低年式のクルマや趣味のクルマなどは、大事にするあまり月に1、2度しか走行しないことはよくある。
スバリストで有名なマリオ高野氏もそのひとり。3台のスバル車、一番古いクルマは購入して28年になるGC8型初代インプレッサWRX、その他に先代型G4と新型ZD8型BRZを所有する。
どのクルマにも思い入れがあり、一生乗り続けたいほど気に入っているそうだが、やはり初代WRXは低年式からの不安といたわりから走行する機会はダントツに少ない。
そんなマリオ氏が初代WRXで実践する、たまにしか乗らないクルマを運転する際に注意するべきポイントを紹介する。
文/マリオ高野、写真/マリオ高野、スバル、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】今年で生誕30周年を迎えるGC8型インプレッサWRXを写真でチェック!!(10枚)画像ギャラリー
■3台のスバル車を健やかに保つには?
3台のスバル車を所有するマリオ高野です。ラインナップは、ハタチの頃に買った初代インプレッサWRX(GC8)、先代型インプレッサG4(GJ3)、そして新型BRZ(ZD8)で、いずれも一生乗り続けたいほど気に入っております。
購入から28年になる初代WRXは、2年前に全塗装をするなど大幅にリフレッシュ。先代型G4は、NA1.6Lの地味な実用セダンながらサーキット走行もこなせるなど万能性が高く、おそらくインプレッサ最後のMT車になるので得がたい存在に。
そんな感じで、自分としては愛情の格差はないつもりなのですが、やはり今はどうしても新車蜜月期間の続く新型BRZに乗る機会が多く、3台を満遍なく均一に使うのは難しいものです。
特に初代WRXはリフレッシュしたとはいえ、消耗品の劣化や故障はあとを絶たず、なるべく温存する方向へ気持ちが傾くようになりました。案の定、ミッションは異音などでオーバーホールが必要という状態になってしまったので、ますます乗る機会が減っております。
初代WRXについては、なるべく乗らず、かつ腐らせないように管理することを心がけ、たまに乗る時は最新の注意を払っておりますので、その経験から得たコツをお伝えしましょう。
■たまにしか乗らないクルマはまずはバッテリーに気を付ける
まずは、バッテリー。これは誰もが気にするポイントだと思いますが、そもそも本格稼働させないクルマは、バッテリー上がりや劣化を防ぐためにマイナス端子を外しておくことが大事です。
「週イチくらいは乗るつもり」だと思っていても、そういうクルマはうっかり2週間以上乗らずに過ごしてしまうものなので、一週間以上稼働させないクルマは必ずバッテリーを外しておきましょう。あまり乗らないクルマのバッテリーが上がってしまうと、ますます乗らなくなってしまい、クルマを腐らせやすくなる悪循環に陥りやすくなります。
それが面倒、もしくはセキュリティーシステムを機能させたい場合は、オプティマバッテリーのイエロータイプなど放電に強い耐久性の高いバッテリーに交換することをオススメします。
■初期型WRXの始動時に気を付けていること
久しぶりにクルマを動かす場合、やはり大事なのは教習所で習った運行前点検を思い出すことですが、現実的にはパッと見ただけではわからないことばかりなので、まずはエンジンを始動させます。
そして暖気運転。動かさなかった期間の長さにもよりますが、内部の潤滑が完全に止まっていたわけなので、2週間以上乗らなかったクルマは、最低でも10分くらいはアイドリングを続けたほうがいいでしょう。
エンジンオイルが劣化していると、メカニカルノイズがやたら大きくなったりしますから、劣化や故障を発見できることもあります。エアコンのコンプレッサーも使わなさすぎると動きが悪くなるので、エンジン始動と同時に作動させましょう。ついでに、パワーウィンドウなども開閉させて、固着などしていないかチェックします。
経験上、初代WRXのEJ20エンジンは、4~5カ月ぶりの始動でも一発でかかり、内部の潤滑が極端に悪くなっているような不具合を感じたことはありませんが、放置されがちな水平対向エンジンをバラしてみると、ピストンの上側だけ摩耗が酷いことがよく見られます。
やはり数カ月経つとエンジンオイルは下がってしまうものなので、どんなエンジンでもそれを意識したほうがいいでしょう。放置しがちなクルマほど、劣化に強い高性能オイルを入れておくことが大事です。粘度指数は少し高めがいいかもしれません。
あと、エンジンの暖気中は必ずボンネットを開けて中の状態を軽く確認しましょう。素人がパッと見てわかることは少ないものですが、異音や異臭の発見は確実に早まります。また、スバルのターボ車の場合、インタークーラーのコアに異物がたまることが多いです(大きめの昆虫や小動物の死骸など)。
■走る前と走り始めの注意事項
エンジンの暖気が充分にできたら、なるべくゆっくり、腫れ物に触るような感じで可能なかぎり丁寧に走らせます。ブレーキローターの表面につくサビのようなものはすぐに落ちますが、最初の一発目のブレーキは極端に効きが悪くなるものと認識してください。車庫を出てすぐ下り坂になる場合は細心の注意が必要です。
タイヤの空気圧は確実に落ちているものと考えましょう。特に、夏場から冬にかけて放置した場合は走行するのが危険なレベルで低下しています。空気圧の調整をすませてから発車できれば理想ですが、それが無理な場合は、まず行くべき先はガソリンスタンドなど空気圧の調整ができるところです。
ちなみに国産ブランドのタイヤ場合、1カ月程度なら極端なフラットスポットができることはありませんが、接地面への負荷がかかっていたのは間違いないので、長期停車したタイヤでサーキット走行などスポーツ走行をするのは避けましょう。
また、クルマが停まってた場所の路面をチェックすることも忘れずに。オイル漏れなど油脂類の異常を発見できるかも知れません。
久しぶりに動かすクルマは、ブレーキやミッション、駆動系の手応えを確かめながら、なるべくジワジワと転がす感覚でクルマ全体を慣らしてあげるイメージで、徐々にペースを上げていきましょう。もちろんフル加速などは避けます。高速道路に乗るのも、しばらく様子を見て異常がないかどうか確認してからにしましょう。
久しぶりに動かしたクルマは整備工場で点検を受けるのが理想です。それができない場合は、各部がなじみ、特に問題なさそうな場合でもなるべくマメにクルマを停めて、異音や異臭などの異常がないかチェックしたいところです。マフラーから蒸気ではなく、白煙、もしくは黒煙が出ている場合はエンジン内部に異常が発生している可能性が高いです。
ガソリンについては諸説ありますが、経験上、入れてから1年までなら極端に腐ることはないと考えます。ただ、燃料タンク内にサビや劣化した燃料の固体化が進むと厄介なので、燃料系統を守るためにも、入れてから半年以上経過した燃料はどこかのタイミングでなるべく使い切って、新しい燃料をタンクの半分程度満たすことをオススメします。
■久々に愛車を運転する際に気を付けるべき5つのポイント
最後に、久々に愛車を動かす時に心がけたいポイント5つをまとめると、
1:長めに暖気する
2:タイヤの空気圧をなるべく早めに調整する
3:可能なかぎり丁寧に走らせて慣らす
4:異音や異臭がないかマメにチェックする
5:そもそも放置状態にならないよう、最低でも1カ月に一度は走らせる
ということになります。半年以上動かさなかった場合は、必ず整備工場で点検を受けてください。
また、しばらく乗らない場合は、
・バッテリーを外す(必須)
・紫外線や風雨、鳥フンなどから守るためにボディカバーをかける(青空駐車の場合)
・買い取り業者のチラシはマメに捨てる(車種によっては盗難リスクになります)
といった点を意識すればいいでしょう。
【画像ギャラリー】今年で生誕30周年を迎えるGC8型インプレッサWRXを写真でチェック!!(10枚)画像ギャラリー
投稿 久々に愛車を運転する際に気を付けるべき5つのポイント は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。