ベンチシートに2種類のキャプテンシート……と2列目シートだけでも3種類もラインアップするマツダCX-8。
頻繁に7人を乗せるならばベンチシート一択だが、違うとなればかなり悩むモノ。もちろんグレードによって選択できない仕様もあるが、どれが一番使い勝手がいいのか!? 買いグレードは一体どれだ?
文/青山尚暉、写真/MAZDA
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■SUVでキャプテンシートを選べるのは2台だけ!! ただ2列目シートの選択が超悩ましい
クルマ購入時、ナビやサンルーフなどの装備を選ぶことはあっても、シートの選択は、軽自動車の前席のベンチシート、セパレートシート、輸入車によくあるコンフォートシートとスポーツシートの設定はあったとしても、とくにセダンやコンパクトカーではまずないことだ。
もちろん、ミニバンでは2列目席にベンチシートとキャプテンシートが用意されているのは通例で、アルファードに至ってはベンチシートから最上級のエグゼクティブラウンジシートまでの4種類が揃っている。ファミリーからVIPまでの幅広いユーザーに向けたハイエンドミニバンらしい設定とも言えるのだ。
その点、SUVの後席に選択の余地はないのが普通だ。デザイン、形状は一緒で、表皮にファブリック、合皮、本革が用意されているぐらいのものである。ところが、国産SUVの中で、後席に3種類ものシートが揃い、選択を迫られる(!?)クルマがある。それが、マツダの3列シートSUV、CX-8である。
■キャプテンシートは絶対条件も最上級グレードは注意が必要!?
CX-8の2列目席には、キャプテンシートと同様のシート骨格構造を用いた7人乗り仕様に用意される6:4分割のベンチシート。一気に車内の高級感、着座の贅沢感が高まる、SUVとの組み合わせではなかないキャプテンシート(センターウォークスルー)。
そして最上級の2列目席となるアームレストコンソール付きキャプテンシートが用意されている。
ベースグレードの25S/XDのみ2列目ベンチシートの7人乗り(2+3+2人)となるものの、それ以上のグレードでは6/7人乗り、2列目キャプテンシートとベンチシートが選べるようになっている。
CX-8の車格、エクスクルーシブなキャラクターから2列目席はキャプテンシートで決まりだが、上記のようにキャプテンシート(センターウォークスルー)と最上級のアームレストコンソール付きキャプテンシートがある
最上級グレードの25S/25T/XD エクスクルーシブモードのアームレストコンソール付きキャプテンシートはパワーシート&パワーウォークイン仕様となり、左右2席の間にアームレスト付きコンソールがドーンと鎮座する。
当然、2列目席の居心地、シート周りの高級感、リクライニングなどの操作性、アームレスト付きコンソールにカップホルダー×2、充電用USB端子、小物入れ、ストレージボックスまで備わる便利さ、飛行機のアッパークラスを思わせる贅沢な居心地感では最上となるだろう。
それこそ、ハイエンドミニバンの上級グレードから乗り換えてもまったく不満のない2列目席居住空間ということだ。
CX-8は299.42万円~(2.5Lのガソリン車)。最上級グレードのXDエクスクルーシブモードでも476.3万円(いずれも2WD)と、その全長4900×全幅1840×全高1730mmのボディ、2930mmのホイールベースによる堂々たるサイズ、車格感からすれば、かなりリーズナブルな価格設定である。
勢い、ほかにはなかなかない2列目キャプテンシートを備えるSUVということもあって「せっかくならアームレストコンソール付きキャプテンシートが備わる最上級グレードのエクスクルーシブを選んでしまおう」と盛り上がりがちである。
だが、じつは同じ6人乗りでも、その下の25S/XDのLパッケージのキャプテンシートを選択するほうが正解だったりするのである。
■最上級グレードはNG!? 3列目の使用頻度でグレードを決めるべし
その理由を説明しよう。同じ6人乗りの2列目キャプテンシートでも、標準のキャプテンシートとアームレストコンソール付きキャプテンシートでは、センター(2-3列目席)ウォークスルーができるか、できないかの大きな違いがある。
ここで改めてCX-8のマツダ車の中の立ち位置を見ると、MPVやビアンテ、プレマシ―といったミニバンを、マツダが目指す走りの世界にそぐわないとして生産中止し、その穴を埋めの意味もある3列シート車でもあるわけだ。
よって、3列シートが不要なら、あえてCX-8を選ぶ必要はなく、CX-5で十分ということになる(あるいは今秋発売予定のCX-60)。
それが2タイプある2列目キャプテンシートの仕様違いとどう関係してくるのかと言えば、ズバリ、3列目席の乗降性である。
たしかにCX-8はSUVの3列目席として大人がしっかり座れる居住空間を備え、前後にドーンと長く、大きく開くリヤドア、そして筆者の実測によるウォークイン最小乗降幅で約190mmという、リヤヒンジ式ドアの3列シート車として、3列目席の乗降性は想像以上にスムーズに行えると言っていい。
が、最上級グレードのキャプテンシートは左右2座の間にアームレストコンソールが隙間なく備わり、居住性により高級感が増す反面、2-3列目席スルー(車内移動)はできない。
一方、25S/XDのL Packageなどに装着される標準のキャプテンシートは、2座の間に約225mmもの(ミニバンでも多くは150mm前後)2-3列スルー空間が存在。2列目キャプテンシートをわざわざウォークイン操作することなく、リヤドアから2列目席に乗り込み、そこから3列目席に楽々アクセスできることになる。
そう、3列目席のアクセス方法が、ウォークインのみか、ウォークイン+2-3スルーの2種類あるかが、両キャプテンシートの実用面、使い勝手面での大きな違いになってくる。
■使い勝手見晴らし感は断然ウォークスルー可能なシートだ
ちなみに標準キャプテンシート、アームレストコンソール付きキャプテンシートのシートサイズ自体はほぼ同じ。座面長490mm、座面幅550mm、シートバック高670mm、ヒール段差380mm(フロアからシート座面先端までの高さ。高いほうが着座性、立ち上がり性に有利)というものだ。
座面長450mm、座面幅1110mm、シートバック高620mm、ヒール段差340mmの、決して緊急席的でなく、かけ心地のよい3列目席を使う場面が多いのであれば、迷うことなく標準キャプテンシートを選ぶべき理由がそこにある。
合わせて、3列目席に着座した際の前方見通し性、解放感でも標準キャプテンシートが優位なのである(ここ、重要)。ちなみにCX-8のベストバイ・グレード言える装備充実の25S L Package 6人乗りと、最上級グレードの25S Exclusive Mode 6人乗りの価格差は約38万円。
25S L Package 6人乗りを選び、25S Exclusive Mode 6人乗りに対して浮いた金額をドライブ旅行費やオプションなどの予算に回すのが正解のように思える。
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