ハースF1チームから放出されたドライバーのニキータ・マゼピンは、ハースに対する訴訟が「本格化」しており、裁判地はスイスが選ばれたと述べている。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ハースは一方的にウラルカリ社とのスポンサー契約を打ち切り、マゼピンを解雇した。また、マゼピンの父親でウラルカリ社の主要株主のオリガルヒ、ドミトリー・マゼピンとも袂を分つことになった。
二者間の契約が打ち切られてすぐ、ウラルカリ社はハースに対し、同社がチームに支払った1300万ドル(約18億円)相当のスポンサー料の返金を求めた。ハースはその主張を退け、それだけでなくウラルカリ社に「利益の損失」にあたって860万ドル(約12億円)の賠償を求めており、現在も訴訟が続いている。
しかしマゼピンはウラルカリ社とは別に、個人としても未払いの賃金の支払いをハースに求める裁判を起こしている。
「僕の個人訴訟は本格化している」とマゼピンは『Match.T.V』に語った。「すでに裁判地が選ばれた。契約が締結されたスイスだ」
「弁護士たちはすべての書類を準備し、訴訟提起が行われた。もし出廷を命じられたら行くつもりだけれど、そうなるとは思わない」
先月、マゼピンはF1復帰への野望を明かしたが、グリッドへ戻るには奇跡が必要だろうと認めた。残念だが、若いマゼピンは“元F1ドライバー”のレッテルを貼られたまま、残りのモータースポーツのキャリアを過ごすことになるだろう。しかしマゼピンはこの呼び名を不快に感じてはいない。
「F1には10チームと20のシートしかない理由がある」
「僕には有効な契約がない。2022年になった時は、契約があった。F1の歴史のなかで、新年まで契約があるというのは一般的には素晴らしい状況だが、それを失うことがある」
「でも僕は誠実でありたい。僕は物事を適切な言葉で呼んできた。将来F1で契約を獲得する素晴らしいチャンスがあるという事実に集中する」
「僕は23歳だ。FIA F3とF2での結果とタイム、経験を見れば、ライバルたちをはるかにしのぐことができると分かる。その経験をもとに、自信を持って明日に期待したいと思う」
マゼピンは、今もF1を熱心に追っており、テレビでレースを見ていると語っている。
「オーストリアGPを見たよ。放送されているレースはすべて見るようにしていた」
「僕はF1が大好きだが、今はもっぱら分析して自分の考えを限られた範囲の人たちと共有している。外側から見ているのも経験になる」