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世界最速FF「CIVIC TYPE R」世界初公開!! ホンダの真骨頂! TYPE Rの系譜

 先日行われたワールドプレミアにて、ついにその全貌が明らかになったホンダの新型シビック TYPE R。ホンダ車のチューンナップバージョンであるこの“タイプR”は、シビックでは通算6代目にあたる。では、タイプRにはどのような歴史があるのか? 今回は、シビックを中心にホンダ タイプRの系譜を見ていくことにしたい。

文/長谷川 敦 写真/ホンダ、Newspress UK、FavCars.com

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シビック初のTYPE RはEK9から!

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シビック初のタイプRがこのEK9型。ルーフにウイングが装着されているが、後年のタイプRに比べると全体的なルックスはまだおとなしいイメージ

 1997年、ホンダの5代目EK型シビックはマイナーチェンジが施されることになった。このタイミングで登場したのが、5代目シビックのタイプR仕様だ。

 「ミラクルシビック」の愛称でも知られたEK型はノーマル仕様でも十分にスポーティなクルマだった。エンジンはホンダ独自のVTEC(可変バルブ機能)を進化させた3ステージVTECで高出力と低燃費を両立し、軽量な車体との組み合わせにより小気味良い応答性を発揮した。そうした内容も評価され、1995年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

 そのEK型をベースにしたタイプRは、EK9の型式番号が与えられ、今日でもEK9タイプRは歴史に残る名車として知られることになる。

 エンジンはVTECのB16B型を搭載。1.6リッターの直4エンジンは自然吸気型にもかかわらず185psという高出力を発生し、VTECが絶妙な出力特性を生み出した。この大パワーを受け止める駆動系にはトルク感応型ヘリカルLSDが標準装備され、コーナー脱出時のトラクション性能を高めていた。

 サスペンションのチューニングも行われてブレーキローターの容量もアップ。こうしたチューンナップにより、EK9型タイプRは当時の市販FF最速モデルの一台に数えられるようになった。

 ちなみに初代シビック タイプRの車両本体価格は199万8000円。それに対して先に発表された最新型タイプRの価格は499万7000円前後(編集部調べ)になりそうとのこと。両モデルの発売時期に25年の開きがあるとはいえ、2倍以上違うのは驚きだ。

2代目EP3は海外生まれ?

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イギリス生まれのEP3型シビック タイプR(2001年)。ヨーロッパでのシビック販売を促進させるためにハイパフォーマンスバージョンのタイプRが作られた

 シビックでは2代目になるタイプRの登場は2001年。このモデルのユニークな点は、日本ではなくイギリスの工場で生産されていたことだ。2000年、ホンダはシビックをEU型にモデルチェンジしていたが、この際に日本国内販売のラインナップから3ドアモデルは姿を消していた。しかし欧州での3ドアハッチバックの人気は高く、欧州向けとしてイギリスでEP型の生産が行われていた。

 EP型タイプR登場のきっかけは、欧州でシビックのステイタスを高めることにあった。そこで、ドイツのアウトバーンをはじめとする欧州の高速道路で快適に走れることを目的とした徹底的なテストが行われた。

 EP3型シビック タイプRは、当初は日本国内での販売予定がなかった。しかし方針が変わって国内でもリリースされることになり、足回りなどは欧州仕様から国内の路面に適したものへとモディファイされている。

「ニュービュレットフォルム」と名付けられたタイプR専用ボディのフォルムはシャープで、サイズアップされたホイール&タイヤが見た目をさらにアップ。真っ赤なレカロ製シートやホワイトメーターなど、タイプRだけの装備も充実していた。

 イギリス生産ということもあって、日本では輸入車扱いとなったEP3型シビックは、日本はもちろん、イギリスやドイツで好調なセールスを記録している。

4ドアセダンの3代目国内仕様FD2型タイプR

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シビック タイプRでは初めて4ドアセダンボディで作られたFD2型。車幅も3ナンバーサイズとなって大型化したが、これがボディ剛性の向上につながった

 2005年に行われたシビックのモデルチェンジでは5ドアモデルも整理され、同車のラインナップは4ドアセダンのみに絞られた。このためタイプRの計画もなかったが、営業サイドからの要望により、急遽タイプRの開発~販売が進められることになった。

 タイプRの開発にあたり、外観はノーマルのシビックからそこまで変えず、エンジンやサスペンションのメカチューンのみを行うとの案もあった。しかし、R(レーシング)を名乗るのであれば、やはりサーキットでの速さを追求するのが王道ということで、3代目シビック タイプRの目指す道は「サーキットでクラス最速の走り」に定められた。

 2007年に発売されたFD2型はシビック タイプR初の4ドアセダンモデルとなった。車重の重さが機敏さを奪ってしまうことも懸念されたが、実際にはサイズの大きい4ドアボディは剛性が確保しやすく、結果としてハードなサーキット走行にも耐えられるボディ強度を得ることに成功した。

 フロント/マクファーソンストラット、リア/ダブルウィッシュボーン方式のサスペンションはサーキット走行を想定してチューニングされ、実際にFD2型シビック タイプRはサーキットにおいて比類なき速さを披露した。

 見た目とは裏腹に硬派な走りを見せつけたFD2型シビック タイプRは、現在でも高い評価を保っている。

欧州仕様のFN2型タイプR“ユーロ”

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典型的なコンパクトハッチスタイルのFN2型シビック タイプR。国内での販売名称は「TYPE R EURO」で、欧州生まれであることをアピールしていた

 日本国内では4ドアセダンのFD2型がリリースされたが、3ドアハッチバックの人気の高かったヨーロッパでは、シビック タイプRも欧州仕様の「ユーロ」として販売された。

 FD2型ほど尖ったチューンナップは施されていなかったが、コンパクトな車体に201psのパワフルなエンジンを搭載し、クイックな反応が持ち味の6速マニュアルトランスミッションを装備。それまで国内で販売されていたシビック タイプRの大型ウイングに比べると小ぶりなリアスポイラーも、独自の個性を感じさせた。

 このFN2型シビック タイプRは、2009年から日本国内での2010台限定販売が行われ、その人気をうけて翌年に1500台が追加販売されている。

 なお、このFN2型はシビック タイプRの4代目ではなく、FD2型と並行する3代目に数えられることが多い。

ニュル最速の4代目FK2型

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2015年、ドイツのニュルブルクリンクサーキット北コースで当時の量産型FF車最速タイムをマークしたFK2型シビック タイプR。フォルムはFN2型に近い

 FK2型と呼ばれるシビック タイプRの開発目的は明確だった。それは難コースで知られるドイツのニュルブルクリンクサーキットでクラス最速のタイムを叩き出すこと。

 ニュルブルクリンクでの量産型FF車最速を実現するため、FK2型にはシビック タイプR初のターボエンジンが採用されることになった。2リッター直4エンジンはターボチャージャーで過給され、最高出力はなんと310ps。最大トルクも400Nm(40.8kgf・m)と太い。

 ボディはFN2型の流れをくむもので、サーキット走行を意識してリアには大型のウイングが装着された。最高速度の追求に大型ウイングはマイナス要因にもなるが、パワフルなエンジンの効果もあって、カタログスペックの最高速度は270km/hを謳っている。

 2015年、ニュルブルクリンク北コースで行われたタイムアタックでは、見事当時の量産型FF車最速の7分50秒63というコースレコードを記録。それまでルノー メガーヌRSが持っていたレコードを4秒更新している。

 同年に日本国内で750台が限定発売されたFK2型シビック タイプRの車両価格は428万円と高額だったが、受注開始から注文が殺到するほどの人気モデルとなった。

5代目FK8型はシリーズ初の通年販売に

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VWゴルフGTIに奪われていたニュルブルクリンクサーキット北コースでの量産型FF車レコードタイムを、2017年に書き替えたFK8型シビック タイプR

 2017年初頭にホンダが公開したのが、シビック タイプRでは通算5代目になるFK8型。日本国内での正式販売が同年9月と発表されたこのモデルの注目点は、これまでのように既存のシビックをチューンナップしたものではなく、シビックのモデルチェンジに合わせて新型シビックと同時に開発されたことだった。

 ベースとなったのは10代目シビックだが、タイプRの開発を並行することにより、ノーマル仕様の性能とタイプRの汎用性を高めることに成功している。

 そしてまたしても、タイプRの目標にはニュルブルクリンク北コースレコード更新が掲げられた。先代の持っていた記録は2016年にフォルクスワーゲン ゴルフGTIクラブスポーツSによって破られており、これの奪還が至上命題だった。

 ベース車両となった10代目シビックがシャシー剛性やサスペンション性能の向上を実現していて、それがFK8型タイプRの開発にも恩恵をもたらした。

 ボディには先代で効果を発揮した構造用接着剤が用いられて動的剛性を確保。フロントサスペンションはタイプR専用のデュアルアクシスストラットが採用された。リアサスはノーマルと同様のマルチリンク式ながらアームやブッシュは専用品に変更されている。

 エンジンは先代を継承する2リッター直4ターボだが、制御系の見直しによって出力特性とドライバビリティが向上した。

 こうして誕生した新型FK8型シビック タイプRは2017年4月にニュルブルクリンク北コースでタイムアタックを実施し、見事コースレコードを塗り替える7分43秒80をマークした。

シビックだけじゃない! ホンダ タイプRの駿馬たち

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ホンダ車史上初の“TYPE R”名が冠された初代NSXタイプR。サーキット走行に焦点を当て、徹底的な軽量化とエンジンのファインチューンが施された

 シビックにタイプR仕様が登場したのは1997年からだが、実は「タイプR」の称号を持つホンダ製モデルはそれ以前にも存在している。

 ホンダが1990年にリリースしたミドシップスポーツカーのNSXは、ノーマル仕様でも十分すぎるほどの性能を持っていたにもかかわらず、1992にタイプRモデルが登場している。

 NSXタイプRはノーマルに対してマイナス120kgという大幅な軽量化が断行され、エンジンには精度を突き詰めたムービングパーツが用いられた。こうしたモディファイによって、NSXタイプRはサーキットで高い走行性能を発揮した。

 NSXタイプRの好評を受けて、次にホンダが製作したのがFFスポーティモデル・インテグラのタイプRだ。1995年に3代目インテグラをベースにしたDC2&DB8型インテグラ タイプRが登場し、2001年のモデルチェンジでは新型と同時にタイプRもリリースされている。

 このように「タイプR」はホンダ製高性能モデルの証であり、今回発表となった新型6代目シビック タイプRも、その系譜を担う俊足ランナーであることが期待されている。すでにその第一報はベストカーウェブでも紹介しているので、興味のある人はぜひチェックしてほしい。

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