もっと詳しく

 チューリッヒ保険が全国のドライバー2230人に今年で5回目となる最新版の「2022年あおり運転実態調査」を実施し、7月14日にその結果を公表した。その結果、あおり運転をされた経験のあるドライバーは51.3%で、2018年の調査開始時(70.4%)以降、減少傾向ではあるものの依然として半数を占めている。

 このあたりは2020年夏に道交法が改正され、あおり運転に対する厳罰化が施行された影響が大きいのだろうが、あおり運転に遭ったドライバーのあおられた原因について、国沢光宏氏が持論を展開する!

文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、AdobeStock(トビラ写真:AdobeStock@xiaosan)

【画像ギャラリー】あおり運転をされた原因は……車線変更とスピードが遅いことだった!?(12枚)画像ギャラリー


■アンケートではあおられたドライバーはその原因は自分にあると認識

チューリッヒ保険が実施したあおり運転の実態調査。あおり運転に遭った原因についてドライバー自身のどんな行動が原因だったのかを聞いている

 チューリッヒ保険会社があおり運転に対する最新の調査結果を発表した。この調査、ほかとまったく違う質問をしており、その内容を見て驚く! あおられた人の多くは、あおられる原因を自分で作っていると認識しているのだった!

 だとすれば、あおり運転が減らないのはメディアと警察の責任ということになる! あおり運転大幅削減の対応策が見えてきた、と言い換えてもいいんじゃなかろうか。

 今まであおられたドライバーは自分を正当化するため、「相手が突如あおってきた」みたいなことを主張していた。チューリッヒ保険会社の調査では「あおり運転をされたきっかけと考えられる運転行動を教えてください」という項目を設けてあり、そこを見たら「あんた知っててやってたの?」と、むしろあおられたドライバーに対し、文句を言いたくなってしまう。

 1位は『車線変更した』で4分の1を占める。つまり、後続車からすれば目の前で危険と思われるタイミングで割り込む行為。このパターン、最初に危険な行為をしたのは、車線変更したドライバー側にある。

 運転をしているドライバーなら誰でも理解いただけると思うけれど「しかたないワな」と考えられるタイミングと「そりゃないでしょ!」というタイミングが明確に違う。

 そりゃないでしょう、というタイミングで車線変更されたら(割り込み、と言ってよい)、誰だって怒る。怒ったからといって、あおり運転するかどうかの「閾値」(しきいち)こそ人によっても、その時の腹の虫によっても違うけれど、相手を怒らせることは100%間違いなし。

 特にハンドル操作が大きい割り込み行為は怒りを買う。「怒らせたな」と思ったのなら、ハザードを出したり窓を開けて手を出したりとか対応を迫られると思う。

■速度が遅い場合は後続車に道を譲るべし

「急な車線変更」と「自身の運転速度が遅かったこと」があおり運転に遭った原因のワンツーという結果となったのだが……

  2位は『スピードが遅かった』。これまた「わかっていてノロノロ走っているのね!」と驚く! ひとりしか歩けない歩道を自分のペースでノロノロ歩いていたら、後ろの人はイラつく。クルマだってまったく同じ。

 わかっているのなら抜かさせてやればいい。たったそれだけの対応ですむ。速く走れなんて誰も思わないです。単にジャマなだけ。それをわかっていてノロノロ走ってるんだから酷い!

 教習所や警察が「追いつかれたら先に譲りましょう!」と啓蒙するだけでスピード遅かったためにあおられた事案の17%は根絶させられる。というか自分の速度が遅いために後続車をズラズラと従えるようなことをできる精神構造からして私には理解できない。単純にケンカ売ってる行為と同じですから。速度の出ないトラックやバスで一本道を走る時は、左側に余地ある時に譲るべし!

 3位の『制限速度で走った』は、ほぼケンカ売ってる行為です。そもそもスピードメーターに表示される速度は誤差があり、基本的に制限速度以下。順法運転を主張するなら、正確に制限速度で走るべき。

 もちろん1km/hたりとも低ければ後続車にケンカ売る。高ければ「アンタも違反だ!」。そんなこと考えるより、走行車線を走ったり道を譲ったりするほうがずっと精神的に楽だと思う。

 4位の『合流した』は1位と同じ状況。あおられる側が最初の危険な運転をしている。5位の『車間距離を詰めた』もあきれる。それ、あおり行為でしょう! やり返されたってしかたない。

 6位の『追い越した』は安全と思えない方法で追い越すから怒りを買う。明らかにゆっくり走っている車両を安全に抜いたら怒られた、みないたことは超レアケースだと考えます。

■重要なのは「他人の怒りを買わないこと」はクルマの運転もそれ以外も同じだ

大事になってくるのは相手を怒らせないこと。自分がやられたら嫌だと思うことはしないという大前提は運転だけでなく、日常生活で余計なトラブルを買わないことでも同じだ(AdobeStock@globeds)

 それ以下の状況を見ても「当たり前のごとく怒らせるでしょう!」というパターンばっかり。あおられたドライバーに対する「可哀想ですね」という気持ちなど消え失せる。

 むしろ、「ケンカ売ってるんだからそれを買う人はいるんだから当然」だと思う。それとも大手メディアや警察は、ドライバー全員が神様のような心の広さを要求してるのだろうか? それって理想論です。

 外出する時は家にカギをかけたり、治安の悪い場所では女性の遅い帰宅を心配したり、繁華街に行ったら人にブツからないように歩いたりするのは、被害を未然に防ぐための対応だ。警察だって「カギをかけましょう」と言う。

同じようにクルマを運転する時も、人に怒りを買わない方法をアピールすればいい。とても簡単なことなのに、教習所も警察もやらない。なんででしょう?

【画像ギャラリー】あおり運転をされた原因は……車線変更とスピードが遅いことだった!?(12枚)画像ギャラリー

投稿 あおり運転厳罰化の影響で減りつつあるが……それでも改めて知っておきたい「あおられないためには?」自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。