現在新車で買える、唯一の5ナンバーセダン「カローラ・アクシオ」、そしてステーションワゴンの「カローラ・フィールダー」が、今夏さらなる改良を受けて登場する。
5ナンバー枠という、日本の自動車にしか設定されない縛りを忠実に守り、必要とするユーザーに寄り添い続けるアクシオとフィールダー。作り続けるトヨタの努力はすごすぎる。
今回の企画では、新型アクシオ・フィールダーの登場日程や、変更内容をお伝えするとともに、さらには今後のアクシオ・フィールダーの動きや存在意義について考えていきたい。
文/ジョー城ヶ崎、写真/TOYOTA
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■現行型はすでにオーダーストップ! 改良に向けて準備万端
アクシオ・フィールダーの現行型は8月12日に最終生産日を迎える。すぐにラインを変更し、一部改良に備える構えだ。
期待の一部改良発表日は「2022年8月22日」で決定したとの情報を得た。同日、生産も開始される。現行型同様、トヨタ自動車東日本で生産される予定だ。
2012年から販売をスタートし、2015年には1度マイナーチェンジを受けたが、一時は消滅も囁かれた古参のクルマ。カローラの名前は、3ナンバーに拡大された本家が引き継ぎ、イメージを変えているが、アクシオやフィールダーに対する支持は地域によって強く残る。
筆者も、いつ消えてしまうのかとハラハラしているが、今回カローラシリーズの大改良を前に、アクシオ・フィールダーが改良を受けることが決定し、ひとまず安心することができた。
日本のクルマ作りにおける、伝統と格式を後世に引き継ぐまで、アクシオ・フィールダーは、走り続けていくだろう。
■気になる改良内容は? 法規対応だけ?
今回の一部改良は、走行車外騒音と排ガス低減などの法規対応がメインとなる。しかし、それだけで終わらないのが、かつての国民車、カローラ・アクシオとフィールダーだ。
まずは、ヘッドライトをLEDで統一し、標準装備とした。これまではプロジェクター式ハロゲンヘッドランプ(マニュアルレベリング機能付)という、2世代以上前の装備となっていた両車。明るいLEDヘッドランプに変わり、夜間の視認性が格段に向上するだろう。
リアコンビネーションランプでは、アクセントに使われていたメッキをブラック塗装へ変更する。リアデザインが引き締まった印象になるのではないか。
車内では、快適装備のナノイーXを装備するとともに、ビジネスシーンでも使い勝手が高まるUSB端子を標準装備とした。また、シート表皮のデザインを現行型がから変更し、インテリアの印象を変える。ボンネットに遮音材を追加し、走行時の静粛性を高める改良も施された。
さらに、商用バンのように利用されることも多いカローラ・フィールダーでは、フルフラットになるシートを採用する。使い勝手をさらに高め、個人ユーザーから法人ユーザーまで、幅広く満足させる意気込みだ。
小変更ではあるが、魅力のある改良が集中的に行われた感じも受ける。クルマとして、登場から10年を迎えた今もなお、進化を続けているということだろう。
■愛し愛されるクルマ、アクシオとフィールダー
アクシオとフィールダーの販売台数は、他のトヨタラインナップと比べれば少ない。今や納期が1年は普通で、車種によっては5年などと言われるなか、僅か数か月で新車が届くのだから、人気という面ではビジネスベースで言ったら大きな期待が出来ないクルマだ。
いくら法人需要がある、5ナンバーセダンを求める人がいると言っても、他の人気車たちが代替候補の車種はいくらでもいる。それでもトヨタがアクシオとフィールダーを廃止しない理由はどこにあるのだろうか。
まとめると人気はないが「受け皿」としての需要は高いのがアクシオとフィールダーの2車だろう。アクシオとフィールダーを選ぶユーザーには、このクルマを選ぶ大きな理由があるのだ。それは、本筋をいくカローラシリーズや人気のミニバン、SUV等を選ぶユーザーよりも、大きくて重い理由である。
仕方なしにアクシオとフィールダーを選ぶユーザーはそういない。何かしらのニーズがあって、このクルマを選んでいるユーザーがほとんどだ。
こうしたユーザーたちに愛されているアクシオとフィールダーを残すトヨタは、少数ではあるがアクシオとフィールダーでニーズを満たすことができるユーザーたちを愛しているのだ。
アクシオとフィールダーが今もなお残り、改良を続けられる裏には、トヨタのユーザー愛が見える。
一時は完全撤退も予感させたが、アクシオとフィールダーは、カローラファミリーとして残り続ける。トヨタが世界的に大きな会社になっても、アクシオとフィールダーを残しているという事実が、トヨタを身近にし、そしてユーザーとともに進むメーカーであることを証明しているようだ。
アクシオとフィールダーの一部改良は8月22日の予定。さらに深まったトヨタの愛の結晶を、体感して欲しい。
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