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総務省は1日、6月の東京都区部の消費者物価指数を発表した。季節によって変動幅の大きい生鮮食品を除く総合指数は2020年比で101.6、前年同月比は2.1%、前月比(季節調整値)は0.2%の上昇だった。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は2020年比で100.5、前年同月比は1.0%、前月比(季節調整値)は0.2%の上昇。

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値上げの波は家庭用耐久財にも

前年同月比で上昇幅が最も大きかったのは、ガス代で24.8%の上昇。次いで、電気代が22.3%の上昇と、エネルギーが総合指数の上昇に大きく寄与した格好となった。また、たまねぎが前年同月比+87.8%、まぐろが同+22.2%、調理カレーが同+18.2%、せんべいが同+10.7%と食料品の値上げが目立った。

さらに、値上げの波はエアコンやシステムキッチン、給湯器、パソコン、スマートフォンといった家庭用耐久財にも及びだしている。家庭用耐久財の5月分は、前年同月比7.4%の上昇だったが6月分は同9.1%の上昇と上昇幅を広げている。

そんな中、米アップル社がiPhoneを含む主要製品の日本での大幅な値上げをすることが明らかになった。日本経済新聞が伝えたところによると、日本での値上げは7月1日付け。

アップル製品最大25%の大幅値上げ

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最新機種の「iPhone13」の場合、改定前の価格の9万8800円から1万9000円値上げの11万7800円になる。「iPhone13Pro」は改定前の12万2800円から14万4800円に、「iPhone13Pro Max」は改定前の13万4800円から15万9800円に値上げする。それぞれの値上げ率は18~19%に上る。

タブレット端末「iPad」はさらに大幅な値上げになる。「iPad」は3万9800円から4万9800円に値上げする。値上げ率は実に25%に上る。「iPad Pro 11インチ」は9万4800円から11万7800円(値上げ率24%)に、「iPad Pro 12.9インチ」は12万9800円から15万9800円(値上げ率23%)にそれぞれ値上げする。

アップル社は、値上げの理由を明らかにしていないが、ほぼ間違いなく、このところ急進する円安ドル高だろう。日経新聞によると、アップルのルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は、4月に行われた株主総会で、「為替レートがドル高で推移していることは問題だ」と発言したという。

円安ドル高は今後も続きそう

円安ドル高基調は、主に日本とアメリカの政策金利の差にあると考えられている。アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ対策で市場に出回る資金を抑えるために、今年に入ってから幾度にわたって政策金利の利上げを行ってきた。

FRBのパウエル議長は6月末にポルトガルで行われた欧州中央銀行(ECB)の討論会で、利上げによる景気減速よりインフレ対策を重視する考えを示しており、アメリカは今後も政策金利の利上げをしていく可能性が高い。

一方で、日本は低金利政策を維持。というより、今の状態で日本が利上げをしたら、借金を抱えている企業の返済額が増え、倒産する企業が相次いだり、住宅ローンを支払えなくなる人が続出したりといったリスクがある。そのため、今の状態の日本には政策金利の利上げという選択肢は取れない。

そもそも、政策金利の利上げは景気が過熱し、アメリカのように「超インフレ」の際に行うものだ。日本は景気が良いとは言えず、むしろ不景気だ。国際通貨基金(IMF)によると今年4月時点でのアメリカのインフレ率は前年比+7.68%。日本は物価高傾向にはあるものの、前年比+0.98だ。

市場では低金利の円を売り、高金利のドルを買うという流れはしばらくの間、止まらないと見られている。iPhoneなどの“舶来品”をおいそれと買えない、大変な時代になってきたのかもしれない。