短命なモデルであった。位置づけとしてはシルビアより少々高級感を持たせられていたが、フロントグリルなど外観の細部デザインが異なるほかは、インテリアの素材などに違いが見られる程度である。
初代ガゼール/3代目シルビアは型式としてはS110と呼ばれるもので、プラットフォームはサニーのものを使用。そのためトレッドはかなり狭めであったが、直線基調のボディラインはなかなかスタイリッシュであった。ボディ形式は2ドアのノッチバック(ハードトップ)と3ドアのファストバッククーペ(ハッチバック)が存在。また、当時の刑事ドラマ『西部警察』で特別に用意されたコンバーチブル(ハードトップがベース)が活躍したのも懐かしい。
サスペンションはサニー同様にフロントがストラット、リアが4リンク・コイル。搭載エンジンはツインプラグ式のOHCであるZ型が3種類用意された。1.8LのZ18(シングルキャブ仕様)とZ18E(インジェクション仕様)、そして2LのZ20E。のちには、ターボ仕様のZ18ETや、スカイラインRSのFJ20Eを積んだ仕様も加わっている。
S110型ガゼール/シルビアはプラモデルの世界でも人気で、バンダイ1/20や日東1/28、ハッチバックはアオシマ1/24(シルエット)やフジミ1/24があった。ノーマルで現在も入手が容易なのはフジミ1/24のハードトップ後期型のみ、この他に『西部警察』コンバーチブル仕様がある。1/24スケールの前期型ハードトップを作りたい場合には、絶版キットをプレミア価格で入手する以外、このフジミ後期型とアオシマのコンバーチブルを組み合わせるしかない……! という訳で、それを実現してしまったのがこの作例なのである。
大変なようで確実な改造法がコレ!
まずフジミのボディから屋根を切り出す。キャビン後半は下側も含めて切断した。リアウィンドウ下端の切断線は、トランクのパネルラインに合わせる。アオシマのボディはこれを受ける形でカット、フジミのキャビンを接着する。アオシマのボディの方がフジミより1mmほど幅広いので、リアウィンドウの下端を切り離して調整した。合体したボディの段差や隙間を、プラ板の細切りや瞬間接着剤+硬化剤で埋め、成形する。側面後端のプレスラインが消えかけてしまったので、 0.3mmプラ板の細切りを貼って再生させた。
インテリアはアオシマのパーツを使うが、後席のシートバックが反り返っているので、切り出して平らにし再接着した。座面の不足はプラ板で追加。そうするとシャシーと干渉するので、タイヤハウス部分を削って収まるようにする。ダッシュボードは吹き出し口のモールドが浅いのでBMCタガネ等で溝を切り、0.3mmプラ板で細かなスリットを再現。前席はモールドを深く削り込み、側面の調整レバーをプラ板などで追加した。Bピラーのガーニッシュは後期とは形が異なるためプラ板から自作。キットのバンパーはメッキがつや消しなので、「もっとグラチャン」仕様のパーツを流用している。
ボンネットとトランクフードのグラフィックはキットにもデカールが付くが、おそらく配色がノーマルとは異なるため、自作デカールを起こしている。ホイールは社外アルミしか付属していないため、今や貴重なマルイ製スカイライン・ジャパンから、フィンタイプの純正アルミを流用した。こうした手間も考えると、前期型ノーマルのガゼール/シルビアの新規キット登場を希望したいところである。
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