エアコンの設定温度について、28度は高すぎる(=暑すぎる)のかもしれない。2019年に姫路市役所で行われた実証実験が、改めて注目されている。現代ビジネスの記事などによると、夏場の市役所の室内の設定温度を28度から3度低い25度に変更した結果、残業時間が減ったという。
この件について、地方行政の専門家はどう見たのか。東京都庁OBで、行政学や地方自治論に詳しい中央大学名誉教授の佐々木信夫氏に見解を聞いた。
「非常に画期的。傾聴に値する内容」だが…
姫路市役所はおよそ4000人が勤務しており、エアコンの設定温度を下げた結果、光熱費は月額で7万円増えたものの、残業時間は平均で2.9時間減った。人件費に換算するとひと月で4000万円相当という。
佐々木氏は、実証実験を肯定的に評価した。
室温と作業効率の関係を庁内で調査した結果は類例がなく、非常に画期的。十分傾聴に値する内容だと言えるでしょう。
オフィス空間の適温は個人差があるものの、28度はやや暑いと感じる人が多いのではないだろうか。ある程度快適な環境を整えて仕事に取り組むほうが、効率的とも考えられる。ただ、市役所や行政機関がエアコンの基準温度を下げるのは、民間企業よりもハードルが高いという。
市役所は「節電を呼びかける側」や「模範を示す側」であるため、設定温度を下げるのは立場上難しい面もあります。特に今年はエネルギー不足が深刻で、例年以上に節電が必要な状況です。民間企業や家庭で、節電に協力する意識が低下する恐れもある。25度まで下げなくても、27度や26度など、細かく判断していくことを考えても良いでしょう。扇風機をうまく活用する方法もあると思います。
確かに2度下げる程度でも体感温度は変わり、効率が上がる場合がある。推奨温度について26度〜28度など、もう少し幅を持たせても良いかもしれない。
深夜まで国会対応をしている中央省庁は別ですが、人口50万人前後の規模の市役所で4000万円分も残業をしているのは、一般的とは思えません。エアコンの設定温度以前に、何か構造的な問題があるのではと感じます。残業が発生する原因を精査する必要があるでしょう。
ネット民の説得力ある指摘
エアコンの設定温度28度について、ツイッター上では説得力のある指摘もある。
日本の生産性が低いとかいう原因のかなりの部分が、真夏にエアコンの設定温度を28度以下にできないようにしてあるとか、真冬に暖房をケチって寒い中で仕事をさせているとか、昼休みに電気消して暗い中で弁当を食べさせるとか、そういうあたりに原因があるような気がする。
設定温度と実際の温度には、誤差があるという意見もある。
この時期気をつけて欲しい。エアコンの設定温度と室温は必ずしも一致しません。環境省によれば、室温目安は夏は28度。 ただこれは「エアコンの設定温度を28度にする」ではなく「室温が28度」です。また快適温度は個人差あるので、数字にこだわらず節約や環境問題の前にあなたの身体を守ってください
膝掛けを使うほど温度を下げるのは電気の無駄だが、せっかくエアコンがあるのだから、効率よく仕事や学習に集中できる程度に環境を整えるのは、必ずしも悪いことではなかろう。合理的な節電を目指したいものである。