マクラーレンF1チームのマネージングディレクターを務めるアンドレアス・ザイドルは、F1第8戦アゼルバイジャンGP後半でチームオーダーを出したのは、その後予想されたアルピーヌのエステバン・オコンからの攻撃をかわすためだったと述べている。
アゼルバイジャンGPの決勝でランド・ノリスは11番グリッド、ダニエル・リカルドは12番グリッドにそれぞれついていた。マクラーレンはふたりに異なる戦略を選ぶことにし、それによりリカルドは最後にノリスをアンダーカットすることができた。リカルドはハードタイヤで第1スティントを長く走行した一方で、チームメイトのノリスはミディアムタイヤでレースをスタートしていたためだ。
レース序盤にリカルドは、自分のペースならノリスをコース上でオーバーテイクできると提案した。だがリカルドは、チームメイトのノリスの後ろに留まるようにピットウォールから指示を受けた。
ノリスはその後、リカルドより速いタイムを出してやり返した。その時点でマクラーレンのふたりはアルピーヌのふたりの間に挟まれており、そこから脱することができなかったため、チームは走行順を乱すことはせずに、オコンを食い止めることにドライバーたちを集中させた。
「我々が無線で聞いたのは、どのレーシングドライバーからも聞きたい言葉だった。野心を持ち、自身にとって最高のレースをするという姿勢だ」とザイドルは説明した。
「チームは最善の結果を確実に出すために存在している。2台のマシンがコース上で同士討ちをして、両方を失うリスクをとらないようにするのだ」
「もしダニエルがレース序盤でランドを抜いていたら、今年一部のチームがそうだったように、目まぐるしい状況になっていただろう。ふたりともアロンソの後ろで行き詰まり、オコンが2台のうち少なくとも1台を抜くリスクがあった」
「フェルナンドの後ろで2台とも順位を維持することで、オコンを確実に後ろに抑えておくというのが我々の考えで、実際にそうした」
マクラーレンはドライバーにチームオーダーを出す習慣はなく、むしろ「自由にレースをさせる」考えだ。しかしザイドルは、バクーでの場合のように、状況によっては指示が正当化されることもあるだろうと述べている。
「常に状況によって変わる。我々のドライバーたちは自由にレースができるし、常に双方のドライバーがいいレースができるよう同じチャンスを与えている。それが我々の責任だからだ」
「だが異なる戦略をとる場合などは、当然ながらチームとして、チームのために最大の成果を出す必要がある」