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商用車に乗用車のタイヤ・ホイールはご法度? 軽バン商用車カスタムの選択肢

 軽キャンパーの需要に加え、スタイリッシュなホンダN-VANのヒットにより、軽商用車が人気だ。2年ごとに車検があるのが欠点だが、税金が安いといったメリットもあり、また荷物のたくさん詰めるので、自家用車として購入することも増えている。

 マイカーともなれば愛着がわき、ちょっとドレスアップとかもしたくなってくるところだが、タイヤやホイールの交換には注意が必要なのだ。

 今回は軽自動車と軽商用車のタイヤ・ホイールの違いをお教えしよう。

文/藤田竜太、写真/ベストカー編集部

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■高まる「軽バン」人気

コロナ禍に流行した「ひとりキャンプ」などにも便利で、肩肘張らない手軽な軽バンの人気が高まっている

 広い荷室と使い勝手の良さで、ビジネスユースはもちろんレジャーユースとしも、軽ワンボックスタイプの商用車、いわゆる軽バンの人気が高まっている。

 王道のダイハツ・ハイゼットカーゴ(OEMでスバル・サンバー)や、スズキ・エブリイ(OEMで日産NV100クリッパー、マツダ・スクラムバン、三菱ミニキャブバン)をはじめ、乗用車のN-BOXがベースのホンダN-VANがヒットしたことで、近年軽バンのユーザー層がかなり広がってきたのはたしかだ。

 ただこうした軽バンをドレスアップしたり、カスタムするときには、タイヤとホイール選びに注意して欲しい。

 例えば、N-VANの標準装着タイヤは、145/80R12 80/78N LT。これに対しベースのN-BOXのタイヤは155/65R14 75Sとなっている。

 これを見て、N-VANユーザーも「14インチが履けるなら、インチアップしたい」と思うかもしれないが、そのまま流用するのはNG! というのも、商業車と乗用車ではタイヤのロードインデックスが違うからだ。

 ロードインデックスとはタイヤ1本で支えられる最大負荷能力を示した指数のこと。N-VANをはじめ軽バンの標準タイヤには、145/80R12 80/78N LTと最後に「LT」という記号がついていることが多い。

 この「LT」は「ライトトラック」の略で、小型トラック用タイヤであることを表している。

 荷物をたくさん載せられる商用車は、タイヤにも高い耐荷重が求められているので、この「LTタイヤ」を装着するのが前提だ。そのN-VANのタイヤはロードインデックスが「80」なので、負荷能力は450kg/本もある。

 それに対し乗用車のN-BOXのタイヤはロードインデックスが「75」。負荷能力は387kg/本しかない。

 軽バンにロードインデックスが足りないタイヤを装着するのは、保安基準違反になるので車検も通らなくなるほか、何より危険。

 とくにキャンピングカーとして架装した軽バンは、車重が重くなるので、ロードインデックスが小さいタイヤを履くとバーストするリスクが高まり、実際そうした事例はいくつも報告されているので要注意。

■法改正により拡がった選択の幅

現在は法改正により、軽バンや軽貨物でも「LTタイヤ」以外を装着できる。ただし、ロードインデックスが標準装着タイヤ以上というのが条件

 ちなみに以前は軽バンや軽貨物に「LTタイヤ」以外を履くと、保安基準違反になってしまったが、現在は法改正により、「LT」がつかない乗用車用のタイヤでも合法的に装着できるようになっている。ただし、ロードインデックスが標準装着タイヤ以上というのが条件だ。

 というわけで、軽バンであってもロードインデックスが標準装着タイヤ以上なら、12インチを14インチにインチアップしてもかまわないし、乗用車用のタイヤに履き替えても問題ない(外径が変わらず、フェンダーからはみ出したりせず、ボディと干渉しないなどの条件を満たす必要はある)。

 なお、「LTタイヤ」の場合、負荷能力は「PR」(プライ・レーティング)で表すことが一般的。例えば「6PR」のタイヤの最大負荷能力は、ロードインデックス「80」と同じく450kg/本だ。

 そしてホイールについても、かつては軽貨物の場合、国土交通省が定めたアルミホイールの技術基準をクリアした、「JWL-T」(商用車)の刻印の入ったホイールのみ保安基準に合致するというルールだった。

 しかし2014年の法改正によって商用車でも「最大積載量500kg以下、かつ車両総重量3.5t以下」の貨物自動車(及び全ての軽貨物自動車)は、「JWL-T」の刻印ではなく、乗用車用の「JWL」の刻印が入ったホイールでも合法となった。

 このように法改正以降、軽バン・軽トラでも、ロードインデックスさえ気をつければ、タイヤ・ホイールの選択肢は、かなり広がった。

 しかし、検査場、ディーラー、整備工場によっては、まだ新ルールが浸透していないケースもあり、歓迎されない場合もあるという……。(法的な問題なので、エビデンスを提示すれば解決するはず)

 いずれにせよ、安全に関わることなので、軽バンでタイヤを交換する際は、ロードインデックスに余裕があるタイヤをチョイスして、空気圧の管理を怠らないように気をつけよう。

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