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Image:NYC Russ/Shutterstock.com

有機ELディスプレイを採用したiPadが開発中と噂されているものの、まだ公式に発表されていない。しかし、すでにサムスンディスプレイ(以下「サムスン」)は、第2世代モデル用パネルの量産準備を始めていると報じられている。

韓国の電子業界情報誌The Elecは、サムスンが「アップルの第2世代有機EL版iPadを目指し、2024年後半にGen 8.5(第8.5世代)有機ELパネルを量産できそうだ」と伝えている。

同社は日本のアルバック(産業・研究機関向け真空装置を開発する企業)と協力して、第8.5世代有機EL向けの「フルカット基板を使って有機材料を垂直に蒸着する」装置を開発しているとのこと。そして7月に、製造施設に投資するかどうか決定する予定だそうだ。

また現時点では、サムスンとLGディスプレイは既存の第6世代 有機ELラインを使って、2024年に発売される第1世代の有機EL iPad向けに、11インチ/12.9インチパネルの最初のロットを製造する予定であるとも伝えられている。

そしてサムスンは第8.5世代 有機EL生産ラインにつき、まず月産1万5,000枚のキャパシティを構築し、市場の需要があれば1万5,000枚分を追加する可能性があるそうだ。

ここでいう第8.5世代 有機ELの基板(2,200×2,500mm)は、スマートフォンに広く使用されている第6世代(1,500×1,850mm)より大きい。つまりタブレットやノートPCなどの大型ディスプレイを作るためには、より効率的で生産性が高いーーという事情を、以前The Elecは説明していた

ディスプレイ専門サプライチェーン調査会社DSCCのアナリストRoss Young氏は、今後数年で有機ELパネルの性能は、タンデムスタックや燐光性青色発光体などのおかげで大幅に向上するため、有機EL版iPadの登場は理に叶っているとコメントしている。また、工場が大きくなれば(生産量が多くなれば)コストも下がるとも付け加えている。

アップルはiPadやハイエンドMacBook Proに、ミニLEDバックライト画面を採用したことが注目を集めた。とはいえ、そこには「まだまだ有機ELパネルは高価なため(従来の液晶画面の延長上にある)ミニLEDの方が画質向上と低コストを両立しやすい」との判断が働いたとも推測される。有機ELの性能が上がりつつ価格が下がれば、そちらにシフトすることもあり得そうだ。