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<p>ホーク11発進!開発者取材で分かった年間1200台という少量生産が成り立つ理由 – 自動車情報誌「ベストカー」</p><p>新型バイクはスポーツ車だと年間1万台規模の販売が見込めないと開発できないとも言われたバイク業界。しかし、ホンダの新型ホーク11は年間1200台という計画台数のブランニューモデル。果たしてどんな“裏”があるのか? 文字通り“裏ホンダ”企画が発売に至ったという。</p><p>新型バイクはスポーツ車だと年間1万台規模の販売が見込めないと開発できないとも言われたバイク業界。しかし、ホンダの新型ホーク11は年間1200台という計画台数のブランニューモデル。果たしてどんな“裏”があるのか? 文字通り“裏ホンダ”企画が発売に至ったという。</p><p>ホーク11の前に同じ大型ツインエンジンを搭載して発売されたレブル1100シリーズは、2021年の発表時にグローバルで1万台程の販売が計画されていた。対して国内で9月に発売予定のホーク11は、年間販売計画は1200台しかない。海外分もないのでこの台数で成立するモデルということになる。 新車には、部品生産や生産コスト、開発費などが計上され、その分価格に転嫁されるのが一般的だ。ところが、ホーク11の価格は139万7000円とリッターバイクとしては標準的な水準。ひょっとすると採算度外視でもラインナップを増やす戦略なのだろうか? これについて、開発責任者は語る。 「このようなセグメントへの開発を実現可能と判断できたのは、それが具現化できるやり方を身に着けていたからです。 それが、『アーキテクチャーシリーズプロジェクト』というやり方です。既存の車体を活用しながら現行のラインナップと異なる位置づけの派生展開として、市場規模、設定台数に対応した作り方なども検討・精査した開発を行うことです。 既存車体は、アフリカツイン、NT1100の活用。現行ラインナップと異なる位置づけの派生モデルとは、国内専用ロードスポーツ(=ホーク11)の開発です。市場規模、設定台数に対応した作り方まで検討、に関してはホーク11の特徴ともなっているロケットカウルとリアカウルのFRP成形に結びついています」 どうやら採算度外視ではなく、ホーク11は既存の車体=アーキテクチャー(フレームやエンジンなどから構成される”車体”)を活用したシリーズプロジェクトを実践した例だったのだ。 中央がホーク11の開発責任者(LPL)後藤悌四郎氏。歴代CBなどの企画、開発に携わり、完成車開発部長に就任、この5月末で定年退職した。後藤氏の写真右は開発責任者代行の吉田昌弘氏 ファンバイクは少量生産に切り替わり、開発も小ロットに対応? アーキテクチャーシリーズプロジェクトは多機種少量生産を可能とする車両開発の手法だが、実は生産に関してはすでに一部が少量ロットの時代になっている。ホーク11と同様に国内専用モデルとしてロングセラーになっているCB1300シリーズは、「セル生産」方式で組み立てられていた。 筆者は、ホンダのファンバイクを主に生産する熊本製作所を見学したことがあるが、10年程前の段階で、CB1300シリーズはライン外で一台一台少人数のチームが組み立てていた。ヤマハでも国内専用となったモデル末期のSR400のエンジンが、一人の技師によって手組されていたことが知られている。 だが、問題は「開発」にある。小ロットの製品は専用部品の開発がハードルとなっていたのだ。ホンダには小ロットの製品アイデアは無数にあり、ホーク11もその一台。しかし開発者らが“裏ホンダ”と呼ぶアイデアが発売に結びつくことはなかった。 後藤氏は“裏ホンダ”について、「ホーク11は研究開発部門の『アフリカツインのエンジンでワインディングを楽しみたい』という提案が基になっています。(アイデアとしては)通常のラインナップに乗るようなグローバル視線での政策性などなく、ライダー一個人の実感でしかありません。 そもそも普通にしないといけないルールはありません。もっと色々なやり方があるはずです。結論は”実行可能”」と開発責任者に任命されると、通常とは異なるプロセスで開発に臨んだという。 ホーク11の最大の特徴は、ロケットカウルにあると言っていいだろう。アフリカツインのオンロード仕様と言っても、製品としてどんなライダーがどう楽しむかを設定しないとならない。「作りたいもののキモは? どこを光らせるか?」を考え抜いて一点突破を図ったのがロケットカウルなのだ。 ロケットカウルは金型を用いた大量生産とせず、カスタムパーツでも一般的なFRP成形にすることで費用を抑えている。他にも、ホーク11専用部品となるエアクリーナーボックスを通常とは異なる生産方法にするなどして、販売価格を抑えている。 ホーク11をキャラクター付ける上で重要な要素となったロケットカウル。小ロットならではのFRP製とし、金型では成形不可能な1ピース品とすることで付加価値も高めている</p>