TKRI
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第3戦 SUGOスーパー耐久3時間レース
2022年7月9日(土)〜7月10日(日)
スポーツランドSUGO(宮城県)
入場者数:7月9日 2,900人
7月10日 4,600人
先行逃げ切りの作戦は惜しくも実らず
4位でST-X参戦2戦目を終える
FREE PRACTICE
3月に行われた第1戦鈴鹿では2位表彰台を獲得し、ST-Xクラスでのデビュー戦を素晴らしいかたちで終えたTKRI。6月に行われた第2戦富士は例年同様スキップし、7月9〜10日に行われる第3戦SUGOに挑んだ。2021年にST-Zクラスで念願の初優勝を飾った思い出深いコースであり、その再現を狙うべく、事前にテストもこなし、7月7日(木)からのスポーツ走行に臨んだ。この日は朝から雨混じりのなか、25分ずつ3本の走行をこなしセットアップを進めていった。
明けて7月8日(金)は午前9時15分から専有走行がスタートした。この日も朝は雨が残っていたが、走行開始前に雨は上がり、コンディションはドライに転じていった。TKRI松永建設AMG GT3は、元嶋佑弥から走行を開始すると、8周目に一気に1分21秒766にタイムアップ。その後DAISUKE、中山友貴、ふたたびDAISUKEと走行。元嶋のタイムでまずは首位で走行を終える。
午後0時50分からの専有走行2回目を前に天候は回復し、爽やかな晴天のもと午前と同様、元嶋からコースインし、DAISUKE、中山と交代しつつ、42周をこなした。この専有走行でも元嶋がマークした1分21秒792が最速となり、TKRI松永建設AMG GT3は2セッションを首位で終えた。ただ、DAISUKEは「まだ課題がある」と悩んでいる様子をうかがわせた。
QUALIFY
7月9日(土)の予選日は、朝から細かい雨が降ったり止んだりのコンディション。午前のフリー走行を終えた後、一時は天候が好転したかに思われたが、午後1時05分からスタートしたAドライバー予選では、スタート直前に雨が降りはじめ、チームはDAISUKEのために急遽ウエットタイヤに換装。DAISUKEは濡れた路面でマージンを保ちつつ、4周目に1分33秒846をマーク。クラス3番手につける。
直後、路面はふたたび乾いたが、午後2時05分からのBドライバー予選では、なぜかまたも雨が強くなっていった。元嶋は一度スリックでコースインするも、すぐにウエットタイヤへ交換。1分33秒624で2番手に。合算で3番手という順位となった。ポールポジションが狙えただけにやや悔しいところもあるが、悪くない位置につけ、中山もしっかりとCドライバー予選を終え、予選日を締めくくった。
RACE
午前のグループ2に続き、晴天のもと迎えた7月10日(日)の決勝グループ1。前日の予選ではST-Xが走行するタイミングで雨が強まったことから、ST-Zクラスの車両がグリッドの前につける珍しい予選順位となっていた。総合では13番手からのスタートで、前方にはST-Zクラスの車両がひしめいている。
今回、TKRIが目論んだプランはスタートドライバーの元嶋、第2スティントの中山で大きなリードを築き、アンカーに据えたDAISUKEまでに大きなマージンを築くというもの。これを確実に遂行するためには、序盤ST-Zの集団をいかに早くかわしていくかにかかっていた。元嶋はスタート直後、この期待に応えるべく得意の果敢なオーバーテイクでグイグイとポジションを上げると、2周目には総合トップに浮上してみせた。その後も手綱をゆるめることなく、2番手以下に対し5周目には3.8秒、さらに15周目には7.2秒のリードを築く。
しかしこの日のSUGOは晴天ということもあり気温が高く、その影響もあって元嶋は25周を過ぎたあたりから少しずつペースが鈍ってしまう。40周目、ST-Z車両がコース上にストップし、フルコースイエローが導入されると、その後は3秒ほどにマージンが減ってしまった。さらに、元嶋の前には先にピット作業を済ませたライバルたちが出現。ペースが乱されることから、45周を終えピットイン。中山に交代する。
元嶋が思ったほどマージンを築けなかったことから「ドキドキしました(笑)」という中山だったが、期待に応え交代直後に1分23秒181という最速タイムをマーク。ふたたびマージンを築いていった。15秒から20秒近くまで2番手以下との差を広げ大役を果たした中山は、1分24秒〜25秒台のハイペースを保ちつつ、DAISUKEがこなさなければならない周回を計算しながら84周を終えピットインを行った。
ライバルたちもその頃にはピット作業を終えていたが、DAISUKEがコースに戻ると、2番手とは26秒ほどのマージンがあった。2番手、3番手はDAISUKEと同じジェントルマンドライバーだが、4番手の#888 メルセデスと5番手の#16 ポルシェにはプロが乗っていたのだ。TKRIとは異なる戦略を採った2台だった。特に#888は、昨年TKRIに加わった経験がある高木真一選手。速さは良く知っている。
ここでいかにDAISUKEが高いペースを保つかが重要だったが、コースイン直後、コクピット内でわずかにトラブルがあり、わずかにタイムロス。しかし自らこれを解決すると、1分25秒台にペースアップを果たす。だがプロが駆る2台が終盤、急速にDAISUKEとの差を縮めてきた。他クラスの車両をかわす際に、まだ一瞬の躊躇があるDAISUKEとの違いがタイム差に表れ、マージンは1周ごとに減っていく。
106周目、ついに#888 メルセデスが近づくと、1周は抑えきったもののやはりペースが圧倒的に異なった。3コーナー立ち上がりで先行を許すと、さらに109周目には#16 ポルシェもDAISUKEをパス。表彰台圏内を死守したかったが、今度は116周目、#31 RC-F GT3もTKRI 松永建設 AMG GT3をかわしていった。
DAISUKEはなんとか#31 RC-F GT3に食らいついていったが、再逆転することはできず。TKRI 松永建設 AMG GT3は最終的に4位でチェッカーを受けることになった。
DRIVER’S VOICE
DAISUKE
この結果は、今後の成長のための悔しさだと思っています! プロドライバーはやはり速さがありますね。最後はなんとか表彰台には食い込みたいと思いましたが……。今回のレースでいろいろな課題も分かりました。第1戦鈴鹿でもそうでしたが、トラフィックの処理が本当に自分にとって課題なんですね。そこで人よりも大きくタイムロスをしてしまう。次戦のオートポリスは特に全クラス混走ですし、トラフィックの処理をなんとかしないと勝負権がなくなってしまいます。こういった課題をどうするかしっかり取り組んで、次戦に向けて頑張っていきたいと思います。
元嶋 佑弥 YUYA MOTOJIMA
良いレースだったと思います。DAISUKEさんの速さ、頑張りをこのSUGOでずっと観ることができましたし、トップを争うことができました。僕のスタート直後は、河野監督からも『あそこで前に出ないと勝てない』と言われていましたし、今日のハイライトだと思って集中していきました。その後ペースが上がらなかった点については思い当たるところもあったので、次戦までに改善したいと思います。また他にも詰められる部分も課題として見つかりましたし、次戦のオートポリスはすぐやってくるので、チームみんなで見直し、熱い気持ちで最後まで頑張っていきたいと思います。
中山 友貴 YUUKI NAKAYAMA
優勝できそうな雰囲気もありながら、終わってみれば4位という結果でした。予選で3番手につけられたのはチームが素晴らしい判断をしてくれたことが繋がったと思います。そのポジションを得られたことで決勝では元嶋選手が序盤からプッシュしてくれて、僕のスティントでさらにギャップをつけたかったのですが、思ったほど差がつかず僕に交代したので、少しドキドキしましたね(苦笑)。でも僕のスティントではマージンを築くことができました。もう少しギャップが築ければ良かったですけどね。しかし勝てる感触はありましたし、クルマも速いので、次戦がすごく楽しみです。
河野 高男 監督 TAKAO KOHNO
残念です。そのひと言ですね。でも、DAISUKE選手は本当に頑張ってくれました。すごく大きなプレッシャーがかかるなかであの走りを見せてくれたことに感謝しています。想定どおりのラップタイムで走ってくれました。しかし、なかなかジェントルマンドライバーには難しい、トラフィックの処理が課題になりましたね。そこは練習しかありません。戦略面ではセオリーどおりのものになりましたが、ライバルを見ると正解だったと思っています。今後も戦略を探りつつ、何が勝つために採れるものなのかを考えていきたいです。とにかく1勝したいですね!