2022年6月2日、欧州トヨタはカローラ、カローラツーリング、カローラスポーツのマイナーチェンジモデルを発表した。日本ではカローラのマイナーチェンジは発表されていない。なぜなのか? 日本仕様のカローラシリーズの発売は、いつになるのか、気になっている人も多いことだろう。
さっそく、流通ジャーナリストの遠藤徹さんに、日本市場のカローラシリーズのマイナーチェンジはいつになるのか、今わかっている情報すべてお伝えしてもらおう。
文/遠藤徹、写真/トヨタ
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■欧州仕様カローラシリーズがマイナーチェンジ
2022年6月2日、欧州トヨタが発表した2023年モデルのカローラはフロントグリルのメッスパターンやフォグランプベゼル、アルミホイールのデザインを変更、テールランプ外形の変更はないものの、ウインカーのLED化。
またツーリングやハッチバックの上級グレードにはアダプティブハイビーム付きのLEDヘッドライトを採用。
改良型第5世代の2ZR-FXE型1.8リッター直4にモーターを組み合わせたリダクション機構付きシリーズパラレルハイブリッドは、モーター出力が従来比16%向上し、小型化されたモーターとギヤの最適化により従来比15%もの軽量化が図られている。
さらに新開発のリチウムイオン電池セルにより出力は15%向上、従来比30%もの小型化を実現しているという。
フロントモーターは72psから95ps、16.6kgmから18.9kgmに、リアモーターは7.2psから41ps、5.6kgmから8.6kgmに、システム出力は122psから140psへと大幅にアップしている。0~100km/hは1.7秒短縮し9.2秒となっている。
さらにメカニズム面だけでなく、スロットルペダルの操作量に応じてリニアな加速フィールに得られるように改良され、静粛性も向上しているという。
■日本仕様はどうなる?
日本仕様のカローラはセダン、スポーツ、ツーリングが2022年10月初旬にマイナーチェンジすると伝えられている。現行モデルはカローラスポーツが2018年6月26日、セダンとツーリングが2019年9月17日に発売されたから、およそ3年ぶりの改良となる。
今回のマイナーチェンジの内容は、欧州仕様に準じたエクステリアデザインの小変更をはじめ、新型1.8リッターハイブリッドシステムの搭載およびエンジンラインナップの再編、ボディカラーの変更、インテリアデザインの変更、法規対応など、かなり大幅なメニューとなる。
改良モデルのパワーユニットは現行シリーズの1.8リッターガソリンNA、1.8リッターハイブリッド、1.2リッターターボのうち1.8リッターハイブリッドは前述の新型の1.8リッターハイブリッドにアップデート。
1.8リッターガソリンNAは燃費が良く価格の安い1.5リッターに変更、販売不振の1.2リッターターボは廃止する。
1.2リッターターボには6MT車も設定しているが、こちらも廃止となる。現行モデルはすでに生産を打ち切っており、購入できない状況にある。改良モデルの生産開始は10月、価格が決まり、見積書の作成が可能になるのは2023年にずれ込む可能性がある。
インテリアは12.3インチのフルデジタルゲージクラスターが上級グレードに設定され、10.5インチのディスプレイオーディオPlusも設定されるもよう。
そのほか、最新のトヨタセーフティセンスや高度駐車支援システム・アドバンスパークなどRAV4やハリアー、ノア&ヴォクシーで新装備、アップデートされた最新装備が改良型カローラにも設定される。
このほかカローラシリーズはSUVのカローラクロス、前モデルから法人向けのセダンであるアクシオ、ステーションワゴンのフィールダーがある。カローラクロスは変更されないが、ハイブリッドに受注が集中し、生産が追いつかないため、オーダーストップとしている。
1.8リッターガソリンNA車は受注を継続しているが、納期は2023年5月以降と大幅に先送りとなっている。
継続生産している前モデルのアクシオ、フィールダーは新世代モデルのカローラセダン、同ツーリング登場後1年で生産中止する予定だったが、法人向けが引き続き堅調に売れているため、生産を継続している状況だ。
現行モデルはセダン、ツーリング、スポーツが10月にマイナーチェンジするが、アクシオ、フィールダーは別に2ヵ月前の8月22日にも一部改良が行われる。改良の内容は、LEDヘッドランプの標準装備、フィールダーにフルフラットシートを採用、走行車外騒音&排ガス低減などの法規対応などである。
カローラシリーズは最近、月販1万台規模をコンスタントに売るトヨタ陣の中心モデルとして上位に君臨している。
シリーズ全体に占める販売構成比はクロスが圧倒的な人気の高さで約半分、残りの40%をツーリング、スポーツ、セダンで分け合い、10%は前モデルのアクシオ、フィールダーが占めるといった割合になっている。
今回のマイナーチェンジで頭打ちだったトータルの販売台数を10%程度の上乗せを目指すことになる。各ボディタイプの販売構成比は大きく変化することはないが、シリーズ全体のボリュームアップによって、販売ランキングは車名別でのトップ奪還を目指すことになりそうだ。
ただサプライヤーからの半導体を中心とした部品の供給が遅れは依然続いており、10月上旬から改良モデルの生産を開始するわけだが、9月上旬から先行予約の受付をスタートさせる。
その分が受注され、ナンバーを取得し納車されるのは2023年にずれ込む見通し。それまで改良モデルのオーダーはできないのだが、実際はこれまでの受注残があるので、この分が生産されユーザーのもとに届けられるので、表面上はカローラシリーズの販売はそれほど凹凸なく続けられる形となりそう。
しかしながら販売店にとっては6月下旬時点でのカローラクロスのガソリンNA車以外は売ることができないので、苦境に追いやられている状況にあるのは間違いない。絶対的な登録台数が減少するので年内は銘柄別登録ランキング争いで不利な状況に追いやられる状況にある。
したがってカローラシリーズトータルとして本格的な増販活動が展開できるのは2023年以降になるものと思われる。
■首都圏カローラ店営業担当者のコメント
「カローラシリーズで今、受注ができるのはクロスのガソリンNA車だけだから困っている。それも納期が2023年の4月以降だから、受注してもそれまで納車ができず販売したことにならない。
セダン、スポーツ、ツーリングは10月上旬にマイナーチェンジするので、現在はオーダーストップ状況にある。先行予約の受付がスタートするのは9月上旬で納期は来年にずれ込む見通しである」。
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