2022年1月にフルモデルチェンジを行ったトヨタノア/ヴォクシー。そしてノア/ヴォクシーのモデルチェンジ前日にティザー広告を開始し、5月より販売開始したホンダステップワゴン。
2022年6月の新車販売台数を見ると、ノアが4,302台、ヴォクシーが4,207台。そしてステップワゴンが3,378台と半導体不足やコロナ禍の影響を受けているが、先代モデルの時と比べると差は小さくなっている。
最も気になる納車期間は、ノア/ヴォクシーだとグレードや装備によっては1年以上掛かると言われているが、ステップワゴンは8カ月程度とステップワゴンが有利となっている。
ここでは国産ミニバンの中でも熾烈な販売競争が繰り広げられている2Lクラスのトヨタヴォクシーとホンダステップワゴンの比較試乗を行った。果たしてどちらがベストバイなのだろうか。
文、写真/萩原文博
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基礎から刷新し大幅な進化を遂げたノア/ヴォクシー
4代目となる現行型ノア/ヴォクシーは、みんなでやりたいことを詰め込んで出かけたくなる「より快適に」「より便利に」「より安心な」ミニバンとして誕生した。
クルマの骨格にあたるプラットフォームには、TNGAプラットフォーム(GA-C)を採用。これにより、ボディサイズは全長4,695mm×全幅1,730mm×全高1,895mm(4WD車は1,925mm)と全車3ナンバーサイズとなった。
グレード構成だがノアは従来どおり、標準車とエアロモデルの2種類。しかしヴォクシーはエアロモデルのみとなり、車両本体価格は、ノアが267万円~389万円。ヴォクシーは309万~396万円と従来と異なり、違いを際立たせた。
外観デザインはノアが、外板色であしらった面勝ちのグリルや切れのあるランプグラフィックで、堂々かつモダンなスタイルの標準車と、エアロモデルはメッキグリルによって華やかかつ強い押し出し感を演出したフロントとワイド&ロースタンスのリアとで、王道のエアロスタイルらしいアグレッシブさを表現している。
一方のヴォクシーは、薄型アッパー部と分厚くスクエアなロア部の組み合わせによってコントラストの強い立体構成と個性的なグラフィックを実現。怪しく光る特徴的なフロント/リアランプによって夜でもその存在感を強調している。
インテリアは、水平基調で低くワイドに構えたインストルメントパネル、ドアトリムに加え、アシストグリップやエアコン吹き出し口など機能的に配列したルーフ周りによって、見晴らしの良い開放的空間を実現した。
7人乗り仕様車のセカンドシートには、キャプテンシートを採用。クラス初となるオットマン機構とシートヒーターに加え、折りたたみ式大型サイドテーブルなどを装備している。そして8人乗り仕様車のセカンドシートには、3人掛けベンチシートタイプの6:4分割チップアップシートを採用している。
搭載しているパワートレインは2種類。最高出力170ps、最大トルク202Nmを発生する高い熱効率を実現した2L直列4気筒ダイナミックフォースエンジン+CVT。このCVTはマニュアル感覚のシフトチェンジが楽しめる10速シーケンシャルシフトマチックを設定。
一方の1.8Lエンジン+モーターのハイブリッドシステムは、全ての電動モジュールを刷新。モーター・バッテリーの高出力化とシステムの高効率化した新世代のハイブリッドシステムとなった。
駆動方式はガソリン車に加えてハイブリッド車にも4WDを設定。燃費性能は、WLTCモードでガソリン車が14.3~15.1km/L。ハイブリッド車は22.0~23.4km/Lとクラストップレベルを実現している。
運転支援システムは一気に強化され、機能向上した最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備。さらにトヨタ車初搭載となる「プロアクティブドライビングアシスト」をはじめ、高度運転支援技術「トヨタチームメイト」では、「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」を採用しています。さらに、安心・便利なコネクティッドサービス、T-Connectオプションサービスも提供される。
パワースライドドア装着車に「ユニバーサルステップ」(助手席側)を設定。パワースライドドア開閉と合わせて“からくり”を使って機械的にドア下部からステップを展開・格納。ステップ高を200mmと低くすることで、子供から高齢者まで家族みんなに優しい乗降性を提供しているのが特徴だ。
バックドアには開閉時、任意の角度で保持できる「フリーストップバックドア」を世界初採用。バックドアを押すことで、“からくり”を使って任意の角度で停止可能とし使い勝手を向上している。
オデッセイが廃止され上質感に磨きを掛けたステップワゴン
一方のステップワゴンは、上級モデルのオデッセイが廃止され、ホンダのミニバンラインアップで最上級モデルとなった。それに伴い、国内で販売するホンダ車 の中で史上最大の室内空間と、どの席でも快適に過ごせるリビングのような居住性が追求されている。
ステップワゴンのボディサイズは全長4,800mm(一部4,830mm)×全幅1,750mm×全高1,840~1,855mmと、全車3ナンバーサイズとなった。
グレード体系が大きく変わり、AIR(エアー)、エアロモデルのスパーダ。そして、スパーダをベースに上質感をプラスしたスパーダプレミアムラインの3種類。車両本体価格は299万8600円~384万6700円となっている。
ボディの骨格は2,890mmのロングホイールベース化に合わせて、前後のトレッド幅を拡大することで、大きな車体でも直進・旋回時の高い安定性を実現。さらに、リアを中心に遮音材や吸音材を追加するとともに、フロアを高剛性化することで、1 列目から 3 列目までの全席において静粛性や乗り心地の良さを高めているのがセールスポイントだ。
外観デザインは、エアーはクリーンでシンプルなデザインに細めのメッキモールを施して上質感を表現。スパーダは、ワイドかつ重厚なフロントグリルとボディ下端全周に配置したメッキのモールによって、力強さを表現している。そして、スパーダプレミアムラインは、スパーダをベースにプラチナ調クロームメッキ加飾を施すことで、質感を高めている。
インテリアは、水平基調なデザインによって乗る人の視野を安定させることで乗り物酔いを起こしにくい工夫が施されている。エアーは、温かみのあるカラーを用いた明るい室内でリビングのような安心感。スパーダはタイリッシュな印象を与えるダークトーンのカラーで上質な室内空間を演出。スパーダプレミアムラインはスエード調表皮&プライムスムースのコンビシートなどを採用して質感を高めている。
搭載するパワートレインは、最高出力150ps、最大トルク203Nmを発生する1.5L直列4気筒ターボ+CVT。そして2Lエンジンと駆動・発電を行う2つのモーターを組み合わせたe:HEVと呼ばれるハイブリッドシステムの2種類。駆動方式は2WD(FF)を中心に、1.5Lターボ車のみ4WDを設定。燃費性能は、WLTCモードで1.5Lターボ車は13.1~13.9km/L。e:HEVは19.5~20.0km/Lとなっている。
全モデルに最新の安全運転支援システム「ホンダ センシング」を全車に標準装備。先代より、アダプティブクルーズコントロール(ACC)は、全タイプで渋滞追従機能付きへ機能性を向上させたのをはじめ、後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビーム、そして渋滞運転支援機能であるトラフィックジャムアシストを追加し、安全性を向上させている。
また、新世代コネクテッド技術を搭載した車載通信モジュール「ホンダコネクト」を通じて、より安心・快適なカーライフが楽しめるコネクテッドサービス「ホンダ トータルケア プレミアム」 を提供する。
ステップワゴンのパワースライドドアは、従来のハンドル操作に加え、軽く指先を触れるだけで開閉ができる静電タッチセンサー式を世界初採用。また、パワーテールゲート は、開く角度を任意に設定可能なメモリー機能を追加し、狭いところでも使い勝手を向上させている。
そして注目は、大気中の PM2.5 などの微小粒子物質を検知し、空調制御とフィルターの組み合わせで空気を浄化する空調システム「Clean Air(クリーン エアー)」を全タイプに標準装備していること。移動中の乗る人全てにクリーンな車内空調を提供する。
高い静粛性とフラットな乗り味でステップワゴンに軍配
今回、試乗したのは、トヨタヴォクシーS-Z 7人乗りとステップワゴンスパーダe:HEVプレミアムラインです。車両本体価格はヴォクシーS-Z 7人乗りが374万円、ステップワゴンスパーダe:HEVプレミアムは384万6700円と近くなっています。
まず、ヴォクシーに試乗して感じたのは先代からの進化。プラットフォームから一新したことがあり、走行中の無駄な動きが非常に抑えられている。同時に先代では物足りなかった先進の運転支援システムもクラストップレベルの充実度となっている。
進化したハイブリッドシステムも従来と比べると、エンジン始動時の揺れや音もかなり抑えられており、よりスムーズさが際立っている。
一方のステップワゴンスパーダだが、個人的には使いやすかったわくわくゲートが廃止されたのは残念なところ。しかし、元々走行性能の高さに定評のあったステップワゴンは、新型になって走行性能の高さに加えて、静粛性の高さが加わっているのがポイントだ。
試乗は高速道路を中心に行ったが、とにかく車内の会話明瞭度が高く、2列目だけでなく3列目に乗っている人の声もクリアに聞くことができた。
ヴォクシーの乗り味は先代から大幅に進化しているのは間違いない。しかしステップワゴンのほうがさらに無駄な動きがなく、フラットな乗り味なので疲れにくいので、セカンド&サードシートに乗っていても快適に移動できるはずだ。
両モデルともにセカンドシートにオートマン機構を設定するなど、これまでフラッグシップモデルにしか設定されていなかった快適装備も装着している。
しかし3列目シートは、ステップワゴンは床下収納式、ノアは跳ね上げ式と異なる仕様だ。跳ね上げ式は後方の視界を遮ることになるので、この点はステップワゴンがリードしていると言える。
デザインは好みがわかれるので、致し方ないが今回の試乗ではわずかなリードでステップワゴンがベストバイとなった。新車の納期に関してもノア/ヴォクシーはすでに1年以上とも言われているので、まだ8カ月で手に入るステップワゴンのほうがオススメと言える。
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投稿 ミニバン頂上決戦!! 王者ノア/ヴォクシー対原点回帰ステップワゴン「買い」はどっち? は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。