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Image:nayuki minase/Shutterstock.com

アップルは主要製品のチップを独自開発に置き換えることを進めている。iPhoneのAシリーズやMac/iPad向けのMシリーズの次はモデムチップを置き換えると予想されていた。今年初めにも、すでに2023年のiPhone(いわゆる「iPhone 15」)搭載に向けてサプライチェーンが準備中との報道があったほどだ。

そんななか、有名アナリストMing-Chi Kuo氏が、アップルが独自の5Gモデム開発に苦戦しており、iPhone 15には間に合わないとの予測をツイートしている。

Kuo氏によれば、開発の遅延が明らかなため、iPhone 15には再びクアルコム製のモデムが使われる予定だという。以前クアルコムの幹部は「2023年にはアップル製品に搭載されるモデムチップのわずか20%しか供給できない」との予想を語り、アップルがその年に自社製チップを投入することを示唆していた

もちろんアップルの最終的な目標は、iPhone用の5Gモデムをすべて独自チップに置き換えることだろう。そうすることで他のAppleシリコンと同様に、性能や省電力性を向上させられる可能性があるだけでなく、クアルコムからチップを購入する必要もなくなる。それによって利益率まで改善するしれないからだ。

アップルが社内で独自モデムを開発していることは、数年前から噂されていた。まずインテルから中核エンジニアを引き抜き、クアルコムの拠点がある米サンディエゴで「モデムチップの技術者」を募集する動きもあった。そして2019年に、インテルのスマートフォン向けモデム事業を10億ドルで買収したことで、開発が加速したと観られている。

アップルは2017年頃に起こった特許紛争をめぐり、クアルコムと世界各地で法廷闘争を繰り広げていた。しかし、代わりに採用したインテル製チップに不満があったとの噂もあり、2019年4月にはクアルコムと和解している。

その際、アップルはクアルコムと6年間のライセンスやチップ供給を受けることで合意しており、さらに2年間の延長オプションを付けている。つまり2027年までは、クアルコムからモデムチップを調達できるというわけだ。

モデムチップは長年にわたるノウハウの蓄積の上にあり、世界各地の通信局との相性問題も一気に解決することは難しい。クアルコムとの数年にわたる契約も、モデム独自開発に手間取ることを織り込んだ保険なのかもしれない。