参院選(7月10日投開票)の争点について、引き続き、経済政策に注目しています。
とはいえ、マクロ経済政策は一見良さそうに見えるものが逆効果を生むなど、われわれの肌感覚とズレるものもあります。
例えば、物価上昇の対策として与野党ともに賃金上昇を訴えています。これを政府が決める「最低賃金アップ」によって促そうとすると、
経済規模が拡大していない場合には、むしろ逆効果で雇用を減らしてしまう恐れがあります。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前政権がまさに、その罠(わな)にはまってしまいました。最低賃金の上昇によって、人を雇うコストが上昇しました。
企業はそのコストに耐えられず新規雇用を絞ったり、既存の雇用をカットしたりして、労働者が割を食う結果に終わったのです。
ということで、最低賃金上昇からスタートするのは「悪手」ですが、かといって政府の要請程度で企業が賃上げするなら今頃とっくに賃金は上昇しているはずです。
ここ10年は「官製春闘」と揶揄(やゆ)されるほど、首相官邸は毎年のように財界に賃上げ要請してきましたから。
では、どうすれば?
ヒントを探していると、今月初めに出された分厚い提言書を発見しました。
ほかでもない財界の総本山・日本経団連のシンクタンク「21世紀政策研究所」が出した『中間層復活に向けた経済財政運営の大転換』という研究プロジェクトの報告書です。
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏を研究主幹に、岡三証券チーフエコノミストの会田卓司氏、UBS SuMi TRUST日本地域CIOの青木大樹氏、
明治大学の飯田泰之教授、第一生命経済研主任エコノミストの星野卓也氏といった、気鋭のエコノミスト・学者が執筆陣に名を連ねています。
181ページにわたる報告書では、日本経済の現状を、需要不足と中間層の衰退の悪循環と指摘します。
弱い需要では国内投資のインセンティブが働かず、企業は「合理的判断」で海外に活路を見いだそうとしますが、それは国内のさらなる需要低迷を呼び、悪循環が続くとしました。
これを打破するために、財政ルールを見直して十分な規模の財政出動を行い、賃上げ、中間層の底上げにつなげていく。
ジャネット・イエレン米財務長官が主張した「高圧経済」を日本でも行うとともに、雇用の流動化を進め、企業に賃上げ競争をさせる。
すると、企業は「合理的判断」で自然と賃上げをするという中国リオを提示しています。
詳しくは、日本経団連・21世紀政策研究所のサイトに全編無料で公開されていますので、一度ご覧いただければと思います。正直、このクオリティーの論考を無料で読めるのはすごいの一言。
経団連といえば「消費税増税」「財政再建」に積極的で、2言目には「財政規律」と言う人たちの集まりだと思っていたのですが、こんな提言も出していたんですね。
参院選の投票にあたって、少なくとも参考にはなるはずです。
■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。
ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6―8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba28b613f8681a0e1b578b343f37409ad5ed0a54
引用元: ・経団連が提言「雇用の流動化をすすめ、企業に賃上げ競争をさせる」 [ボラえもん★]
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