「羊の皮をかぶった狼」とはハコスカの愛称で現在でも人気の高い日産3代目スカイライン4ドアGT-Rに使われた言葉だ。
見た目は普通のセダンなのにもかかわらず、スポーツカーを凌駕するほどの高い走行性能を秘めたモデルのこと。ハコスカの4ドアGT-Rをルーツとする現行型スカイライン400Rはまさに「現代版羊の皮をかぶった狼」といえるパフォーマンスを発揮する。
そこで、ここでは予算200万円で手に入る中古車のなかから、300ps以上のハイパワーエンジンを搭載し、高い走行性能を実現した4ドアセダンを5台紹介しよう。
文/萩原文博、写真/ホンダ、スバル、日産、トヨタ、ベストカー編集部
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■史上初のカタログ300psを発揮した4代目レジェンド
最高出力300psというと、昭和生まれにとっては超ハイパワーマシンに感じてしまうのだが、現在はノーマルでも600psを発生する時代となっていて、感覚が麻痺してしまう。それでは、予算200万円以下で狙える最高出力300psを発生するエンジンを搭載したセダンをまず3台ピックアップした。
2004年7月に最高出力280ps自主規制が撤廃され、最初に国産車で最高出力300psをカタログ表記した記念すべきモデルが2004~2012年まで販売されたホンダのフラッグシップセダンであるレジェンドだ。残念ながら、2022年1月に5代目が日本市場では販売終了となってしまった。
2004年に登場した4代目となるレジェンドは、ボディ骨格の約50%にハイテン材を使用。シャシーなどの部品にアルミニウムをはじめ、マグネシウム、プロペラシャフトにCFRP(炭素繊維強化ブラスチック)などの軽量素材を使用し、大幅な軽量化を実現。
搭載された3.5L V型6気筒エンジンは、最高出力300ps、最大トルク353Nmを発生。車速に応じてスロットル特性を最適に制御する、車速応動DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)を採用した。
駆動方式は、前後輪と後輪左右の駆動力を自在にコントロールする世界初の四輪駆動システム「SH-AWD」を採用。前後配分を30:70から70:30に変動させるのに加えて、後輪左右配分を100対0から0対100まで無段階制御可能だ。
駆動力を走るためだけでなく旋回にも利用することで車両の運動性を飛躍的に向上させているのが特徴だ。現在、4代目レジェンドの中古車は約54台流通していて、中古車の価格帯は約23万8000~約129万8000円とほとんどの中古車が100万円以下で手に入る。
■FA20ターボエンジンを積んだ5代目レガシィB4
続いて紹介するのは、2009~2014年まで販売されたスバル5代目レガシィB4。2012年に行われたマイナーチェンジの際に、最高出力300ps、最大トルク400Nmを発生するFA20型2L水平対向4気筒ターボエンジンが搭載された。
この世代の前期型2.5Lターボ車には6速MT車が用意されていたが、残念ながら後期型の2Lターボ車にはCVTのみだった。しかし、スバルの先進運転支援システムであるアイサイトはVer2へと進化し、現在でも充分に満足できる支援機能である。
ボディサイズが大きくなったことで、セールス面で苦戦したこともあり、中古車の流通台数は約18台とかなり少なめ。その影響で、中古車の価格帯も約84万8000~約138万円とかなり割安。高速道路での追従走行が可能なアイサイトVer2が付いたハイパワーセダンがこの価格はかなり魅力だ。
■言わずと知れたスバルのフラッグシップマシン、WRX S4
そして、最高出力300psを発生する中古スポーツセダンとして最後に取り上げるのは、2014~2021年まで販売された先代型の初代スバルWRX S4だ。
WRXシリーズは「スバル最高峰のAWDスポーツパフォーマンス」を実現したモデル。WRX STIは見た目から狼なので、WRX S4をチョイスした。
搭載するパワートレーンは、先ほど紹介したレガシィB4と同じ、最高出力300ps、最大トルク400Nmを発生するFA20型2L水平対向4気筒ターボエンジン+CVT。しかし、CVTは大幅に変速応答速度を向上させたスポーツリニアトロニックとなった。
さらに、運転支援システムのアイサイトはVer3へとさらに進化し、さまざまな機能の制度が向上している。
現在、旧型のWRX S4の中古車の流通台数は約241台で、価格帯は約106万8000~約499万4000円。そのうち約50台が200万円以下で手に入れることができる。
■3.7L V型6気筒エンジン搭載で333psのフーガ370GT
続いては、2022年夏をメドに生産終了となる日産フーガだ。現行型の2代目フーガは2009年に登場し、2010年には3.5L V6エンジン+モーターのハイブリッド車も設定した。
高級セダンのイメージが強いフーガだが、最高出力333ps、最大トルク363Nmを発生する3.7L V型6気筒エンジンを搭載した370GTにタイプSというスポーティグレードが設定されているのだ。
助手席オットマンなどの快適装備はそのままに、専用のスポーツチューンドサスペンションをはじめ、4WAS(4輪アクティブステア)、4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ、20インチアルミホイールを採用。さらに、マグネシウム製のパドルシフトやアルミ製ペダルなどインテリアにもスポーティな雰囲気が漂っているのだ。
現在、フーガ370GTタイプSの中古車は約66台流通していて、価格帯は約59万~約339万円。そのうち予算200万円以下でも約58台が圏内となっている。インフィニティエンブレムに変更する必要性のないモデルが多いのが特徴。
■まさに「現代版羊の皮をかぶった狼」、レクサスIS F
そして、「現代版羊の皮をかぶった狼」として最後に紹介するのが、2007~2014年まで販売されたレクサスIS Fだ。
比較的コンパクトなスポーツセダンの先代型レクサスISのボディに最高出力423ps、最大トルク505Nmを発生する5L V型8気筒自然空気エンジンを搭載。トランスミッションには8速ATが組み合わされ、駆動方式はFRとなっている。
ハイパワーエンジンのポテンシャルを活かすために、専用のサスペンション、鍛造19インチアルミホイール+前後異サイズタイヤを採用。さらに、富士スピードウェイをはじめとする国内外のサーキットで徹底的に走りこみを実施し、Fの称号が与えられた。まさに、「現代版羊の皮をかぶった狼」にふさわしいモデルだ。
現在、レクサスIS Fの中古車は約51台流通していて、価格帯は約143万~約749万8000円。そのうち、約11台が予算200万円で購入可能となっている。
大排気量自然吸気エンジンは自動車税がメチャクチャ高いし、燃料代もかかる。しかし、このようなどこまでも加速していくような感覚のパワートレーンをお手軽な価格で味わえるのは今だけ。そう考えると、こういうクルマこそ中古車購入の醍醐味が味わえると言える。
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