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 加速・減速といったクルマの基本的な性能にかかわる大切な部品がタイヤだ。当然その性能を維持するには日々のメンテナンスが重要だが、意外とおろそかにしてしまうのがタイヤの空気圧だ。

 以前はスタンドで気軽にチェックを頼めたものだが、最近はセルフが主流となり、ついついそのままにしがちだ。タイヤの基本的なメインテナンスをまとめたので、あらためて自分のタイヤの状態を確認してみよう!

文/藤田竜太、写真/AdobeStock(トップ画像=Soonthorn@AdobeStock)

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■タイヤにとって最も大切なのは「空気圧」

JAFによると、点検した7割以上のクルマにタイヤの整備不良があり、その大半が空気圧不足だったとのことだ(beeboys@AdobeStock)

 JAFによると、近年ロードサービスにおけるタイヤトラブルの出動件数が急増しているとのこと。「タイヤのパンク、バースト、エア圧不足」での出動件数は、2021年度390,859件。14年前の2007年度は286,934件だったので、この間10万件以上も増え、14年前に比べ136%もプラスになっている。

 タイヤもクルマも進歩し、道路の整備も進んでいるのに、タイヤのトラブルが増えているのは、燃費がよくなり給油回数が減り、しかもセルフのスタンドが増えたことで、タイヤの点検、とくに空気圧の点検調整の頻度が下がったことが大きく影響しているのは間違いない。

 JAFが2021年の5月に行なった「タイヤの空気圧点検キャンペーン」では、点検した7割以上のクルマがタイヤの整備不良で、その大半が空気圧不足だった。

 タイヤの技術者たちは、「タイヤを使用する上で最も大切なことは、空気圧を適正に保つこと」と口を揃えて強調している。

 空気圧が不足すると、タイヤ内部が損傷しパンクの原因になったり、高速道路の走行時ではバーストを引き起こすおそれも指摘されているからだ。

■適正な空気圧は車種ごとに違う

 では「適正な空気圧」とはいくつなのか。それは車種ごとに自動車メーカーが指定している車両指定空気圧のこと。

 具体的には、運転席側のドア付近に貼付された空気圧表示シールに書かれている数字に、走行前のタイヤが冷えている時に、エアゲージを使用して最低でも1ヶ月に1度、点検・調整するのがドライバーの義務だと思って欲しい。

 トヨタ車の取扱説明書などを見ると、「タイヤの空気圧を適正に維持するために、タイヤの空気圧点検を月に1回以上実施してください。低偏平タイヤの場合、2週間に1回、または長距離ドライブの前には必ず空気圧を点検してください」と明記されていて、月に一度でも少ないぐらいだと読み取れる。

 なぜ「最低でも月に一度」と強調するかというと、タイヤの空気圧が低下する最大の原因が「自然空気漏れ」だからだ。

 乗用車用タイヤでは、タイヤ・ホイールが正常であっても、1カ月で約5~10%も空気圧が自然に低下してしまう。

 空気圧が足りなくなると下記の悪影響が出るので、空気圧不足はけっこう重要な問題。

・ヒートセパレーションなどのタイヤの損傷
・パンクやバーストのリスク
・偏摩耗
・燃費の低下
・摩耗ライフの低下
・走安性のダウン
・耐ハイドロ性能の悪化

 とくに、タイヤは空気圧で負荷能力が大きく変わるので自動車メーカー、タイヤメーカーは空気圧を重視している。

■サイドウォールの表記をチェック!!

この写真でいうと「93」がロードインデックス。タイヤの負荷能力を示す数字だ(hanjosan@AdobeStock)

 例えば、タイヤの側面には「215/45R18 93W」といった具合にサイズが表記されているが、この中の「93」はロードインデックス(LI)といって、そのタイヤの負荷能力を示している。

 LI=93のタイヤであれば、空気圧が230kPaのとき635kgの負荷能力があるが、空気圧が10kPa下がって220kPaになると負荷能力は620kgにダウンする。

 これが200kPaになると585kg、180kPaだと550kgと、同じタイヤなのに空気圧が違うだけでこれだけ負荷能力が変わってしまうので、空気圧が1割、2割下がってしまうのは、クルマとタイヤにとってかなり大事だと思って欲しい。

 まして、指定空気圧よりも3割も4割も低い状態で走るのは、高速道路はもちろん、一般道でも危険な状態といわざるを得ない。

※最近のクルマの指定空気圧が高目なのは、車体が重いくなっている影響も大きい。もちろん燃費対策もあるし、レインフォースド/エクストラロード規格のタイヤを装着している車種は、スタンダードなタイヤより高い空気圧の設定となる

■空気圧が高すぎるのもよくないが低すぎるよりはマシ!?

 もちろん、空気圧が高すぎた場合は、乗り心地の悪化やトレッドセンター部の偏摩耗などのデメリットもある。

 しかし、空気圧が不足するよりは、空気圧が高い方がはるかにマシなので、自動車メーカー、タイヤメーカーともに、日常のメンテナンスでは、自然漏れによる空気圧低下を考慮して、車両指定空気圧を基準とし、0~+20kPaの範囲内で調整・管理することを奨励している。

 また、空気圧は気温が10℃上がると10kPa上がり、10度下がると10kPa下がるともいわれているので、これから夏にむかっては、指定空気圧ピッタリぐらいに調整し、夏から秋、秋から冬に向かう時期は指定空気圧+10kPaもしくは+20kPaで合せておくと安心だ。

 ちなみにタイヤを買い換えて、LIが変わったり、インチアップなどをしてサイズが変わった場合は、タイヤメーカーのホームページにある「タイヤサイズ変更時の推奨空気圧検索システム」に必要事項を入力し、新しい推奨空気圧を調べておこう。

 もうひとつ、バルブキャップを確実に装着しておくことも忘れずに。バルブキャップが外れていると、ほこりや水分がバルブに入り、空気が漏れる原因にもなるので、バルブキャップも軽視しないで欲しい。

「タイヤが空気圧に依存する割合は90%」といわれている。せっかくの愛車、せっかくのタイヤを気持ちよく安全に、長持ちさせるためにも、空気圧の定期的な点検だけは忘れずに。

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投稿 2021年 パンク関連でのJAFの出動回数は39万件!! タイヤの空気圧は大丈夫!?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。