5月28、29日は全国的に今年一番の暑さになり、猛暑日を記録したところもありました。関東甲信越地方の梅雨入りは前年より8日早く、平年より1日早い6月6日になりました。
とはいえ、このような梅雨の合間に、気温が25℃以上となる真夏日を記録することもあります。本日、6月20日も全国的に今年2番目の真夏日になると予想されています。気をつけなければいけないのは熱中症対策です。5月29日、幼児を3時間車中に置いて亡くなるという事件もありました。
そこで、こうした、梅雨の合間の晴れ間の暑い時期に気を付けるべきと注意を呼びかけるとともに、暑い車内を最も早く冷やす方法をモータージャーナリストの高根英幸氏が解説していく。
文/高根英幸
写真/ベストカーweb編集部、Adobe Stock
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■夏はまだまだ先とタカをくくっているとえらい目に遭う
関東地方は前年より8日早く、平年より1日早い梅雨入りだったが、梅雨明けはそのぶん早まるとは限らないらしい。
それでも梅雨の合間の晴れ間となれば、初夏のような汗ばむ日になることも珍しくない。本格的な夏の到来はまだ先のことと油断するのは、危険かもしれないのである。
というのもクルマの車内は外気よりも気温が上昇しやすい。日なたに置かれているクルマの車内は温室のようなものだ。強い陽射しの下であれば、30分も放置すれば車内の温度は50℃を超えることもあるほどで急激に気温が上昇するのだ。
最近のクルマはUVカットに加えて熱線カット機能が与えられたガラスを備えている場合も多いが、それでも可視光線には太陽の熱エネルギーの40%が含まれていると言われている。
ましてや近年は気候変動で平均気温が上昇しており、5月からは最高気温25℃以上になる天候(真夏日は30℃、35℃以上は猛暑日)になることも珍しくない。
そうなると問題は、走行中は冷房が効くからいいが、駐車中にはあっという間に室内の気温が上昇してしまうことだ。用事を済ませて再び乗車する際には、あまりの灼熱地獄ぶりに怯んでしまうこともある。
そんな時には、できるだけ早く車内を冷やして、快適な温度に下げたいものだ。車内の空気を素早く入れ替える方法として、よく言われているのが、片側の窓ガラスを開けて、反対側のドアを開閉させて、その圧力で空気を押し出す方法だ。
助手席側のリアドアのウインドウを開けて、対角線上となる運転席のドアを5、6回強めに開閉させると、リアドアの開口部から室内の熱い空気が押し出されて、車内の換気を効率良く行う方法だ。
たしかに車内の空気を入れ替えるだけなら、この方法がいいのかもしれない。ただし車種によっては、ドアや窓の開口部の大きさ、シートなど室内形状による空気の抜け方が違うので、効果には差が出てくる。
さらにゆっくり開閉させると圧力が高まらず、あまり効果がないが、勢いが強すぎてもドアやウインドウ回りを傷めることになりかねないし、ドタンバタンと結構な騒音がするので近所迷惑になることにも注意したい。
■車内の空気を入れ替えれば、涼しくなるか?
1/窓を全開にしてある程度車内が冷えるまでアイドリングで冷房を全開&外気導入
2/フロントシートが冷えてきたら前席ドア、車内が冷えてきたら後席ドアを閉め熱い空気を車外に出す
3/ある程度冷えてからリアハッチも閉めて、内気循環にして走行しながらさらに室内を冷やす
空気を入れ替えるだけでは、車内は快適にならない。なぜなら空気以上に温まっているモノが再び空気の温度を上昇させようとするからだ。外気でも言えることだが、空気は日光によって直接温められているのではなく、日光が当たっている場所が熱くなってその表面に触れている空気に熱を伝えるのだ。
シート内部やエアコンダクト内を冷たい空気で冷やして温度が下がるまでは、車内の気温はなかなか下がらない。それら車内の熱せられたモノが、空気を暖めているからで、自然に冷めるのを待つのは結構時間がかかる。
したがって、エアコンを作動させて室内を積極的に冷やしてやった方が、絶対に早く温度は下がる。エンジンをかけてエアコンを最低温度でファンを最強にして、外気導入にすることで、まずエアコンダクト内の空気を入れ替えて冷やすことができる。
そして冷風をシートに当てることで、シート表面が空気を暖めるのを防ぐと共に、シートに座わっても熱くて不快な状態になるのを防ぐことができるのだ。
エアコンはエンジン回転がある程度上昇して走行している方が、コンプレッサーの稼動も増えてクーラーガスを圧縮してくれるし、コンデンサーが走行風によって冷やされるので、冷房は強く効いてくれることになる。
そういった意味では、なるべく早く走り出した方が、車内は冷えるし、時間や燃料の節約になるが、シートが熱い状態で座ると、汗をかいたり蒸れるので不快だから、できればある程度シートを冷やしてから座りたいと思うのが普通だろう。それにステアリングが熱くてまともに触れない状態であれば、その状態で運転するのは危険でもある。
その時の状況にもよるが、ある程度車内が冷えるまで、アイドリングで冷房を全開&外気導入にして、ドアやリアハッチを全て開け、フロントシートが冷えてきたら前席ドア、車内が冷えてきたら後席ドア(後席にもエアコンの吹き出し口がある場合は前後同時でもいい)を締め、熱い空気を後ろに押し出してやり車外に出す。そして、ある程度冷えてからリアハッチも閉めて、内気循環にして走行しながらさらに室内を冷やす。
窓を全開にしてエアコンを外気導入にして走行して車内の熱気を出し、窓を閉めて内気循環にして車内温度をエアコンで冷やす、という方法もあるが、前述した方法が一番合理的であり、オススメだ。
この時、シート表皮に除菌消臭のアルコールスプレーを噴射してやれば、さらに気化熱で冷却が期待できるが、乾くまでは乗車できないのと、クルマに保管しておく場合は注意が必要だ。
■車内が熱くなりにくい対策を取るのも重要
駐車する場所や方角、サンシェードなどを上手く利用することで車内に直射日光が入らないようにするのも効果的だ。
理想は日陰に駐車することだが、都会のコインパーキングはビルとビルの隙間にあっても、真夏は太陽が高いので、なかなか日陰にはならない。スマホの地図アプリや駐車場アプリで、立体駐車場や地下駐車場を検索して選択するという手もある。
サンシェードは利用すべきアイテムで、これによりフロントウインドウから差し込む日光がダッシュボードやステアリング、シートなどが高温になるのをかなり防げる。それでもサイドウインドウやリアウインドウから差し込む日光やドアパネル、ルーフパネルなどの温度上昇はジワジワと室内温度を上昇させていく。
車内からフロントウインドウに広げるサンシェードよりも、外からウインドウに被せるカバーの方が車内に日光が入ることをより防げるので、さらに効果は期待できる。
長時間の駐車なら、サイドやリアウインドウ、ルーフパネルをすっぽりと覆うテント状のカバーや、ボンネットから真っすぐリアまでを覆うハーフタイプのボディカバーを利用するのも手だ。フルカバードタイプを外出先で使うのは、脱着が大変だし見た目にも違和感があるが、ハーフタイプやキャビン回りだけなら、脱着もスマートで見た目にも違和感は少ない。
あるいはルーフから前後左右に広がるクルマの日傘のような商品もある。風が強い日はボディにキズが付く可能性があるため、使うのは避けた方がいいだろうが、強い陽射しから守ってくれるだけなく雹が降ってきた時などにもボディを守ってくれそうだ。
窓を2cmほど開けておくのも温度上昇に多少は効果があるが、陽射しが強すぎる場合は気休め程度でしかないし、サイドバイザーを装着していると、さらに大きく開けないと駐車状態では十分に換気してくれない。これは防犯上オススメできないし、ゲリラ豪雨にあって室内が濡れてしまう危険性もあることを覚えておこう。
エアコンの効きが鈍いと感じているなら、クーラーガスの充填具合をチェックしてもらい、問題ないレベルまで入っているのであれば、エアコン用の添加剤を追加してみるのも手だ。コンプレッサーの潤滑を行なうオイルにさらに潤滑剤を添加しており、充填用にクーラーガスも入っているため、コンプレッサーの保護と冷却性能の向上につながる。
コロナ対策で除菌のためにアルコールのハンディスプレー(ポンプ式のもの)を積んでいたりすると、車内が高温になった時に容器内の圧力が上がって危険な状態になる可能性がある。前述のように車内の温度上昇をできるだけ防ぐとともに、トランクなど比較的温度上昇が穏やかなところに保管するようにしよう。
■もし熱中症になってしまったら
ドライブ中に熱中症にならないためには、水分補給と冷房を使うことだ。当たり前のようだが、燃費を気にして冷房をなるべく使わないようにするのは、気候変動が進んだ今では自殺行為だ。
もしオートエアコンの室温設定を高めにすることで燃費を伸ばそうとするようなら、それはあまり効果がないから止めておいたほうがいい。弱冷房として28℃くらいに設定していると、陽射しによっては結構暑い思いをすることになる。
熱中症になってしまったら、少々の燃費改善なんて意味がなくなってしまう。エアコンは最低温度にして風量で室温を調整するようにする(これだと冷房のロスが少ない)か、24~26℃程度でオートエアコンの恩恵を受けるべきだろう。
そして移動中も水分補給を小まめに行なうこと。トイレが近くなってしまうからと水分摂取を我慢するのも、熱中症を招きやすい。利尿作用によって脱水症状に陥る危険もあるので、緑茶やコーヒーなどは避け、ミネラルウォーターやスポーツドリンクなどを摂取した方がいいだろう。
エアコン停止からわずか15分で、熱中症指数が危険レベルに達したJAFによるテスト結果も出ている。
乳幼児は体温調節機能が未発達で、高温下では短時間で体温が上昇し、死に至ることがある。寝ているからという理由で、車内に子どもを残すのは大変危険なこと。もちろんペットも同様だ。命にかかわるので絶対に車中に残してはいけない。
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