8月6日、北欧のフィンランドで開催されているWRC世界ラリー選手権第8戦『ラリー・フィンランド』は競技3日目のSS11~18が行われ、デイ2で総合首位に浮上したオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)がカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)の猛追を受けながらも、前日からのポジションを守った。日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手につけている。
午後には天候が回復したが、午前中に降った雨の影響でウエットコンディションでの戦いとなった競技3日目。この日は、サービスパークが置かれているユバスキュラの南側、ヤムサ周辺の森林地帯が高速グラベル(未舗装路)ラリーの舞台となった。
前日にエサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1)との接戦を制し3.8秒差の総合首位でデイ2を終えたタナクは、計8本のSSが行われた競技3日目も1日をとおして順位を守り抜き、自身3度目となるラリー・フィンランド優勝に近づいている。
降雨によってウエットコンディションとなったステージはエストニア人ドライバーの好みに合わなかったが、午前のループのラストSS14でステージ優勝を飾った彼は、2番手ラッピとのギャップを9.5秒に拡げて日中のサービスに戻った。
晴れ間も見え始めた午後のループではSS17で最速タイムを記録し、その他の3ステージでも2番手タイムを刻んだタナクだったが、その彼を上回る速さを見せたのが今季7戦5勝を挙げているロバンペラだった。
両名の各ステージでのタイム差はごくわずかだったが、朝から2本のベストタイムを記録するなどスピードに乗る21歳のフィンランド人は、前日終了時点で21秒あったギャップを日中のサービスまでに12.9秒に縮めた。また、総合2番手に浮上したデイ3の午後には4本のステージすべてでベストタイムを刻み、1日の最後にはその差を8.4秒にまで縮めている。
そんななか首位を守ったタナクは「僕たちが今いるポジションにまだ少し驚いている」と述べた。
「このコンディションを考えれば、いい1日だったことは間違いない。もっとタイムを失うと思っていたけれど、実際にはうまくいっている」
■上位につけるラッピとエバンスをトラブルが襲う
一方、計6本のステージを制し、チームメイトのラッピとエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)をかわして総合2番手に躍り出たロバンペラは次のように語った。
「昨日はかなりタイムを失ってしまった。今日はそれを取り戻すためにベストを尽くした」
「(各SSでの)ギャップが小さいから追い上げるのは簡単ではないけど、(流れは)いい方向にあるから、明日は最後まで頑張るだけだ」。
トップと僅差の総合2番手でデイ3を迎えたラッピは、SS16でクルマが石を拾ってしまいこれがフロントガラスを直撃。ヒビが入ったことで視界が悪くなりペースを鈍らせることになった。ラッピはこのステージでロバンペラに逆転を許し、最終的にはチームメイトから26.8秒遅れることとなっている。
トヨタ勢ではエバンスもトラブルに見舞われた。彼のクルマはSS17で強い衝撃を受け、左リヤのアップライトとサスペンションストラットにダメージを受けた。エバンス組はリエゾンで応急措置をして走行を続けたが、続くSS18では50秒以上のタイムを失ってしまった。しかし、後続との差が開いていたため総合4番手の順位をキープしている。
前日夜にデフを交換したティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)はトップから2分05秒遅れているものの、前日の7番手からふたつ順位を上げ総合5番手となった。彼の後方には勝田が迫っていたが、SS18でスピンがあった影響でその差は42秒に拡がっている。
Mスポーツ勢はガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)とピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)が総合7番手争いを繰り広げ、この日はSS17で僚友をかわしたグリーンスミスに軍配。両名は4.2秒差でラリー最終日を迎えることになる。
一方、同陣営最上位の総合5番手を走っていたクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)は、SS12のジャンピングスポットでラインを見誤りコース脇の岩に激突。このクラッシュによって右リヤホイールを失いデイリタイアとなった。
ラリー・フィンランドの競技最終日、SS19~22が行われる7日(日)のデイ4は、サービスパークの東側および南側エリアで2本のステージを各2回走行する。この内、最終SS22“ルイヒマキ2”は、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられるパワーステージとなっている。4本のステージの合計距離は43.92km、リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は265.59kmだ。