今シーズンの全22戦中、モナコGPに次いでダウンフォースが必要なコースが、F1第13戦ハンガリーGPの舞台であるハンガロリンクだ。それは、裏を返せば、ストレートスピードがあまりアドバンテージにならないサーキットともいえる。
2015年にホンダがF1に復帰した当初、好成績を挙げることが多かったコースがモナコとこのハンガロリンクだった。
ところが、今年は7月の4戦が始まる前から、レッドブルの関係者は「ハンガロリンクはフェラーリが強いだろう」と、戦う前から白旗を上げるかのような発言をしていた。それは今年のレッドブルのマシン、RB18が高速コーナーやストレートを得意としているからである。すなわち、HRCが開発・製造してレッドブル・パワートレインズの名前でコンストラクターズ選手権に登録されているパワーユニットが、パワー面でライバルたちに引けを取らないことをレッドブルが把握してRB18を設計しているとも言える。
そのことを示しているのが、フリー走行2回目でトップタイムをマークしたときのフェラーリのシャルル・ルクレールと、4番手に終わったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のセクタータイムの違いだ。
首位 ルクレール:28.441秒─27.595秒─22.370秒
4番手 フェルスタッペン:28.524秒─27.821秒─22.383秒
このタイムは自己ベストを記録した際の区間タイムで、左からセクター1、2、3となっている。セクター1と3にはホームストレートがあり、ここではレッドブルはフェラーリとほとんど差がない。
トップのルクレールから約コンマ3秒引き離された最大の区間はセクター2のテクニカルセクション。ここだけでフェルスタッペンはルクレールから0.226秒遅れている。やはりダウンフォースが足りていない。
そこで気になるのが、前戦フランスGPからフロアが変更されていることだ。レッドブルは第10戦イギリスGPにスリットが入ったフロアを投入し、第11戦オーストリアGPでも使用したが、前戦フランスGPからスリットが入っていないものに変更された。
この変更が機能していないとしたら、レッドブルはハイダウンフォース・サーキットで苦戦を強いられるかもしれない。しかし、このようなサーキットはシーズンを通してそれほど多くなく、後半戦では第17戦シンガポールGPぐらいだ。
さらにかつて選手権を席巻していたメルセデスもこうしたコースが苦手だったことを考えると、ダブルタイトルを狙うレッドブルにとってそれほど深刻な問題ではないのかもしれない。パドックですれ違ったフェルスタッペンにも、それほど焦った雰囲気を感じなかったのは、それが理由なのかもしれない。