今回は、「基板の表面処理」についての説明です。
基板の表面処理とは?
プリント基板の製作依頼を外部の会社に出し、PWBの状態で納品され、自社のマウンターを使用して部品を実装・はんだ付けするというのが一般的な流れです。
PWB状態のプリント基板のパッドやランドのような銅箔露出部分に部品をはんだ付けするわけですが、ここで問題が発生します。
銅って空気に触れていると1週間程度で酸化しちゃうんですよね。
銅箔表面が酸化してしまうと、部品の実装不良を引き起こす可能性が高まります。
つまり、銅箔が露出した状態のPWB基板は保存が効かないのです。
そこで、銅箔の酸化防止をする為に考案されたのが基板の表面処理です。
表面処理には、はんだを載せたり、メッキ処理をしたり、薬剤でコーティングしたりと様々な種類があるので、今回はそんな表面処理の主な種類について記述していきます。
半田レベラー(HASL)
名称から想像できるかと思いますが、はんだをコーティングします。
“はんだ”は平仮名表示が多いのに、”半田レベラー”は何故か漢字になっているんですよね。
“半田面“も漢字だし、この辺はよくわからないですね。
溶融したはんだにPWBを浸漬して銅箔露出部にはんだを塗布し、余分なはんだを熱風で吹き飛ばして仕上げます。
種類は、有鉛半田レベラー(共晶半田レベラー)と鉛フリー半田レベラーがあります。
近年は人体への影響を考慮してはんだは鉛フリーのものを指定することが多くなっているので、基板の製作依頼をする時はどちらのはんだレベラーを使用するか指定間違いをしないように注意しましょう。
P板.comとかは普通に鉛フリーかどうかチェックできるようになっていたと思います。
半田レベラーで表面処理をすると、処理部がはんだで盛り上がってしまいます。
その為、手実装なら問題無いのですが、マウンターで部品を表面実装しようとすると部品が傾いてしまいます。
なので、量産製品に使用するような基板に使うのではなく、社内のちょっとした検査用に使用するような小基板の表面処理として使うべきです。
ちなみに、半田レベラーの場合、大体6ヶ月が保管期限です。
水溶性プリフラックス(OSP)
一般的に最も選ばれている表面処理です。
単純にフラックス処理とかプリフラックス呼ばわりされていることが多いです。
その名の通り銅箔露出部分にフラックスが塗布されています。
フラックスが載っているだけなので安価で且つはんだ付けの促進作用もあります。
問題点は保管期限の短さと推奨されるリフロー回数です。
半田レベラーの保管期限は大体6ヶ月と述べましたが、プリフラックスは半分の3ヶ月しか保管できません。
ついでに言うと、開封後はなるべく早めに部品を実装する必要があります。
また、リフローは2回までしか推奨されていないので、表面1回/裏面1回のような単純なリフローで済まないならプリフラックスを選択するべきではないです。
無電解金メッキ(ENIG)
ニッケルと金の合金を使った表面処理です。
[Electroless Nickel Immersion Gold]の略称でENIGと記載されていることがあります。
金は酸化しないので、保管に向いています。
また、処理が平滑なので表面実装に向いていて、はんだ付け性は最高ランクです。
ニッケルメッキ層が3~5μm、金メッキ層が0.03~0.05μm程度になっています。
ほとんどニッケルメッキということですね。
保管期限は大体6ヶ月です。
電解金メッキ(ハードゴールド)
無電解金メッキ同様にニッケルと金の合金を使った表面処理です。
違いは、金メッキ層の厚さが分厚くなる点です。
大体0.1~0.3μm程度と記述されていることが多いようです。
金メッキ層が厚くなることで硬くなるので、ハードゴールドと呼ばれています。
金メッキがふんだんに盛ってあるので、表面処理の中で値段が最も高価です。
無電解金メッキは最もはんだ付けに向いている表面処理でしたが、電解金メッキは最もはんだ付けに向いていません。
というか、はんだ付けをする為に電解金メッキをするのか怪しいです。
では、どんな使い方をするのかと言うと、ファミコンや64のカセットなんかに使用されています。
ゲームが起動しない時はカセットを吹くと良いというガセ情報を試したことがある人がいると思いますが、カセットの内部を見ると金色に光っている部分がありませんでしたか?
あれが電解金メッキです。
つまり、接触端子のような役割で、何度も挿抜を繰り返すことを想定したメッキ処理だということです。
だから錆びない・硬いという特性が求められているわけです。
以上が主な表面処理となります。
メーカによっては銀メッキやスズメッキの表面処理なんかもありますので、気になったら別途調べてみてください。
以上、「基板の表面処理」についての説明でした。
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