地球温暖化の抑制に向け注目されている技術の一つが蓄熱。工場などから出てくる排熱を回収・保存して再利用したり、余剰になった再生可能エネルギーを熱として貯めておいて、需要に合わせて電力に変換したりする▼日本では石灰に粘土鉱物を分散させたカルシウム系蓄熱材が開発されている。蓄熱密度が高いうえに数千回も繰り返して使える。鉄鋼などの加熱炉から出てくる熱を蓄え蒸気として利用すれば燃焼式ボイラーに比べCO2排出量を大幅に減らせる▼化学反応を利用する水酸化マグネシウム系蓄熱材もある。排熱により酸化マグネシウムに変換し長期の熱保存を実現する。劣化しないため運搬が可能で、水酸化マグネシウムに戻す時に発生する熱を空調などに利用できる。300度C程度の低温域の蓄熱に向いているそうだ▼こんなものまで使えるのかと感心したのが岩石。砕いた火山岩を熱して余剰の再エネ電力を保存する手法で、欧州で開発が進められている。発電する時はその熱によって蒸気タービンを回す。蓄熱材が岩石なのでとても安いのが魅力▼自然条件に出力が左右される再エネ発電は需給バランスによって出力調整が必要な場合があり、一層の普及に向けて蓄電技術が欠かせない。大型電池よりもコストを抑えられる蓄熱発電の実用化が待たれる。(22・7・29)
The post 蓄熱発電の実用化に期待 first appeared on 化学工業日報.