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 人生において大きな買い物である新車の購入。期待が大きい分、いざ納車したあとに「こうしておけばよかった」と後悔する人、実は意外と多い。そのなかでも追加したい装備の上位にあるのが「ドラレコ」や「カーナビ」などのカーエレ機器だ。今回は調査から見えてきたドラレコに対する期待と事情について解説する。

文/高山正寛、写真/KINTO、トヨタ、コムテック、日産、パイオニア、ヒョンデ

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■サブスクで話題のKINTOがユニークなデータを発表

トヨタ車のサブスクサービスを提供する(株)KINTO。この会社がなんと、購入後の後悔に関する調査を実施し、その結果を公開した! その結果やいかに

 クルマのサブスクリプションサービスを展開する株式会社KINTO(以下KINTOと表記)。数多くのトヨタ&レクサス車をサブスクサービスの対象としつつ、話題のBEV、bZ4Xに関しても独自のプランを展開している。

 そのKINTOが今年6月上旬に『新車の機能・スペックに関する後悔調査』と呼ばれる調査を発表した。

 この調査、10年以内に新車を購入した550人を対象に新車の機能やスペックに対して「後悔したこと」をある意味、赤裸々(せきらら)に発表したものだ。

 詳細は割愛するが、要は購入したあとに「追加で機能や装備が欲しくなった」という「後悔したユーザー」が55.4%もいたこと。

 また、そのなかでも追加したい具体的な装備に「カーナビやドライブレコーダーなどの電子機器」が40.9%と、最多であったことが興味深い。

 このほかにも「運転アシスト」など昨今標準化も進んでいる電子系デバイスも27.6%と高い数字を示しているが、運転アシスト系の機能はメーカーのライン(工場)装着が基本なので「後付け」には対応していない。

 ゆえにユーザー側も後付けが可能な、ドラレコやカーナビに関してはストレートに気持ちを表したのではないかとまずは予想する。

■ドラレコとカーナビには大きな違いがある

 ただ、実際のところドラレコとカーナビは大きな違いがある。

最近のモデルにはディスプレイオーディオが標準装備され、そこにカーナビのソフトをインストール(またはコネクト)させる方式が主流となり、カー用品店などでの後付けは難しくなりつつある

 まずカーナビだが、昨今はディスプレイオーディオの普及も手伝って、新車に関して言えばカーナビに準ずる機能の標準装備率自体は上がっている。その流れは軽自動車にも浸透してきており、現行型のスズキアルトには低価格で装着できる専用のディスプレイオーディオを設定している。

 もちろん、軽自動車の場合はまだまだ2DINスペースは確保されているのでカー用品店などでより高性能な商品を購入して装着できるが、登録車などは徐々に後付けが難しくなってきているのが現実だ。

 また、後方だけではなく、車両全方位の情報を確認するためのカメラ類はやはりメーカー純正のほうが有利だ。一応、伝えておくとライン装着でこの全方位カメラなどを装着した状態でも市販カーナビを装着できる連携キットも発売されていることを覚えておいて損はない。もちろん、それなりの出費は覚悟しておく必要はあるが……。

■確かに標準装備されるドラレコは存在するが……

 そして、今回のテーマであるドラレコだが、これに関しては圧倒的に後付けで市場が形成されているのは何となく理解できると思う。

 実際、安全や機能面なども考慮すると「ドライブレコーダーという名称」で標準装備しているクルマは筆者の知るかぎりではヒョンデのアイオニック5(正確にはビルトインドラレコ、という名称)くらいだ。

 トヨタのハリアーはある意味先駆け的存在ではあったが「録画機能付きデジタルインナーミラー」という名称だし、BMW3シリーズなどは「パーキングアシストプラス」機能に搭載されているカメラをドラレコとして活用できるものだ。

 この機能に関してはサブスク的な使い方もできるので。その点でも注目されていた記憶がある。そしてテスラに関してもグローバルで見ると標準搭載されるカメラを活用し、周囲の状況や事故時の記録ができる「ダッシュカム・セントリーモード」を設定している。

 ただ、これらの商品の最大の弱点は解像度などの基本ユニットの大幅なレベルアップが期待できない点だ。部分的な画質の向上やバグなどの修正は不定期のアップデートで対応できるが、基本的な画素数などは固定されたままだ。

 ちなみにハリアーはフロントで120万画素、リアで51万画素、画角に関しても昨今の市販ドラレコには敵わない。

■ドラレコは圧倒的に後付け優位

ドラレコに関しては後付け品として購入する製品が性能的にメーカー純正品を圧倒する強さを見せる。写真のような最上級仕様ではGPSから360度全方位を高画質で記録など……まさに鉄壁だ

 ここまで書いたようにドラレコに関しては圧倒的に後付けが優位だ。電子機器の業界団体であるJEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)は生産や輸出入、民生用電子機器などの出荷データを公表しているが、そのなかでもドラレコに関しては2016年度からは単体で発表していることからも成長著しい市場であることがわかる。

  ドラレコに関しては読者の方もよくご存じのとおり、毎年新製品が発表される。画素数や画角の向上、夜間におけるナンバー認識だけではなく、車両盗難やいたずらに対しての監視機能やなかにはWi-Fi機能の搭載によってスマホとの連携やクラウドに動画&静止画まで保存できるなど、多彩である。

 従来までの「万が一の事故の際の証拠能力」という側面だけでなく、現在はトータルで自分の身を守るデバイスという新しい使い方にシフトしてきたと言えるだろう。昨今は特に「あおり運転」に対してカロッツェリアが後方車両の接近を検知&自動録画するドラレコを発売するなど、もはや単一機能ではないハイテクデバイスになってきているわけだ。

 実際、休日のカー用品店はまだまだ盛況だ。特に数年前から前述した「あおり運転」の問題がクローズアップされてから、平日運転する奥様なども一緒にファミリーの来客も増えていると、カー用品店の担当者から話を聞くことも多い。

■ポイントは自分のニーズをしっかり把握すること

 今回の調査から見えてきたことは、まだまだドラレコの機能や使い方などには認識に差があるということだろう。

 筆者自らの自爆発言になるが、過去ECサイトで格安ドラレコをテスト用に同じモデルを3台購入してテストしたことがある。ネットにはスペックを声高に強調して「コスパ抜群!」をアピールしている商品もまだまだ多い。

 そして、その購入したドラレコは最終的に3台とも短期間で「壊れた!」。まさに「安物買いの銭失い」である。当たり前の話だが、自分の身を守るセーフティデバイスとしての側面を持つようになったドラレコだからこそ、信頼できるメーカーや単純にスペックや価格の安さに踊らされないようにしたい。

 自分のクルマの駐車場が戸建てで外から丸見えの場合であれば、駐車監視機能はマストだろうし、普段使いでスーパーの駐車場に停める機会が多ければ衝撃感知センサーが強化されているものが欲しくなる。つまるところ、自分の生活パターンに合った機能を強化する方向で選べばいい。

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