<p>安楽死解禁20年のベルギー 医師に聞く現場の声</p><p>安楽死解禁20年のベルギー 医師に聞く現場の声</p><p>【7月3日 AFP】「安楽死は他の医療処置と変わりません。</p><p>安楽死が認められるのは、不治の病に侵され、緩和できない肉体的・精神的苦痛に常時さいなまれている患者だけだ。しかも、本人が安楽死の希望を、他者の圧力に左右されずに十分考え抜いた上で明確に、繰り返し表明した場合でなければならない。 ドクロリー氏が安楽死の処置を行うのは、自分以外にもう1人の医師も患者の要求を認めた場合のみ。「安楽死は決して簡単なことではありません。しかし、患者やその家族と一緒に取り組むプロセスの終着点です。安堵(あんど)とともに終わりをもたらす方法です」 ベルギーでの昨年の安楽死は2700件で、死者全体の2.4%を占めた。当局によると、大半は60~89歳の患者で、10人中8人は余命宣告を受けていた。また安楽死の半数以上は患者の自宅で行われた。 ■「安楽死の処置を受ける人、救命処置を受ける人、どちらも尊い」 安楽死の瞬間は「人間的なレベルで、非常に豊かです」とドクロリー氏は話した。「さまざまな感情を目にします。それによって私たちも成長し、前進できます」 しかし、「1か月に3件以上の安楽死を扱うのはつらいです」とも言う。 ドクロリー氏は、命を救う処置と命を終わらせる手伝いをする処置は、ベルギーの法律の範囲内にあり、矛盾はしていないと考えている。「それどころか、どちらも同じことです」と話す。 「安楽死の処置を受ける人も、救命処置を受ける人も、同じように尊い存在だと思います。単に状況が違うだけです」 ドクロリー氏はベルギーの安楽死法を「非常に良い法律」だと評価する。安楽死の希望が認められなかった場合でも、患者が孤立しないよう保証されていると話した。 「医師が『ノー』と言っても、そこで終わりではありません。(患者が置かれた)状況について違う見方をする人々のケアを受けることができます」</p>