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 2021年12月に登場したアウトランダーPHEV。

 アウトランダーPHEVは3代目となるアウトランダーで、先代からバッテリー容量を増やしEVのみで87km走行可能。熟成されたS-AWC、そして日産と共通化された運転支援を搭載するなど、大きな進化を遂げた。

 販売も好調なこのアウトランダーPHEV、世界のPHEV/PHV4台+3列シートSUV「CX-8」の5台と比べたら果たして「買い」なのか? 自動車評論家 片岡英明が徹底比較!

●三菱 アウトランダーPHEV 対決ラインナップ
・VS トヨタ RAV4 PHV(ブラックトーン)
・VS レクサス NX450h+
・VS マツダ CX-8
・VS ジープ レネゲード4xe
・VS プジョー 3008 GTハイブリッド4

※本稿は2022年5月のものです
文/片岡英明、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月10日号

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■3代目アウトランダーはどう進化した?

 2021年12月に3代目となるアウトランダーPHEVが誕生。

 新型は、三菱の共通デザインアイデンティティであるダイナミックシールドを新世代化した存在感のあるフロントマスクを採用した。

 パワーユニットは2.4L直列4気筒エンジンを使うのは先代同様だが、駆動用リチウムイオンバッテリーの総電力量を20‌kWhと、旧型の45%増しとしたことでEV航続距離が87kmに向上している。

 車両重量が2トンを超えるが、ランサーエボリューションなどを生んだ三菱らしく、熟成のS-AWCにより高い安定感を維持しながらも、機敏なフットワークを見せる。

 ADAS(先進運転支援システム)は日産と共通化され、プロパイロットの三菱版であるマイパイロット(MI-PILOT)を装備する。

2021年12月、3代目となるアウトランダーPHEVが誕生し、力強いモーターによって滑らかな走りを実現した。EV航続距離87kmや熟成されたS-AWC、マイパイロットを装備。7人乗りを選べるのもメリットだ

 エンジンとモーター、2つの動力を上手に使い分けし、モーターだけでも走行できるし、エンジンを使って充電することも可能だ。

 長年にわたって培ってきたEV技術を用いたPHEVシステムを大きく進化させ、駆動用バッテリーの出力も40%高めたから1回の充電で最大87kmも滑らかで力強いEV走行を楽しめる。

 CO2を出さない地球にやさしい走りに加え、走行性能も非凡だ。ツインモーター4WDを主役にした三菱独自のS-AWCは先代からの技術に磨きをかけ、新たに後輪にもブレーキAYC機能を追加した。

 路面にかかわらず、意のままに走れる気持ちよさと安心感を高いレベルで実現している。また、待望の3列シート、7人乗りモデルを加え、ファミリーが楽しめるクルマに成長した。

●三菱 アウトランダー PHEV主要諸元
・全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm
・ホイールベース:2705mm
・車両重量:2110kg
・エンジン:直4 DOHC
・排気量:2359cc
・最高出力:98ps/5000rpm
・最大トルク:19.9kgm/4300rpm
・モーター最高出力(前):115.6ps/25.0kgm
・モーター最高出力(後):136ps/19.9kgm
・WLTCモード燃費:16.2km/L
・価格:532万700円

■約530万円台と価格もほぼ同じガチ対決! VS トヨタ RAV4 PHV(ブラックトーン)

アウトランダーPHEVとガチンコライバルのRAV4 PHV。出力とトルク、EV走行距離はRAV4の勝ち。だがアウトランダーはS-AWCの走破性と7人乗りが選べるため、この勝負引き分け!

●トヨタ RAV4 PHV 主要諸元
・ボディサイズ:全長4600×全幅1855×全高1695mm
・車重:1920kg
・エンジン:直4DOHC+モーター 2487cc
・最高出力/最大トルク:177ps/22.3kgm(ブラックトーン)
・価格:469万〜539万円

 エンジン、モーターともに出力とトルクはRAV4のPHVが一歩リードしている。EV走行距離も約95kmと、少し優位に立つ。

 それでいて車重も軽いからRAV4は冴えた走りを見せる。だが、フルモデルチェンジしたアウトランダーPHEVは自慢のS-AWCを熟成させ、痛快な走破性能を手に入れた。操る楽しさと安心感はRAV4の一歩上を行く。

 また、3列シートの7人乗りを設定しているのも強みと言えるだろう。この勝負、引き分けとするが、RAV4のPHVは存在感が希薄だ。

【勝敗】両車引き分け!

■人気ミドルサイズSUVの最新PHEV対決! VS レクサス NX450h+

●レクサス NX450h+ 主要諸元
・ボディサイズ:全長4660×全幅1865×全高1660mm
・車重:2010kg
・エンジン:直4DOHC+モーター 2487cc
・最高出力/最大トルク:185ps/23.2kgm(version L)
・価格:714万〜738万円(450h+)

 レクサスNXはモデルチェンジを機にバリエーションを増やし、ターボからレクサス初のPHEV、450h+まで用意している。

 新たに加わった450h+は、先に登場したRAV4 PHVよりパワーアップしているが、車両重量も増えているので全体的な走りのイメージは大きくは変わっていない。

 さらに450hは最小回転半径が大きいなど扱いやすさでも差を付けられている。キャビンもそれほど広くない。トータル性能に加え、販売価格もアウトランダーPHEVより割高な印象を受け、負けだ。

【勝敗】アウトランダーPHEVの勝ち!

■2.2Lターボ・3列シートに同じく3列シートのアウトランダーが挑む! VS マツダ CX-8

CX-8はアウトランダーPHEVよりもボディサイズが大きいため室内が広い。しかし力強さと静止粛清が負けている。それに登場から6年目とモデルも古いためアウトランダーPHEVの勝ち!

●マツダ CX-8主要諸元
・ボディサイズ:全長4900×全幅1840×全高1730mm
・車重:1920kg
・エンジン:直4DOHCディーゼル+ターボ 2188cc
・最高出力/最大トルク:200ps/45.9kgm(XD Exclusive Mode、7人乗り)
・価格:459万8000〜483万4500円(XD、7人乗り)

 ボディサイズはCX-8のほうが大きく、ホイールベースも長い。

 2列目には快適なキャプテンシートを設定し、3列目もアウトランダーPHEVより実用になる広さを確保している。

 3タイプのエンジンを揃え、2.2Lのディーゼルターボは4Lクラスのぶ厚いトルクが自慢だ。力強さは一歩リードだが、モーターならではの滑らかさと静粛性はアウトランダーPHEVに遠く及ばない。

 年末には登場から6年目に突入と、モデルも古い。4WDの性能もアウトランダーPHEVに一歩譲るなど、惜敗だ。

【勝敗】アウトランダーPHEVの勝ち!

■価格は近いがだいぶ小さい相手。これは楽勝か? VS ジープ レネゲード4xe

●ジープ レネゲード4xe主要諸元
・ボディサイズ:全長4255×全幅1805×全高1725mm
・車重:1860kg
・エンジン:直4DOHCターボ+モーター 1331cc
・最高出力/最大トルク:179ps/27.5kgm(Trailhawk 4xe)
・価格:550万〜555万円(4xe)

 ジープの末っ子モデルで、メカニズムはフィアット500Xから譲り受けている。だが、ジープらしさは失われておらず、オフロードに踏み込んでも不安はない。

 2020年に軽やかな1.3Lのターボエンジンに2つのモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド4WDの4xeを追加。

 キレのいい走りを見せるが、EV走行は約48kmと、航続距離はアウトランダーPHEVに敵わない。

 また、車格はアウトランダーPHEVより下で、キャビンもそれなりの広さだから価格を見ると割高だと感じる。

【勝敗】アウトランダーPHEVの勝ち!

■約627万円と価格差はあるが対決だ! VS プジョー 3008 GTハイブリッド4

プジョー 3008 GTハイブリッド4は1.6Lターボエンジンにプラグインハイブリッドを搭載した4輪駆動モデル。7人乗りはなく、価格も高いためアウトランダーPHEVの勝ち!

●プジョー 3008 GTハイブリッド4主要諸元
・ボディサイズ:全長4450×全幅1840×全高1630mm
・車重:1880kg
・エンジン:直4DOHCターボ+モーター 1598cc
・最高出力/最大トルク:200ps/30.6kgm(GT HYBRID4)
・価格:627万1000円(GTハイブリッド4)

 プジョー5008を小ぶりにした弟分が3008だ。個性的なルックスのエクステリアとインテリアは、2021年に化粧直しを行っている。

 この時に1.6Lのターボエンジンに、前後2つのモーターを加えたプラグインハイブリッドを投入。駆動方式も4WDになったから、路面を選ばぬ走りが可能になっている。

 パワフルでダイナミックな走りを見せ、キャビンも5人には不満のない広さだ。しかし、アウトランダーPHEVのように7人乗りはないし、価格もちょっと高いのが負けの理由となった。

【勝敗】アウトランダーPHEVの勝ち!

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