もっと詳しく

「路子姉さん、このミカン、ほんとにびっくりするくらい甘いねー」 台所でさやえんどうの筋を取っている路子の耳に聞こえてきたのは、結局、居間でくつろいでいる栄吉の声である。 「食べた? うそじゃないでしょ。ほんとに甘いでしょ」 「うん、甘い。こんなに甘いミカン食ったことないよ。それこそ、…