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(新潮文庫 572円) 中学一年のときに、仲のよかった友人がこの本をプレゼントしてくれた。それまで漫画ばかり読んでいた私にとって、北杜夫の文芸作品はいささかハードルが高かった。 「幽霊」は、少年時代の思い出を描いた作品だ。特にストーリーがあるわけでもないのに、そのガラス細工のような文体…