産業廃棄物やダンボールなど古紙の回収事業を手がける運送会社・出村企画では、米国アリソン社製ATを搭載したパッカー車を10年以上前から導入している。
その出村企画が新たに導入したのがアリソンの6速ATを搭載した日野レンジャーベースのパッカー車(ごみ収集車)だ。
停発進の多いごみ収集や資源収集事業では、アリソンATがもたらす発進性能や、トラックにはあまり採用されていないPレンジが有用だという。その理由は何か?
文/フルロード編集部 写真/フルロード編集部・アリソンジャパン
■出村企画が導入した「Pレンジ」が備わるパッカー車のアドバンテージ
千葉県内の物流センターやコンビニから産業廃棄物やダンボールなど古紙を回収する、運搬業を手掛ける出村企画は、一日に50件以上の定期資源回収を行なっている運送会社である。
このほど同社が新たに導入したパッカー車は中型トラックの日野レンジャーFDで、トルクコンバータ式オートマチックトランスミッション「アリソン1000シリーズ」が搭載されている。
同AT搭載車は車両総重量11.8トン以下では唯一Pレンジが装着されている中型トラックで、坂道や傾斜のある現場で停車する際にシフトセレクターをPレンジに移動させ、さらにサイドブレーキをかけることで安心して収集作業を行なえ、自走事故予防に寄与する車両となっている。
ちなみに自動マニュアルミッションのAMT車ではギアをニュートラルに入れ、サイドブレーキを引き車両を停車させるため、引きが甘い場合は坂道で不意に車両が動き出すケースもある(MT車はRレンジなどに入れるのが一般的だが、入れ忘れる可能性がある)。
また、ドライバーは車両総重量8トンの(中型)車両を確実に停車させるため、サイドブレーキを力強く引くが、長年使用しているとワイヤーが伸び制御力が低下するケースもあるという。
■煩わしいPTOスイッチ操作からも解放
さらにパッカー車のように、1日に何度も発進停止を繰り返しながら作業をする車両では、度重なるPTOスイッチの操作を簡素化することによって、ドライバーの作業効率を高めることができる。
アリソンATを搭載した日野レンジャーFDの場合、停車中にシフトセレクターをPレンジまたはニュートラルに入れた状態でPTOスイッチを一旦オンにした後、走行するためにシフトセレクターをDまたはRに移動させると自動的にオフに切り替わる。
そして再びシフトセレクターをPレンジまたはニュートラルに移動させると、PTOが自動的にオンになるため、PTOスイッチを操作する必要なく回収物の積み込みなど、次の作業にすぐ取り掛かることができる。
なおMT車では、停車中にPTOスイッチをオンにし、作業後、オフにする場合には再度操作が必要となり、発進と停止を繰り返す中で、その都度PTOオン/オフを手動で切り替えるといった煩わしさがある。
さらにアリソンAT車は走行性能も優秀で、出村企画の代表取締役、出村拡己氏は、
「10年以上前からアリソンAT搭載のパッカー車を運転していますが、最新のパッカー車は最高段が6速化され、電子制御が大幅に改善されたため、マニュアル車と同等の燃費効率を実現していると実感しています。またアリソンATの特性の一つであるトルクコンバーターによるトルク増幅効果により、急な坂道でも力強く発進できるため、数階建ての物流倉庫のスロープでもスムーズに登ることができ、ストレスなく運転ができます」とコメントしている。
さらにPレンジついて「同業者の中で、サイドブレーキの引きが弱く、予期しない車両の動き出しによって事故につながったケースを聞き、アリソンATのPレンジがあれば安全性を補完できるため、坂道での自走事故を防止することができると安心しています」と語っている。
なお、出村企画では、他の古紙回収業、廃棄物収集運搬業などにパッカー車導入のコンサルティングも行なっており、安全性と操作性の観点からアリソンのATを搭載した車両の導入を勧めているという。
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