
2022年シーズンはチーム無限からスーパーGTにエントリーしている笹原右京。さらにスーパーフォーミュラ開幕直前、チーム無限から追加エントリーが決まり、両カテゴリーで奮闘中だ。
その笹原右京が、2021年夏から「レッドブル・アスリート」に選ばれたという。レッドブル・アスリート? サーキットでレッドブルの宣伝をするの? 水分補給はレッドブルのみ?
謎に包まれた「レッドブル・アスリート」について、笹原右京本人から話を伺った。
文/段純恵、写真/HONDA、TOYOTA GAZOO Racing
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■多彩なスポーツ競技者たちが一堂に会する

去年の夏過ぎくらいにレッドブル・アスリートになりました。
昨年末に開催された『レッドブル・レース・デー』用の、実車を走らせて24枚の壁をブチ破るCMを朝5時から夜11時くらいまでかけて富士スピードウェイで撮影したり、本イベントに向けたちょっとしたイベントを渋谷でやったり、そういうのがちょこちょこありました。
今年についてはゴールデンウィーク後に、世界規模で行われた『ウィングス・フォー・ライフ』というチャリティイベントに、フィギュアスケートの紀平梨花選手やスノーボード北京五輪代表の鬼塚雅選手、トレイルランニング競技者の上田瑠偉選手ら他のレッドブル・アスリートと一緒に参加しました。
レッドブル関係者が脊髄損傷で車椅子生活になったことをきっかけに始まった、スマホのアプリを使った『世界最大の鬼ごっこ』的イベントです。世界一斉のヨーイドン! でアスリートが実際に走りだすと、アプリ内のキャッチャーカーも動き出す。
このアプリがけっこう優秀で、アスリートが1km通過ごとに「天才だ!」とか少し本気を出すと「ジェット機のような速さだ!」とか言ってくる(笑)。キャッチャーカーに捕まったところで各々終了となるんですが、アプリの思いがけないおしゃべりを聞きながら皆で走れて本当に楽しかったです。
■他競技のアスリートたちとの交流はいい刺激に
他のスポーツ選手との交流ではすごくいい刺激をもらえます。今回初めてお会いしたフィギュアの紀平さんは、ケガで北京五輪の出場を断念せざるをえなくて、辛い場面というか大変だったと思うんです。
でも実際に話してみるとすごく前向きで、本当に女の子って感じの方なんですが、め~ちゃくちゃストイック。とことんキッチリやるタイプという感じで、もしかしたらそれもあって疲労でケガになったのかもしれません。
とにかく、あの小柄な人のどこに4回転ジャンプをしたり4分近い演技を続ける体力があるのか、しかも氷の上で音楽にのって表現するというのが、もうスゴすぎる。
テレビでしか見たことないですが、あれだけ見る者を引きつける、演技が終わった後も万雷の拍手が続くフィギュアの選手を見ていると、モータースポーツの見せ方や伝え方も考えさせられます。
ドライバーも個性豊かだし、いろんな走らせ方をするし、レースにかける姿勢も様々なのだから、そういったことに焦点を当てるとか、ここぞという瞬間を撮り逃さないとか、超スロー再生でドライバーの目の動きやタイヤのゴム片が飛ぶ様を映し出すとか。
そういった、もっと突っ込んだ見せ方や伝え方があってもいいのではないかなと思います。
■レッドブルと共に世界へ!
レッドブル・アスリートの契約について、具体的なことは言えませんが、サーキットでは常にレッドブルを飲まないといけない、なんてことはありません(笑)。
いま国内の四輪モータースポーツには4人のレッドブル・アスリートがいますけど、契約内容は本当に人それぞれじゃないかと思います。有り難いことにお金も発生していて、アスリートとして認定していただいていると感じます。選出には成績も影響するのだろうと思いますが、実際のところはわかりません。
国内モータースポーツで一番最初にレッドブル・アスリートになった平川亮選手を見ていると、もしかしたら彼が目指していた世界は他のカテゴリーだったかもしれないけれど、いま世界耐久選手権(WEC)で戦っている姿は本当に素晴らしい。
もちろんトヨタがあってこそだけど、レッドブルと共にどんどん世界に羽ばたいている感じですね。
これは伝わりにくいというか語弊があるかもしれませんが、僕も決していつまでもスーパーフォーミュラやスーパーGTだけに留まろうとは考えてません。もちろんいまシートを得られていることは本当に有り難いです。
でも先々、笹原右京というアスリートをもっとグローバルに知ってもらいたいんです。世界ラリー選手権(WRC)で9連覇したセバスチャン・ローブって、僕にとってはまさに『レッドブル』のイメージそのものです。
WRCを引退後、ツーリングカーのWTCCやDTMにふつうに出ちゃったり、パリダカやエクストリーム、パイクスピークにも参戦して、もう車輪がついてれば何でもやります! みたいな(笑)。
ル・マンの出場経験もあるし、今年1月なんてパリダカの一週間後にラリー・モンテカルロにスポット参戦して、WRC通算80勝目をマークしたんですよ!
そのローブみたいに、僕もカテゴリーを限らずいろんなチャレンジをしてみたい。レッドブルの人に、一回でいいからWRカーに乗りたいって言ってます。父がダートトライアルやラリー出身で、すごい興味があるので。
■他競技の良い部分をモータースポーツに取り入れたい
あとレッドブルを通じて他スポーツの方々ともっと交流したい。コロナも収まりつつあるし、せっかくのレッドブル・アスリートつながりなんだから使っていきましょうよと。
例えば紀平さんにサーキットで観戦してもらうとか、もし運転免許を持ってるならコース走行を体験してもらうとか。逆に僕がフィギュアの大会に応援にいくとか、紀平さんにフィギュアを教えていただくのもアリかな。
まずはそういうことをコツコツ続けて、互いのアスリートやファンが互いのスポーツへの認識を深め、つながりを作っていくことで、ゆくゆく大きな力になっていけるといい。
CMで24枚の壁をブチ破ったように、ふつうじゃないことをやり遂げるのがレッドブルだと思います。スーパーフォーミュラでもマシンを日常のシーンの中に織り込むとか、エクストリーム的なことをするとか、何かとんでもないことをやり遂げることができたら世間の興味を引けるのではないかな。
本気でそういうことに取り組んでいくことが、スーパーフォーミュラの次の50年につながっていくのではないかなと思います。
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