NASAが月探査のために打ち上げた小型衛星(キューブサット)「CAPSTONE」。7月5日に通信障害を発生し、再接続を試みていることが明らかになった。
CAPSTONEは7月4日に地球軌道を離れて月へ向かったところだったが、予定していた最初の軌道修正操作を行う前に通信に障害が発生した。NASA広報のSarah Frazier氏は「現在、原因の究明と通信の再開に取り組んでいる」とし、「CAPSTONEの正確な軌道情報を持っている」とコメント。また「必要なら最初の軌道修正を数日間遅らせられるだけの、十分な推進剤を搭載している」と説明している。
CAPSTONEは電子レンジサイズの小型衛星で、名称は「Cislunar Autonomous Positioning System Technology Operations and Navigation Experiment」を略したものだ。NASAのアルテミス計画の一環として宇宙ステーション「月軌道ゲートウェイ」の投入が予定されており、この投入される “特殊な月楕円軌道” 「Near Rectilinear Halo Orbit(NRHO)」に先着し、事前の情報収集を行うことを目的としている。
6月28日にCAPSTONEは、Rocket LabのElectronロケット上段のLunar Photonに取り付けられ、打ち上げられた。その後地球軌道を周回しながらPhotonのエンジンによって徐々に加速し、十分な速度を得た7月4日に月へと向かったところだった。
計画どおりに事が進めば、11月13日にNRHOに入る予定だ。そして軌道の安定性、月軌道上の航行、通信に関する試験を、2009年から月軌道上にいるLunar Reconnaissance Orbiter(LRO)と連係して行う手立てとなっている。
またNASAは、無人のOrion宇宙船を月周回軌道へ投入する試験飛行「Artemis I」を予定しており、米Ars Technicaのインタビューによると、「8月23日から9月6日の打ち上げウィンドウ(発射時限)に向けて動いている」という。そして2023年には、4人の宇宙飛行士がOrionに搭乗して月に向かう計画だ。