ベルギーのチームWRTは8月2日、2022年をもってGTレースにおけるアウディとのパートナーシップを終了すると発表した。2010年のチーム設立以来、13シーズンにわたってアウディのGTマシンを世界中で走らせ、アウディGTレースのの代名詞的存在ともなっていたWRTは、大きな節目を迎えることになる。
同チームはその声明のなかで、GT3やWEC世界耐久選手権での活動については継続し、「レースの旅の新たなチャプター(章)に取り組む」と付け加えている。
このWRTの将来に向けた動きについては、先日LMDh車両のデビュー2年目となる2024年からWECのプログラムを行うと発表したBMWと手を組むものと、理解されている。
WRTとアウディはスパ24時間、ニュルブルクリンク24時間、バサースト12時間、鈴鹿10時間、ドバイ24時間、FIA GTワールドカップなどのビッグレースをともに制し、近年のGTレース界における最強のパートナーシップとして君臨してきた。
WRTはSROモータースポーツ・グループが運営するGTレースにおいて、耐久およびスプリントの両分野で30ものチーム&ドライバーズタイトルを獲得している。
以前にはTCRやDTMドイツ・ツーリングカー選手権でもアウディとともに仕事をしてきたWRTは、ここ数年はLMH(ル・マン・ハイパーカー)/LMDh時代におけるプログラムを確保するため、LMP2プログラムも行っている。
ヴァンサン・ボッセとイブ・ウィーツが率いるWRTは、昨年からLMP2クラスにフル参戦すると、WEC、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、そしてル・マン24時間を制すなど、目覚ましい活躍を見せていた。
チーム代表のボッセは次のようにコメントしている。
「チームWRTの歴史の重要なチャプターが間もなく終わりを告げ、新たなチャプターが開かれることを発表するのは、チームWRTの全員にとって、そして私個人にとっても、非常に特別で、エモーショナルな瞬間だ」
「アウディは2009年末のチームWRT設立以来、我々が関わり続けてきたブランドであり、GT3レースにおけるこれ以上ないパートナーであった」
「ベルジャン・アウディ・クラブと、我々の心の中にいつもいる友人のJ.G.マルボイのおかげで、初めて彼らとコンタクトを取ったときのお互いの興奮を、鮮明に覚えている」
「そこから素晴らしい旅が始まったのだ。この素晴らしい旅は、数々の成功だけでなく、卓越した協力関係や、常に前向きに革新に取り組むという共通の哲学があったからこそ、実現したものだ」
「その過程で我々は多くの良き友を手にし、良い時もそうでない時も、あらゆる状況下で多くの絆をシェアし、楽しんできた」
「感謝をしたい人はたくさんいて、ここでは語り尽くせないほどだ。ヴォルガング・ウルリッヒ博士、ヴェルナー・フロヴァイン、ディーター・ガス、ロルフ・ミヒル、あるいはロモロ・リープヘン、クリス・ラインケ、ジークフリート・クラウスなど、13年間の共通プログラムに関わったすべての人々に、心から感謝を伝えたい」
「すべての人生には始まりと終わりがあり、我々はこれから別々の道を歩むが、長年の友情は続いていく。我々全員が、ともに成し遂げたことを誇りに思い、この素晴らしい時代の多くの良い思い出を大切にしていきたい」
WRTの発表を受けて、アウディスポーツはこのチームとの長年の関係に感謝する声明を発表した。
アウディは国際レースで勝利を重ねてきたWRTを「グローバル・アンバサダー」と表現し、そのパートナーシップを「現代のGTレースにおけるもっとも成功した物語のひとつ」であると称している。
アウディスポーツのカスタマーレーシング部門責任者であるクリス・ラインケは、次のようにコメントしている。
「13年間という素晴らしい年月を経て、我々は2023年から別々の道を歩むことになるが、今後も友好的な関係を続けていくつもりだ」
「ヴァンサン・ボッセやイヴ、パスカル・ウィーツとの密接な関係は、深い信頼と共通のスポーツに対する価値観、そして成功への絶対的な意欲によって特徴付けられている」
「彼らと彼らのチーム全体に大きな感謝を捧げるとともに、今後の活躍を祈念する」