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シティ トランスフォーマーが目指す都心での空間づくりとは。都会の駐車スペースはますます少なくなっている。だからこそ1台の駐車スペースに4台のクルマが収まれば、どんなに実用的だろうと思うのも当然だろう。それを可能にするのが、この「シティ トランスフォーマー」なのだ。

あなたはクルマに一日平均どれくらい乗っているだろうか? 1日1時間以上なら平均以上、多くの人々はそれよりもかなり少なめに運転する。あとは、車は停まっている状態だ。しかし、この停まりっぱなしこそが問題になっているのだ。車の増加に伴い、都市部では駐車スペースが不足しつつある。また、都市計画者が意図的に駐車スペースを減らし、年々都心部から車を追い出そうとしているからでもあるからだ。

そして、人々もその流れを認めている。ミュンヘン市民がパブの前の通りにあるカフェテラスをシャニガルテンと呼ぶように、緑の帯は、駐車している車よりずっと住みやすい街を作る。しかし、だからといって、都市部での個人のモビリティをあきらめなければならないのだろうか? いや、アサフ フォルモザは決してそうではないと言っている。彼は、イスラエルに、スタートアップ企業「シティ トランスフォーマー(City Transformer)」を設立し、「ルノー トゥイージー」スタイルの超薄型シティカーをデザインした。

省スペース: シティ トランスフォーマーのシザーズドアは省スペースの利点の一つだ。

省スペースをモットーにしたシティ トランスフォーマー

幅わずか1メートル(長さ2.5メートル)の2シーターは、バイクの駐車スペースに停められるし、クラシックカーの駐車スペースなら4台が入るはずだ。また、ドアが上向きに開くため、隣人との距離が近くなるのも実用的な特徴だ。そして、何よりのアピールポイントは、ロードホールディングを向上させるために、トレッド幅を40cm広げることができることだ。

30km/hから、トランスフォーマーはトレッドの幅を広げるように促す。ボタン一つで40cmのアップが可能となっている。

ワイドトレッドによる安定性

ワイド化することで効果はあるのか? イエスだ! 我々はミュンヘンの路上で試してみた。ロディング社と共同開発したプロトタイプは、時速30kmまでは狭路モードで走行し、まだ少し車輪がふらつくが、その後はメータークラスタのメッセージで車線幅を広げるよう促してくれる。車輪が外側にスライドしていることは、ミラーや室内の外光で確認することができるが、ほとんど気にならない。ただ、「シティ トランスフォーマー」そのものは急に路面に対し硬くなったように感じるのは気のせいだろうか。

シティ トランフォーマーは最高速度90km/h、電池の航続距離は180kmと、街乗りには十分な性能を備えている。

2基の電動モーターで駆動

そして、より速くなるはずのXXLモードでは、それぞれ約10馬力の2つの電動モーターにより、最高速度90km/h弱を達成しているが、さらに速くなる可能性もあるという。航続距離は現在約180kmで、充電時間は家庭用コンセントから3時間半、急速充電器では30分ほどとのことだ。

2024年の発売と同時に入手したいは、現在予約受け付け中で、12,500ユーロ(約175万円)を支払う必要がある。その後、トランスフォーマーの価格は16,000ユーロ(約224万円)にまで上昇する予定だ。シンプルながらなかなか使い勝手のよさそうな内装である。

2024年末に量産開始予定

「シティ トランスフォーマーは、2024年末に量産を予定しており、現在12,500ユーロ(約175万円)で、予約受け付け中で、その後は、16,000ユーロ(約224万円)になる予定だ。また、開発者のアサフ フォルモザは、一般ユーザー向けのバージョンだけでなく、貨物バージョンも計画しており、可変スケートボードアーキテクチャーは、他の多くのスタイリングをも可能にするという。

【ABJのコメント】
以前にも書いたが、BEVはこういうシティーコミューターか、最上級で高価なモデルから普及していくべきである、というのが私の持論である。最高級で高価なモデルであれば新素材や技術を投入できるし、そういうモデルを買う層ならば、ほかにも自動車を持っているだろうから一台くらいBEVになっても普段の使用には支障ないだろう、というのが理由である。

一方でシティーコミューターからというのは、一回あたりの走行距離も限られているし、特に地方などで、ガソリンスタンドの閉鎖などにともなう不便さから解消されるのであれば、こういう普段の身近な足がBEVになることは大賛成である。その場合、軽自動車ほど立派でなくとも、もっとつっかけサンダル的に簡便で安価で、さらに小さいモデル、というのも必要なのではないだろうか、とも思う。トヨタをはじめいくつかのメーカーからもこういうBEVのシティーコミューターは登場しているが、今回のトランスフォーマーと比べてもまだまだ割り切れていないというか、高価で立派なような気もする。(KO)

【ABJのブツブツ・・・】
それにしても昔は日本のメーカーがもっとキュートなミニカーたくさん作ってたよなあ。「スバル360」とか「マツダ キャロル」とか「トヨタ パブリカ」とかも、その一群じゃないかな? 昔の東京モーターショーにはたくさん「ありえねー」けど、「かわいーい」コンセプトカーがたくさん展示されてて本当に楽しかった想い出がある。こういうのを作るのが得意なはずの日本で、もっともっとたくさんこういうEV生まれてきてもいいはずだけどなあ・・・。不思議。なんで? 大手メーカーは儲からないからやらない?大田区あたりの町工場から生まれてきてもいいと思うんだけどなあ。寂しいなあ。(DT)

Text: Michael Gebhardt
加筆:大林晃平 / 田仏呑
Photo: City Transformer