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 東京都において女性バス運転手協会主催による「第3回女性バス運転手の会」が開催された。これは現役女性ドライバーと就職を検討している方が一同に会するもので、実際の職場環境などリアルな声が聞けるというモノ。バスドライバーは未だ9割以上が男性を占めているため、当事者にとってはかなり貴重な場なのである。

 そこで注目したいのは女性ドライバーたちが運転したいバスについてだ。衝撃の答えが返ってきたのだが、その内容はいかに!?

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


就職説明会ではない

 本会の趣旨は運転手獲得のための就職説明会ではない。もちろん同協会の主目的は女性のバス運転手を増やすことにはあるが、今回の主眼は現役の女性バス運転手も参加することから、他社の運転手と交流をし、先輩運転手がいれば職場の様子やライフワークについての話を聞くことができるメリットがあり、こちらの方が主目的だ。

事業者の担当者は見守るだけで主役は運転手!

 もちろん、バス運転手でない方は直接話を聞くことにより、バス運転手を目指す仲間ができたり、事業者の話を直接聞けたりというメリットがあり、情報交換の場としてにぎわった。

 事業者の採用担当者も出席はしているが、あくまでも主役は運転手または運転手を目指す女性なので、闊達な意見交換や議論を見守りながら、運転手を確保する方策を考えていただろう。

女性だって12m車を運転したい!

 交通機関の乗務員というのは長い間、男性の職場だったが、最近では女性乗務員も増えてはいる。しかし割合にしてまだ1割にも満たない。現状で1.8%しかいない女性運転手を10%にまでしたいのが同協会の当面の目標である。

現状は1.8%の女性運転手を10%にするのが目標!

 中型や小型バスを運転している現役女性運転士は「いつかは12m車を運転したい!」といったパワーのある発言もあり、一度でもバスを運転したことのある者ならいつかは運転したいと思う12m車へのあこがれは男女問わずあるようだ。

 記者も経験があるが実際に11m車と12m車とではホイールベースによりまったく同じ感覚ではないが、たった1mの違いがずいぶんと違う車両のように感じるのは事実だ。

女性運転手の高速バス乗車の記憶

 以前に記者は西鉄バス北九州の女性運転手が運転する高速バスに乗車したことがある。一般路線車の10.5m車や11m車では珍しくはなくなっているが、高速車となると記者もあまり乗車した記憶がない。

 車両は日野セレガのハイデッカーだったが、プロなので別に不安はなかった。しかし比較的中距離の高速路線でどんな運転をしてくれるのだろうかと非常に関心があったことは確かだ。結論としては「優しい高速バス」という印象だった。

 運転が生易しいという意味ではなく、車内放送から加減速の仕方まで総じて優しい運転で安心して乗車した記憶がある。あくまでも一例に過ぎないが、このような女性運転手が増えてくれれば一味違うバスになるのではないかと思われた。

はばたけ女性ウテシ!

 バスの運転手不足は顕著で、路線の維持に支障をきたすに至っている事業者もある。もちろんバス運転手という職業が長い経済不況により恵まれた環境ではない面もある。これは行政の無秩序な規制緩和と事業者が路線維持のために乗務員の待遇を後回しにし、放置したという仕方のない側面もある。

参加者全員で記念撮影

 しかし現実として後ろ向きなことを言っていても何も始まらないので、今回は女性に限った会ではあったが「ぶっちゃけた話」や「ムカついた事例」または女性ならではの「気分的解決方法」などが臆することなくバシバシ発言されていたことが印象的だった。

 このような力強い女性が運転手が多ければ、行政はともかく事業者は時間はかかっても変わるだろうと感じた「女子会」だった。

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