D’station Racing
Race Report – 2022.7.13
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2022 FIA World Endurance Championship
Round.4 6 Hours of Monza (ITA)
JULY. 8 – 10 Qualify :9th / Race:11th
好感触でレースを進めるも思わぬトラブル。昨年の再現ならず
昨年を超える成績を目指しつつも、リタイアという悔しい結果となった第3戦ル・マン24時間を終え、2022年のWEC世界耐久選手権は第4戦となるモンツァを迎えた。世界で3番目に古い歴史と伝統を誇る高速コースで、D’station Racingにとっては2021年、念願の表彰台を獲得した思い出深いコースだ。
そんなレースウイークは7月8日(金)午後3時30分から走行がスタートした。今年のモンツァは暑く、気温30度を越えるほど。藤井誠暢から星野敏、そしてチャーリー・ファグと交代しながら、タイヤが厳しくなるであろう決勝のロングランを見据えたセットアップを進めていった。
走行2日目となる7月9日(土)も引き続きセットアップを進めていったが、午前9時からのフリープラクティス2では13番手。さらに午後1時30分からのフリープラクティス3では5番手と、ドライバーたちは3名とも良好なフィーリングを確認。レースに向けて期待が高まっていった。
この日は午後5時30分から予選が行われたが、アタッカーを務めたのは2021年も好調で、今回もアベレージラップが良い星野。好感触そのままにアタックに入っていくが、コンディションの変化かアンダーステアとなり、タイムを伸ばせず。1分48秒957というベストタイムで9番手につけることになった。しかしそれでもシングルポジション。決勝で昨年の再現を実現する可能性は十分で、ドライバーは全員が自信を得ていた。
明けて7月10日(日)のモンツァも晴天に恵まれた。D’station Racingのスタートドライバーを務めたのは、今回も藤井だ。1周目、非常にタイトなシケインである1コーナーで混乱があるも、藤井はそれをうまくくぐり抜け5番手にジャンプアップ。さらに7周目には4番手、11周目には3番手へと浮上するが、その頃、今回から参戦を開始したハイパーカーの1台がスローダウン。フルコースイエロー(FCY)が入ると、その後も序盤からFCYが頻発する。
そんななか、チームはアンダーカットを狙い藤井を呼び戻し、星野に交代。FCY解除後、1分49秒台のラップを刻んでいくと、作戦が功を奏し3番手へ。他車がピットに入るタイミングを考えると、実質の首位となっていた。
昨年の再現をうかがわせる快走だったが、その後思わぬ展開となっていった。ドライバー交代後、FCY時のスピードオーバーによりドライブスルーペナルティを受けてしまい、9番手に後退していしまう。ただ、それでも他車のピットイン後、3番手に浮上する。レースはまだまだ長い。挽回の余地は十分にあった。
ただ、スタートから1時間33分というタイミングで、D’station Racingのアストンマーティンがスローダウンしている光景が飛び込んでくる。原因はスロットルペダル系センサーの不具合。なんとかピットに帰り着いたものの、修復のためのパーツ交換に10分間の時間を要し、トップからは6周遅れとなってしまった。
これで2021年の再現は限りなく厳しくなってしまった。それでもコースに戻った星野は、土曜までの好調そのままに好タイムでラップを重ねていくと、ダブルスティントを敢行し規定のラップを消化。ファグに交代しふたたびダブルスティントで走ると、最後は藤井がコクピットに戻りチェッカー。昨年、アンカーを務め世界の注目を浴びた藤井にとっては寂しい最終スティントとなったが、しっかり11位でフィニッシュした。
トラブルがここ2戦続いているが、次戦だけはそれは許されない。9月9〜10日に開催される第5戦は、2019年以来の開催となる富士スピードウェイでのレースだ。チームの地元で負けるわけにはいかないのだ。コロナ禍の2021年にWECへの挑戦を開始したD’station Racingにとって、初めてとなる凱旋レース。応援してくれるすべての人たちのためにも、好結果を狙いに行くのは言うまでもないだろう。
COMMENTS:
Driver:Satoshi HOSHINO
「WEC第4戦モンツァを終えることになりました。決勝レースでの結果としては11位というものでしたが、個人的には反省点と収穫がそれぞれあるレースでした。反省すべきところは、やはりFCYでのペナルティを受けてしまったことです。イレギュラーな対応を自分が取り切れなかったですね。収穫としては、個人のスティントで満足がいく、過去にない出来映えの走りができたということです。WECでの走りが身についているな、と実感しています。次戦はいよいよ地元日本、富士スピードウェイでのレースです。これまで得てきた経験を活かし、良い成績でフィニッシュできるよう全力を尽くしていきたいと思います。今回もご声援ありがとうございました」
Driver:Tomonobu FUJII
「モンツァでのレースは結果としては11位というもので、リザルトとしては良いものが残りませんでしたが、序盤3番手に上がり、その後アンダーカットのためにピットインするなど、チームが素晴らしいストラテジーを組んでくれました。また星野選手のアベレージが非常に速く、ブロンズドライバーのトップクラスだったので、序盤は上位争いをすることができました。その後ペナルティ、スロットルのトラブルもあり結果には繋がりませんでしたが、内容としてはこれまでのなかでも良いレースと言えるものでした。いよいよ次戦は富士です。チームとしても地元ですし、コースも慣れています。アストンマーティンとの相性も良いはずなので、次戦良いレースをしたいですね」
Driver:Charles FAGG
「今回もまずは星野サン、藤井サンに、モンツァでのWECを戦う素晴らしい機会をもらえたことを感謝しなければいけないね。レースではドライバーとしてもチームとしても、良いレースプランでトップクラスのペースを披露することができた。このところ毎戦良くなっているし、星野サンは本当に速かったよね! それに藤井サンも序盤アメージングな走りをみせてくれて、3番手まで上がってくれた。良いレースをしていたけど、ペナルティとトラブルで後退してしまった。でも、僕も良いラップを刻めたと思っているよ。次戦はチームにとっては地元のレースとなる富士だ。表彰台を獲得するポテンシャルは僕たちには十分あると思っているんだ」
Team Director:Tom FERRIER
「走り出しからBoPの面でライバルに対し苦しい印象があった。しかしクルマの仕上がり、特にロングランのセットが良いかたちで進み、予選では9番手だったが、決勝では確実に順位を上げることができたし、チームの判断、ストラテジーがすべてうまく進んでいたので、良い内容のだったのではないだろうか。今回最も良かったのは、星野サンのアベレージラップがブロンズのトップクラスだったことだ。このクラスでは最も重要で、うまくレースを進められていたら、表彰台はいけたと思っているよ。次戦は富士でのレースだ。D’station Racingにとってのホームなので、しっかりと準備をし、次戦こそ今年いちばんのリザルトを残したいと思っている」
Chief Engineer:Jonathan LYNN
「結果としては11位だったが、序盤のピットインのタイミング、ストラテジー、今回持ち込んだモンツァ用のセットアップも、特にロングランのタイムが安定していたので、個人的には満足しているよ。レースでは残念ながらスロットルのトラブルが出てしまい、ピットでの修復が必要になってしまったが、ドライバーは3人とも非常に良いペースで走れていたので、本来もっと上位でレースが戦えたと思っているよ。次は富士でのレースだ。モンツァと特性は似ているが、セクター3が重要になるだろう。セットアップもさらに煮詰めていき、富士では良い成績が出せるようにエンジニアとしてさまざまな状況を想定したストラテジーを考えていきたい」