Bloombergが関係者からの情報として伝えるところでは、Twitterは440億ドルの買収契約を破棄しようとするイーロン・マスク氏を訴えるため、企業買収案件に強い法律事務所のWachtell, Lipton, Rosen & Katzを採用したとのこと。事務所の創業者のひとりマーティン・リプトン氏は、当初Twitterがマスク氏の買収計画を食い止めるために採用しようとした「ポイズンピル」手法を編み出したと言われている人物。
Twitterは、買収の約束を撤回すると米証券取引委員会(SEC)に申し出たイーロン・マスク氏に対し契約履行を求める訴訟を起こすと述べているが、そのために強力な弁護士事務所を起用したと報じられている。
また、この事務所にはデラウェア州衡平法裁判所でサザビーズなどの大企業とともにアクティビスト、いわゆる “物言う投資家” らと対峙してきたウィリアム・サヴィット氏や、デラウェア州衡平法裁判所理事長などを歴任してきたレオ・ストライン氏がパートナーとして加わっている。
一方、マスク氏は以前、タイの少年サッカーチームの洞窟遭難で救助に当たっていたダイバーと、くだらない口論から訴訟沙汰に発展した際に組んだQuinn Emanuel Urquhart & Sullivanを起用。この事務所はほかにも、テスラ株式を非公開化するため「資金確保」したとの発言から勃発したSECとの裁判や、現在もテスラの株主とのあいだで進行中の訴訟案件でも手を組んでおり、いわば馴染みの事務所だ。
Bloombergいわくデラウェア衡平法裁判所は、買収契約を取りやめようとする動きに対し厳しい見方をすることが多いと伝えている。たとえば2000年に起きた、Tyson Foodsによるライバル会社IBPの買収契約撤回に関する訴訟では、買収合意後に市場の急激な悪化で両社に財務的な影響が及んだ際、Tyson側がIBPから事業状況について誤解を招く情報を与えられたと主張して買収を撤回しようとしたものの、裁判所はこれを認めず取り引きの実行をTysonに命令した。これはその後の買収撤回訴訟に大きく影響する画期的な判決になった。そしてこの裁判を裁いたのが、今回Twitter側に付いているストライン氏だ。
なお、マスク氏は買収契約の解除を申し出たほうが違約金10億ドルを支払うとする条項についても、Twitter側がデータを偽っているとの主張から回避できると主張しているが、これに関しても裁判所は判断を下すことになるはずだ。