アップルは、6月に開催したWWDC22にて、iOSのカーインフォテインメント連携機能「CarPlay」の次世代バージョンを発表した。
カンファレンス内では、自動車のコンソールにあるタッチスクリーンだけでなく、インパネやそれに連なるダッシュボード内の画面まで表示領域に取り込み、速度や水温・油温、燃料といった計器類の表示、ラジオやエアコンの操作までサポートすることを明らかにした。
そこでチラリと触れられたのが、次世代CarPlayでは「給油」アプリと「運転タスク」アプリの2種類が、新たにCarPlay用アプリとして提供されるということだった。詳しい機能の紹介はなかったものの、給油アプリに関しては運転中にガソリンスタンドの位置を調べられる機能を提供するというのがもっぱらのうわさだった。
しかし、今回Reutersが報じたところでは、どうやらCarPlayを使用しているクルマがガソリンスタンドで給油した際、CarPlayのタッチ画面から燃料代金を支払えるということのようだ。
これについて、米国内に1,600か所の給油所を持つHFシンクレアは「今後数か月のうちに詳細を発表予定」と述べたとのこと。HFシンクレアのマーケティング担当上級副社長、ジャック・バーガー氏の「消費者がカーナビ画面からシンクレアのスタンドに移動し、燃料を購入できるというアイデアに興奮している」というコメントを伝えている。
Engadgetによると、CarPlayから燃料代金の支払いを行うには、ガソリンスタンド運営企業のアプリをiPhoneにダウンロードし、決済情報をあらかじめ設定しておく必要がある。するとドライバーはCarPlayのナビ画面から給油アプリを開き、給油後に支払い処理を行えるようになるとのことだ。
なおCarPlayは、(米国では)電気自動車の充電ステーションにおける支払いや、駐車料金、食べ物の注文なども可能になっている。
アップルは独自の自動運転EVを開発しているとの噂が絶えないが、Reutersはソフトウェア企業AsymcoのアナリストHorace Dediu氏の言として、「アップルはCarPlayについて自動車メーカー、開発者、ユーザーのいずれにも課金していないが、CarPlay対応自動車は数百車種にのぼっている。自動車が走るコンピューターになりつつあるなか、ビジネス上の観点で言えば、アップルはトップを走っている」というコメントを伝えている。
一方でAndroidでCarPlayと似た機能を提供するAndroid Autoも、5月にUI改善を含む大きなアップデートを実施している。今後ますますカーインフォテインメントとスマートフォンの融合が進みそうだ。