安全性能や運転支援など、以前と比べてクルマに求められる機能が格段に増えた昨今、新型車の価格は高騰し続けている。コンパクトカーでも300万円、ミドルクラスSUVともなれば400万円は当たり前になってきており、新車購入のハードルとなっている方も多いだろう。
しかし、そんななかでも、価格のわりに満足度の高い、「コスパのいいモデル」はいくつかある。300万円以下でも十分に満足できるクルマとそのグレードを4つ、ご紹介しよう。
※あまりに安くてあまりに高性能で、この手の企画では必ずといっていいほど真っ先に登場するスズキスイフトスポーツ(6AT、2,088,900円)は「殿堂入り」ということで本企画からは外させていただきました。なんかスイスポを入れてこの手の企画を考えると、いろいろ基準がバグります。安すぎ。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、SUBARU、MAZDA
マツダ「MAZDA3 XD Proactive Touring Selection」税込291万円
2019年に「アクセラ」の後継モデルとして登場した「マツダ3」。「美しく走る」というコンセプトのもと、「引き算のデザイン」が取り入れられたボディスタイルが特徴的なモデルだ。ファストバック(ハッチバック)とセダンの2種類のボディサイズがあるが、販売の中心となっているファストバックのリアCピラー周りは、登場から3年が経った今でも、斬新でカッコ良い。
マツダ3のエントリーモデルは、1.5Lガソリンエンジンの「15S」。税込222万円からと、手が届きやすい価格だが、筆者がお勧めしたいのは、1.8Lディーゼルエンジンの方。1.8Lディーゼルの静粛性の高さは、VWゴルフGDIよりも優れていると感じる。燃費もWLTCモードで21.5km/h(16インチ)と十分だ。
エントリーモデルよりも70万円高くはなるが、「XD Proactive Touring Selection(291万円)」であれば、クルージング&トラフィック・サポート(アダプティブクルーズコントロール)やアダプティブLEDヘッドライトヘッドアップディスプレイなど、安全装備と快適装備が充実している。快適な長距離移動を望むみならば、マツダ3のディーゼルモデルは選択肢から外さない方がいいだろう。
スバル「インプレッサスポーツ 2.0e-L EyeSight」税込256万円
この数年乗ったAWD車の中で、ダントツに印象的だったのが、このインプレッサスポーツだ。デビューした年の2016-2017のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。デザインは地味で、エンジン性能も大したことはないのだが、いざ乗ってみるとよさがすぐにわかる。
運転席から左右を見渡したときの視界の良さや、左後方に振り返ったときの視野の広さなどは抜群。ダッシュボードやウィンドウガラスの下端のラインが低いため、安心して運転ができる。また、人が座る位置を車両中央寄りに配置しているため、ドライバー席とドアとの距離が広くとれており、車室内が広く感じられる。
特筆すべきはAWDの安定感だ。ハンドリングは非常に軽快で、素早い操舵入力にもしっかりと車両が反応し、狙ったラインを少ない操舵角でビシッとトレースできる。旋回中の切り増しや、不安定になりやすい旋回ブレーキングであっても、挙動は乱れず常に安定している。もちろんAWDの恩恵が大だが、タイヤやサスペンション、そして車体まで含めたシャシーのポテンシャルがずば抜けて高いことも貢献しているだろう。
AWD車のベース価格は税込256万円、ここにビルトインタイプのナビゲーション(税込約27万円)も選択すれば、283万円程だ。LEDヘッドライトや前席シートヒーター、パワーシートのセットパッケージ(約20万円)を足してもよいだろう。もちろんアイサイトは標準装備だ。
スバルの走りの良さを味わいたいならば、このクルマがおススメ。装備内容を考慮すると、300万円以内に収まるのは驚異だ。
日産「ノートオーラ G」税込261万円
CセグやDセグといったアッパークラス国産車からのダウンサイザーをターゲットするノートオーラは、ベースのノートから、各所が大幅にクオリティアップされており、まさに「プレミアムコンパクト」とよぶにふさわしい仕上がり。5ナンバーサイズのノートに対し、全幅を片側20ミリ広げて3ナンバーサイズとし、17インチタイヤ(樹脂加飾付き)と、専用のエクステリアデザイン、クオリティアップがなされたインテリアが装備されている。
ベース車は261万円。これに、BOSEオーディオ、ナビリンク付プロパイロット、ETC2.0などがつく40万円のセットパッケージ(これがないとオーラの良さを享受できない)を選択すると302万円。300万円以下、とはいかないが、十分に射程圏内だろう。
ちなみに、予算に余裕があれば、4WDモデルもおススメだ。容量の大きなリアモーターを備え、滑りやすい路面で役立つ生活4駆としてはもちろんのこと、コーナリング性能や高速直進性が高くなることで、絶大な走行安心感を得ることができる。
トヨタ「カローラクロス ハイブリッドZ」税込299万円
エントリーモデルは税込199万円という、驚きのコスパを実現しているカローラクロス。C-HRとRAV4の間を埋めるサイズ感のSUVだ。全車速追従型レーダークルーズコントロールやレーントレーシングアシスト、ペダル踏み間違い時の急加速を抑制するプラスサポートといった先進安全技術「トヨタセーフティセンス」は、全車標準装備。パワートレインは、ハイブリッドとガソリンの2種類をもつが、おすすめしたいのは、クラストップレベルの26.2㎞/Lを達成するハイブリッドモデルの方。
なかでも最上級グレードの「HYBRID Z(299万円)」は、タイヤ&ホイールが18インチとなるほか(その他は17インチ)、運転席の電動ランバーサポートや、シートヒーター(運転席・助手席)も備わるなど、贅沢装備がてんこ盛りだ。ここはぜひ、最上級グレードを選択して、お得感を味わってほしい。
リセールも考慮して選ぶべし!!
300万円をきるモデル、といえば、例えばトヨタRAV4(277万円)もそうだが、本文中でご紹介したように、ひとつ車格を落としたカローラクロスのほうが、装備を充実させることができて、カーライフがより豊かになるはず。またリセールも、装備が充実している上級グレードのほうが(モデルによって細かな違いはあるが)、有利になりやすい。
クルマは見た目も大事だが、使い勝手も同じくらい(もしくはそれ以上に)大事。もちろん、それぞれの嗜好や価値観によって答えは変わってくるが、よくわからないという方や、クルマ選びに迷っているという方には、本稿が参考になれば幸いだ。
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