全日本スーパーフォーミュラ選手権は、今週末7月16〜17日に行われる富士スピードウェイでの第6戦で、早くも2022年シーズンの後半戦に突入する。雨模様となった走行前日、現在ランキング2位の平川亮(carenex TEAM IMPUL)に、今週末へのアプローチと戦いのキーポイントを聞いた。
■2022年シーズン前半戦の流れを簡単におさらい
4月、富士の連戦で平川と野尻智紀(TEAM MUGEN)が勝利を分け合ってシーズンが始まった後、雨の第3戦鈴鹿サーキットでは松下信治(B-Max Racing Team)が初優勝。
第4戦オートポリスでは平川が決勝での強さを見せ2勝目を挙げ、続く6月のスポーツランドSUGO戦では、抜群のスタートを見せたサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)がキャリア初優勝を遂げた。
現在のポイントランキングトップは、開幕から3戦連続で表彰台に上った野尻。野尻は第2戦から4戦連続でポールポジション(PP)を奪う速さも見せており、PP獲得による3ポイントの“上乗せ”も大きなものとなっている。決勝についても、表彰台を逃したのは第4戦オートポリスのみだ。
野尻は現在81ポイントで連覇に向けて首位を走っており、これを平川が17ポイント差で追う状況。さらに平川の7ポイント背後にはフェネストラズが続いており、この3人が今季のタイトル有力候補となった状態で、シーズンは後半戦に入る。
■野尻車とのダウンフォース特性の違い
第6戦の舞台は、開幕と同じ富士。逆転を狙う平川は、オープニングラウンドでは1位、2位と、野尻と互角に戦っており、ここで是が非でも点差を詰めたいところだ。
前戦・第5戦SUGOでは、平川は後方スタートとなったため、SC中にミニマム周回数でピットインした上位勢とは逆の戦略をとり、ステイアウト。終盤にピットインし、フレッシュタイヤでごぼう抜きを見せた。
レース後にも語っていたとおり、SUGOでの収穫は「異なるセットを試せたこと」にあると、富士に姿を見せた平川は言う。
「もちろん、常に分析して最適化をする……という流れになるのですが、ことSUGOに関しては最適化というよりは“違う傾向”を試して、新しいことを見つけようという取り組みをしていました。今回の富士も、ちょっとそういう新しいことをやってきてはいます」
「SUGOでいろいろとセットを変えて、“いままで気づいてなくてちょっとやりすぎていたこと”とか、ちょっと発見があったので、そこのいいとこどりをしています。もちろん、第1・2戦もすごく悪くはなかったので、そこから大きくは外れていませんが、ちょっと違うセットアップに取り組んでいます」
4月の富士と7月の富士、大きく異なるのは気温のコンディションだ。気温が上がって空気密度が低くなるため「ダウンフォース量は圧倒的に少ない。そのなかで、どうやって稼いで走らせるか」と平川は今週末のポイントを語る。
「もちろん野尻選手が遅いわけはないので、(勢力図は)大きくは変わらないと思います。ただ明日、雨降るとどうなるかな、というところですかね」
金曜時点では、予選の行われる土曜日にまとまった量の雨が予報されている。日曜日は晴れが望めそうな予報ではあるが、まだ不確かだ。
「雨降った方が僕らはいつもいいので、雨に対してネガティブな感情はないですね。ドライでも(セットアップで)やりたいことはあって、どちらでもいいという感じです」と平川。
野尻車とのダウンフォースの比較について、平川は「多分、向こうの方がちょっと安定して出ているような感じで、僕らの方がとっ散らかるような感じはある」と表現する。
「ただ、(接近戦を演じた)第1戦の決勝に関しては、僕らの方がダウンフォース量は多かったような気はしていますが……ちょっと不安定な感じはありますね」
この2車の差が暑い今週末の戦いでも再現されるのか、あるいは異なった状況となって現れるのかは、ひとつの注目ポイントだろう。
常々「予選が課題」と語る平川は、決勝セットには一定程度の自信を見せるが、「夏場なので、多少そこが違ってくる可能性は頭に入れておかなければならない」と気を引き締める。
前戦ではフェネストラズがタイトル戦線に急浮上する結果となったが、「富士でもトップ争いしていたし、何も不思議じゃないです。トヨタ内でのライバルはあそこだ、っていうのは第1戦から常に思っていましたから」と平川に驚く様子はないが、こうもつぶやいた。
「ライバル増えたな、という感じです」
果たしてシーズン後半戦は三つ巴のタイトル争いとなるのか、否か。まずは不安定なコンディションが待ち受ける富士の週末に、注目だ。