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 F1第10戦イギリスGPでシャルル・ルクレールがレースをリードしながら勝利を失った後、フェラーリチーム内に不協和音が生じているという報道を、ルクレールは打ち消した。

 モナコGPと同様、ルクレールはトップを走っていたものの、終盤のセーフティカー導入時のフェラーリの戦略判断によって首位の座を失ってしまった。セーフティカー導入中に、フェラーリは2番手を走行していたカルロス・サインツを呼び戻して新品のソフトタイヤに交換させ、ルクレールはハードタイヤのまま先頭でステイアウトさせた。しかし残り約10周というところでレースが再開されると、ルクレールは、タイヤのアドバンテージを持つサインツに抜かれてしまった。ルクレールは果敢に2番手のポジションを守ろうとしたが、最終的にレッドブルのセルジオ・ペレスとメルセデスのルイス・ハミルトンに追い抜かれ、優勝するはずだったレースを4位でフィニッシュした。

 レース直後、パルクフェルメでルクレールと話をしていたフェラーリ代表マッティア・ビノットは、彼に対し指を立てて戒めるような仕草をしたように見えた。これについてビノットは「またしても不運」だったルクレールのことを慰めようとしていたのだと後に説明した。

「彼ががっかりしているのは分かっていた。だが私が彼に話したのは、彼がまたしても素晴らしいレースをしたということだ。彼はレースのファーストラップで素晴らしいバトルをした。そしてセーフティカーからのリスタート後に彼が見せたドライビングとポジションの防御は、驚異的でずば抜けていた。だから私は彼に冷静になるように伝えた。彼のドライビングは素晴らしかったからだ」

 今週、ふたりはモナコのオテル・ド・パリで食事をしたことも分かっている。ルクレールは、レース直後のビノットとの会話について、ビノットと同様の説明を行った。

2022年F1第11戦オーストリアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2022年F1第11戦オーストリアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

「シルバーストンの後、僕がひどく落ち込んでいるのを見て、彼は最初は僕に腹を立てた。もちろん僕が落ち込んでいることを理解していたけれど、彼としては、僕を元気づけたいと思ったんだ。セーフティカー後の状況からすれば、すごい仕事をやってのけたんだということを、僕に理解させようとしていた」

『Sky F1』の解説者ジェンソン・バトンは、このふたりの説明に疑問を示すように、「そうだね、僕も友人を元気づけるときはいつも、人差し指を立てるね」と冗談めかして語った。

「彼(ルクレール)にとってきついレースだった。レースのファーストラップで、ターン4でチェコ(セルジオ・ペレス)と接触した彼は、ウイングを破損した。それでもいいペースを出していた。彼はチームメイトを追いかけ、結局ふたりは順位を入れ替わって、ルクレールがトップに立った。でも終盤のセーフティカーで良くないピットストップ戦略が採られた。またこういうことが起きた。モナコと同じことだ。厄介なことだよ。誰の判断かは分からないが、彼が優勝を逃すことになったのは明らかだ」

 イギリスGP後、一部イタリアメディアが、フェラーリチーム内に亀裂が入りつつあると報道した。元フェラーリの広報担当者だったアルベルト・アントニーニが、フェラーリのルクレール側の担当スタッフたちの一部が当初、サインツの表彰式とレース優勝後のグループ写真撮影への参加を拒否したと伝えたのだ。

「信頼している情報源によると、シルバーストンでのレースの直後に見苦しい出来事が起きたと聞いた」とアントニーニはウェブサイト『formulapassion.it』のコラムに書いている。

「フェラーリの一部のスタッフが、少なくとも最初は、表彰式と写真撮影への参加を拒否したということだ。もし事実なら、私が恐れているように、それは良い兆候ではない。ガレージ内での、多少の健全なライバル関係は問題ない。それぞれのメカニックと技術者が“担当の”ドライバーを応援することも問題ない。だが共通の関心は勝利を目指すことでなければならない」

 オーストリアGP前の木曜に、ルクレールは、フェラーリが分裂しつつあるといううわさは「全く真実ではない」とコメントした。

2022年F1第10戦イギリスGP カルロス・サインツ(フェラーリ)の初優勝を祝う記念撮影にシャルル・ルクレールも参加
2022年F1第10戦イギリスGP カルロス・サインツ(フェラーリ)の初優勝を祝う記念撮影にシャルル・ルクレールも参加

「どこに行ってもこの質問を受けるので、この話をする必要がなければよかったんだけどね。この種のことのために戦わないで済むことを願うよ。僕たちは固く団結している。1位と4位という結果に不満はあったかといえば、もちろんあった。一方で、カルロスが初優勝したことを僕たちは心から喜んだ。これは本当だ」

「セーフティカー前には1番手と2番手だったのに、1位と4位という結果になったのだから、ある種の失望感はあった。それでもチーム内に分裂がないことは確かだ」