ポルシェは、2023年の世界的なGT3コンペティションでのカスタマーデビューに先駆けて、最新世代のGT3カーとなる新型ポルシェ911 GT3 Rのオフィシャル写真を初めて公開した。
今回初めてその姿が公になった新型911 GT3 Rは、“992型”のロードゴーイングモデルをベースにしたものとなり、2019年からグローバル展開されている現行車“991.2バージョン”を置き換えるモデルだ。
スペックなど公式の仕様はまだ明らかにされていないが、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットをはじめ、カタロニア・サーキット、モンツァなどヨーロッパ各地のサーキットで大規模なテストを実施しており、今年後半にはホモロゲーション前のトリムで最初のレースに参加する予定となっている。
911 GT3 Rプログラムの責任者であるセバスチャン・ゴルツによると、新型ポルシェGT3カーの先代モデルからの主な改良点のひとつは、より高度なドライバー支援テクノロジーの実装だという。
992型GT3カーは新しいソフトウェアパッケージが導入され、幅広いオプションの中でクルマのセットアップをより簡単にできるように設計されている。
「クルマの中で多くのものを変えることができる」とゴルツはSportscar365に語った。
「2019年のクルマよりも多くの可能性があり、それらをより調整しやすくしている」
「レーストラックごとに微調整できる大きな指標があるが、それは本当に扱いやすいものでなければならない」
「(2019年型車では)問題が発生した場合、そこから抜け出すために何かを手動で変更する必要があった。しかし、将来的にはオートマチックになる。システムが自動的に問題を認識するんだ」
新しいソフトウェアパッケージの主な目的は、トラブルシューティングをより合理的にすることだという。
「以前は、ノートパソコンに3つも4つもソフトウェアツールを置き、(データの送受信のために)さまざまなケーブルを用意する必要があった」とゴルツは説明した。
「今では1本のケーブルを接続するだけで、ひとつのソフトウェアで多くの機能を利用できるようになっている。エンジニアリング・システム側からのアクセスや作業も容易になったんだ」
「顧客は設定を最適に変更することができ、(今より)ずっと楽になる。たとえば、ABSシステムを接続するためにこのコンバーター、このケーブル、このソフトウェアをインストールしなければならないと考えるのに対し、今はひとつのツールに収まっている」
ゴルツはこのソフトウェアのアップグレードが、クルマを購入するドライバーのパフォーマンス向上につながることを期待していると付け加えた。
「システムが自ら学習していくため、ドライバーはそれほど(クルマに)合わせる必要がない」とゴルツ。
「彼らにはよりインテリジェントなドライバー・アシスタンスがある。クルマが運転しやすいものになるため、ドライバーは運転そのものにさらに集中することが可能となる」
「また、コクピットが大きくなり(表示される数値などを)見やすくした。視界や座席の位置、空調なども少し改良して全体的にドライブしやすくしている」
「クルマの性能だけでなく、ドライバーのパフォーマンスも必要だ。運転がしやすくなれば、良いパフォーマンスレベルを長く維持させることができる。これは重要な目標だ」